高卒から警察官になるには|試験・年収を解説

結論

高卒者は警察官採用試験の「III類」区分に挑戦でき、大卒者よりも早く現場でキャリアを積み始められます。試験内容や年収を正しく理解して対策すれば、学歴に関わらず合格を十分に狙えます。

牛田

「高卒でも警察官になれるのかな…」と不安に感じていませんか?大丈夫、高卒者はIII類試験からしっかり目指せますよ。

この記事では、高卒から警察官を目指す採用区分や試験内容、年収の実態、向いてる人の特徴を順を追って解説していきます。

高卒から警察官になることは可能

この章のポイント
  • 高卒者は警察官採用試験の「III類」区分で受験できる
  • 大卒より4年早く現場で経験を積み始められる
  • 高卒出身の現職警察官も一定数存在する

ここでは、高卒者が警察官を目指せる根拠と、実際にどれくらいの高卒者が活躍しているのかを解説します。

高卒者が挑戦できるのは警察官採用試験のIII類

警察官採用試験は学歴に応じてI類・II類・III類に分かれており、高校卒業(卒業見込みを含む)の人は原則としてIII類区分で受験します。

III類は「高校卒業程度」の学力を基準とした試験のため、高卒者でもきちんと対策すれば十分に合格を狙えます。採用後の仕事内容や昇進のチャンスに区分そのものによる制限はなく、現場で経験を積みながら昇任試験に挑戦していく流れは共通しています。

つまり、学歴によって「なれる・なれない」が決まるわけではなく、自分の区分に応じた対策を積み重ねることが合格への近道になります。

高卒で警察官を目指す人は決して少なくない

厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)が公表する学歴データを見ると、警察官(都道府県警察)として働く人の中には高卒出身者も一定数含まれていることがわかります。

学歴の内訳だけを見ると大卒者の比率も高く見えますが、これは複数回答を含む調査であり、実際には高卒からそのまま警察官として働き続けている人も少なくありません(厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「警察官(都道府県警察)」)。

周囲に大卒者が多いイメージを持たれがちですが、高卒者向けの試験対策を淡々と積み重ねれば十分に合格を狙える職業です。過度に身構えず、まずは試験区分と対策の全体像をつかむことから始めましょう。

警察官の採用区分と受験資格

この章のポイント
  • 採用区分はI類(大卒程度)・II類・III類(高卒程度)に分かれる
  • 年齢要件は都道府県によって若干異なる
  • 日本国籍や欠格事由の確認など共通の条件もある

ここでは、採用区分の違いと高卒者が満たすべき受験資格を具体的に見ていきます。

I類・II類・III類の違い

警察官採用試験は都道府県ごとに実施され、多くの自治体でI類(大学卒業程度)・II類(短大卒業程度)・III類(高校卒業程度)の3区分、または自治体によってはI類・III類の2区分で募集しています。

区分名は学歴を基準にした試験の難易度を表すものであり、必ずしも最終学歴どおりの区分でなければ受験できないわけではありません。実際には、高卒者がI類を受けることも、大卒者がIII類を受けることも制度上は可能です。ただし試験内容の難易度が異なるため、自分の学力に合った区分を選ぶことが合格の近道になります。

高卒(III類)の年齢・学歴要件

受験資格は都道府県警察ごとに細部が異なりますが、警視庁の例ではIII類(高校卒業程度)は高校を卒業した人、または翌年3月までに卒業見込みの人を対象に、上限年齢までの人が受験できます(警視庁「警察官(Ⅰ・Ⅲ類)」採用情報)。

このほか、日本国籍を有すること、視力・色覚・聴力などに職務執行上の支障がないこと、禁固以上の刑に処せられていないこと、日本国憲法や政府を暴力で破壊することを主張する政党・団体を結成しまたは加入していないことなど、全国共通の欠格事由も定められています。

区分学歴の目安主な対象
I類大学卒業程度大卒・大学院卒者など
II類短大卒業程度短大卒・専門卒者など
III類高校卒業程度高卒者・高卒見込み者

詳しい年齢要件や募集人数は都道府県ごとに毎年更新されるため、志望する都道府県警察の採用サイトで最新情報を必ず確認してください。

警察官採用試験の内容と流れ

この章のポイント
  • 一次試験は教養・SPI・論文・適性検査など筆記中心
  • 二次試験は面接・体力検査・身体検査が中心
  • 合格後は警察学校で10か月の初任教養を受ける

