「新卒で短期離職をしたら、転職できなくなる?」
「短期離職をすべきか迷っている。今の会社でもう少し頑張るべき?」
短期離職はキャリアの選択肢の1つといえますが、熟慮せず決断すると、キャリア形成において不利になることもあります。
この記事では、新卒が短期離職を選ぶ理由や知っておくべきデメリット、短期離職すべきかどうかの判断基準、転職のポイントを紹介します。
新卒の短期離職は今や当たり前?

かつては短期離職すると「やばい」と言われていましたが、今や珍しいものでもなくなってきています。
最新の短期離職の状況についてまずは理解しておきましょう。
(1)新卒の短期離職率
厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、新規大卒就職者の離職率は34.9%、高卒就職者の離職率は38.4%と報告されています。
このパーセンテージは前年度と比較して上昇傾向にあり、新卒の3人に1人以上が3年以内に離職していることがわかります。
(2)最短1日〜3ヶ月で短期離職する人も
短期離職は一般的に新卒から3年以内の離職を指すことが多いですが、最近はわずか1日〜3ヶ月での離職事例も報告されています。
退職代行サービス「モームリ」の報告によると、4月1日時点で新卒から5名(全体で134名)の依頼を受けており、入社後初めての土日を挟んだ4月7日には42名の新卒者からの退職代行依頼があったことを報告しています。
新卒が短期離職を選んでしまう理由とは

なぜ新卒者は短期離職を選んでしまうのでしょうか。その理由を解説します。
- パワハラや人間関係でのトラブル
- 仕事内容や労働条件が事前に聞いていたものと違う
- 給与や待遇に不満があった
- 会社の風土や価値観が合わない
- 会社の将来性が不安になった
- SNSに影響されたケースも
(1)パワハラや人間関係でのトラブル
短期離職を選ぶ理由で多いのは、パワハラや人間関係のトラブルです。
上司からの厳しい叱責やパワハラ的な言動、同僚や先輩社員との人間関係を苦にして、退職を決意する人は多いです。
特に新卒者はトラブルに巻き込まれても、周りに相談できる人間関係が構築できていないこともあり、悩みを抱え込んでやめてしまうケースが多くなります。
(2)仕事内容や労働条件が事前に聞いていたものと違う
企業から受けていた業務内容や労働条件の説明が、実態と異なることも短期離職の理由となります。
入社前と入社後のギャップが大きいと失望を感じるだけでなく、実際の業務内容や労働条件に適用できるか不安が大きくなるからです。
例えば「入社前は残業がないと聞いていたのに、みなし残業分は働くよう言われた」など、企業の説明が不十分であると短期離職につながりやすいです。
(3)給与や待遇に不満があった
給与や待遇に不満がある場合に短期離職を選ぶ新卒者も多いです。
特に給与は生活の質に直結する部分であり、この条件が異なると企業への信頼感を失ってしまいます。
例えば「事前説明では給与は26万円と聞いていたが、入社式で20万円の契約書を提示された」として、退職した事例もあります。
(4)会社の風土や価値観が合わない
入社後に会社の風土や価値観との不一致に気付き、短期離職を選ぶ新卒者もいます。
風土や価値観は言語化しにくく、入社してみないと分からないことが多いためです。
業務内容や給与に満足していても、風土や価値観が合わないと日々違和感を覚えながら働くこととなり、徐々に辛さが蓄積して退職を選びます。
(5)会社の将来性が不安になった
企業の将来性に不安を覚えたことも、新卒者の短期離職の原因となります。
将来その会社が存続できないような事件が起きれば、早期に退職して安定した企業へ転職したいと思うのは当然のことでしょう。
例えば、給与の振込が遅れたり、「経営が危うい」という噂を聞いたことが原因で、退職を選ぶ人が多いです。
(6)SNSに影響されたケースも
レバレジーズ株式会社の調査によると、短期離職を選んだ若者の3人に1人が、SNSの投稿に影響を受けたと回答しています。
SNSの投稿で仲間がいると感じたり、第二新卒での就職を進めるような投稿を見て「短期離職しても大丈夫だ」と背中を押されるようなケースです