ここでは、III類試験の一次・二次それぞれの内容と、合格後の流れを解説します。

一次試験の内容

警視庁の例では、一次試験は教養試験(五肢択一式)・SPI(基礎能力検査)・課題式の論(作)文試験に加え、資格経歴等の評定と適性検査で構成されています(警視庁「警察官(Ⅰ・Ⅲ類)」採用情報)。

教養試験は社会・時事や国語、数的処理など幅広い分野から出題され、SPIは近年多くの自治体で導入が進んでいる基礎能力検査です。出題範囲が広いぶん、早めに過去問演習を始めることが合格のカギになります。

二次試験の内容

一次試験を通過すると、面接試験・身体検査・体力検査・適性検査からなる二次試験に進みます。面接では受験動機や警察官としての適性が細かく確認されるため、志望理由を自分の言葉で語れるように準備しておくことが重要です。

体力検査では上体起こしや反復横跳び、持久走など基礎体力を測る種目が課されます。運動が得意でない人でも、試験日から逆算して計画的にトレーニングを積めば十分に基準をクリアできます。

二次試験まで合格すると、採用候補者名簿に登録され、欠員の状況などに応じて採用が決まります。採用後は都道府県警察学校に入校し、高卒者の場合は約10か月間の初任教養で法律・警察実務・柔剣道などを学びます。

高卒から警察官になるまでの5ステップ
高卒(III類)から警察官になるまでの流れ

高卒警察官の年収・給料の実態

この章のポイント
  • III類(高卒)の初任給はI類(大卒)よりやや低め
  • 勤続年数を重ねることで差は縮まっていく
  • 昇任試験に合格すれば階級とともに給与も上がる

ここでは、高卒(III類)警察官の初任給の実態と、大卒(I類)との違いを具体的な数値で見ていきます。

初任給・年収の目安

III類(高卒):初任給 約27.9万円/年収例(2年目) 約604.6万円
I類(大卒):初任給 約32.2万円/年収例(2年目) 約657.4万円
警視庁「給与・昇任制度」令和8年度

初任給の実態

警視庁が公表している例では、III類(高卒)採用者の初任給は給料月額に地域手当(20%)を加えて約27.9万円です。これに扶養手当や住居手当、通勤手当などが要件に応じて別途支給されます。

初任給の水準は都道府県によって異なりますが、高卒からでも安定した初任給が保証されている点は、民間企業と比較したときの大きな安心材料になります。

警視庁 警察官の初任給比較
III類(高卒)とI類(大卒)の初任給比較

大卒警察官との年収差

同じ警視庁の例で年収を比較すると、実務2年目の年収はIII類(高卒)で約604.6万円、I類(大卒)で約657.4万円となっており、その差は約52.8万円です。初任給の差(約4.3万円)よりも年収差の方が大きく見えますが、これは期末・勤勉手当を含めた金額であるためです。

学歴による差はあるものの、高卒者は大卒者より4年早く現場に出て昇給・昇進のスタートを切れるため、長期的に見ると差は縮まっていく傾向にあります。生涯の年収カーブが気になる人は、以下の記事も参考にしてみてください。

高卒と大卒の生涯年収の差は?差が出る理由や高収入の仕事も解説

勤続・昇進でどう変わるか

警察官の給与は年功に加えて階級によっても変わります。巡査から巡査部長、警部補、警部と昇任していくには昇任試験に合格する必要があり、高卒(III類)の場合は最初の昇任試験を受けられるまでの実務経験年数が大卒(I類)より長めに設定されているのが一般的です。

裏を返せば、4年早く採用される高卒者は、その分だけ早いタイミングで昇任試験の受験資格を満たせるとも言えます。地道に現場経験を積み、昇任試験にコツコツ挑戦していくことが、収入を伸ばす一番の近道です。

高卒で警察官になるメリット・デメリット

この章のポイント
  • 4年早く社会人・公務員としてのキャリアを開始できる
  • 安定した雇用と福利厚生が得られる
  • 初任給や昇任試験の受験時期は大卒よりやや不利になりやすい

ここでは、高卒から警察官になる場合のメリットとデメリットを整理します。

高卒で警察官になるメリット

最大のメリットは、大卒者より4年早く警察官としてのキャリアをスタートできることです。若いうちから公務員として安定した収入と雇用を得られるうえ、現場経験を積む期間も長くなるため、結果的に多くの実務経験を積んだベテラン警察官になれます。

また、警察官は地方公務員として社会的信用が高く、住宅ローンなどの審査でも有利に働きやすい職業です。学歴を問わず頑張りが評価される昇任試験の仕組みがあるため、学歴コンプレックスを感じずにキャリアを築けるのも大きな魅力といえます。

  • 大卒より4年早く現場でキャリアをスタートできる
  • 地方公務員として安定した雇用・福利厚生が得られる
  • 社会的信用が高くローン審査などで有利になりやすい
  • 昇任試験に合格すれば学歴に関係なく昇進できる

高卒で警察官になるデメリット

一方で、初任給や同年齢時点の年収がI類(大卒)よりやや低い点はデメリットです。また、最初の昇任試験を受けられるまでの実務経験年数が大卒より長く設定されているケースが多く、同期入庁の大卒者と比較すると昇進のペースがゆっくりに感じられることもあります。

さらに、警察学校での初任教養期間が大卒(約6か月)より高卒(約10か月)の方が長く、寮生活を伴う厳しい訓練期間も相応に長くなります。管理職層に占める高卒出身者の比率が大卒よりやや低い傾向がある点も、事前に知っておきたい実態です。

  • 初任給・同年次の年収がI類よりやや低い
  • 最初の昇任試験を受けられるまでの期間が長め
  • 警察学校の初任教養期間が大卒より長い

試験対策や進路選びに一人で不安を感じたときは、20代の就職・転職支援に強いキャリアスタートまでご相談ください。公務員だけでなく民間の選択肢も含めて、あなたに合った進路を一緒に整理できます。

警察官に向いてる人の特徴

この章のポイント
  • 正義感が強く責任感のある人に向いている
  • 基礎体力に自信がある人が活躍しやすい
  • 冷静な判断力とコミュニケーション力も重要

ここでは、警察官の仕事に向いている人の特徴を3つの観点から解説します。

正義感が強く責任感がある人

警察官は個人の生命・身体・財産の保護や犯罪の予防、被疑者の逮捕など、公共の安全と秩序の維持を担う仕事です(厚生労働省 job tag「警察官(都道府県警察)」)。そのため強い正義感と、判断や行動に責任を持てる姿勢が欠かせません。

些細なミスや不正を見過ごさず、失敗をしたときには隠さず速やかに報告できる誠実さも重視されます。地域住民から信頼される存在であり続けたいという意識を持てる人は、警察官の仕事にやりがいを感じやすいでしょう。

体力に自信がある人

交番でのパトロールや事件現場への急行、犯人の追跡・確保など、警察官の仕事には体力を要する場面が数多くあります。採用後は柔道・剣道などの訓練も行われるため、日頃から体を動かすことが苦にならない人に向いています。

体力検査は事前の対策次第で十分にクリアできるものなので、現時点で自信がなくても、試験日から逆算して計画的にトレーニングを積めば問題ありません。継続して体を鍛える習慣を持てるかどうかがポイントです。

冷静な判断力とコミュニケーション力がある人

事件・事故の現場では、限られた時間の中で状況を正しく把握し、冷静に対応することが求められます。また、地域住民からの相談対応や被害者支援、取り調べなど、幅広い立場の人と適切にコミュニケーションを取る力も欠かせません。

警察官以外にも、人の安全を守る仕事は他にも数多くあります。興味がある人は以下の記事も参考にしてみてください。

人を守る仕事 アイキャッチ画像

高卒で警察官を目指すときの注意点

この章のポイント
  • 体力試験対策はできるだけ早く始める
  • 倍率は都道府県や年度によって変動する
  • 不合格でも民間就職など次の選択肢は複数ある

ここでは、高卒で警察官を目指すうえで押さえておきたい注意点を紹介します。

体力試験対策は早めに始める

筆記試験の対策に意識が向きがちですが、体力検査も合否を左右する重要な要素です。上体起こしや反復横跳び、持久走など種目は自治体によって異なるため、志望先の募集要項を早めに確認し、試験の数か月前から継続的にトレーニングすることをおすすめします。

また、警察官採用試験の倍率は都道府県や性別、年度によって変動します。人気の高い都市部では倍率が高くなりやすいため、複数の都道府県を併願するのも一つの戦略です。詳しい採用情報は警察庁「都道府県警察官採用応援サイト」で確認できます。

採用試験に不合格だった場合の選択肢

万が一、採用試験に合格できなかった場合でも、進路の選択肢は複数あります。翌年度に再挑戦する、他の公務員試験に切り替える、民間企業へ就職するなど、自分の状況に合わせて柔軟に考えることが大切です。

特に高卒での民間就職を考える場合は、資格の有無にとらわれすぎず、未経験からでも挑戦しやすい仕事を幅広く検討するのがおすすめです。以下の記事も参考にしてください。

20代高卒資格なしでも正社員就職できる!おすすめの仕事15選

高卒の就職活動全般でどのような選択肢があるのか、まずは全体像を知っておきたい人は高卒の就職についてまとめた記事も参考になります。実際に高卒で就職した人のリアルな声を知りたい場合は、以下の記事もあわせて確認してみてください。

高卒就職の現実は?メリットやおすすめの仕事、就活のコツも解説

高卒 警察官に関するよくある質問

ここでは、高卒から警察官を目指す人からよく寄せられる質問にお答えします。

高卒でも警察官の採用試験に合格できますか?

はい、高卒者はIII類(高校卒業程度)の区分で受験でき、実際に高卒から警察官として活躍している人も多くいます。学歴で合否が決まるわけではなく、区分に応じた対策を積めば十分に合格を狙えます。

高卒警察官の初任給はいくらですか?

警視庁の例では、III類(高卒)採用者の初任給は地域手当を含めて約27.9万円です。都道府県によって金額は異なるため、志望先の採用サイトで最新の数値を確認しましょう。

高卒と大卒で警察官の仕事内容に違いはありますか?

採用区分による仕事内容そのものの違いはほとんどありません。どちらも交番勤務からスタートし、本人の希望や適性に応じて刑事・交通・警備などの専門分野へ進んでいきます。違いが出るのは、主に初任給や昇任試験を受けられるまでの経験年数です。

警察官採用試験の体力検査はどのくらい厳しいですか?

特別なアスリート経験が必須というわけではありませんが、上体起こしや反復横跳び、持久走など基礎体力を測る種目が課されます。試験日から逆算して数か月前から計画的にトレーニングを積めば、無理なく基準をクリアしている人がほとんどです。

高卒から警察官を目指す場合、女性でも採用されますか?

はい、女性警察官の採用にも積極的に取り組んでいる自治体が多く、捜査全般や暴力団対策、警護など、女性警察官の活躍の場は全ての分野に拡大しています。性別を理由に採用区分が制限されることはありません。

警察官採用試験に落ちたらどうすればいいですか?

翌年度に再挑戦するほか、他の公務員試験に切り替える、民間企業へ就職するなど選択肢は複数あります。一人で抱え込まず、就職エージェントなど第三者に相談しながら次の一歩を考えるのもおすすめです。

まとめ

高卒者は警察官採用試験の「III類」区分に挑戦でき、大卒者より4年早く現場でキャリアをスタートできます。初任給や昇任試験の受験時期は大卒よりやや不利な面もありますが、勤続年数を重ね昇任試験に挑戦していくことで着実に収入を伸ばせる職業です。試験対策は筆記だけでなく体力面も早めに準備し、正義感と責任感を持って着実に歩みを進めていきましょう。進路に迷ったときは、20代の就職支援に強いキャリアスタートまでお気軽にご相談ください。

牛田

もし一人での進路選びに行き詰まりを感じたら、ぜひ私たち「キャリアスタート」を頼ってくださいね。高卒・未経験の就職支援実績も豊富にあります。履歴書添削から面接対策、求人紹介まで、内定までしっかり伴走しますよ。

ABOUT US
牛田 晴宣キャリアスタート株式会社 執行役員
東洋大学卒業後、携帯販売職や起業経験を経て、キャリアスタート株式会社に入社。キャリアカウンセラーとして若年層の就職・転職支援に従事し、2021年7月より大阪支店長を務める。「若者の輝く社会を作る」をビジョンに掲げ、関西エリアで求職者のキャリア相談に対応。自身の独立・再就職の経験を活かし、実践的なキャリアアドバイスを提供している。
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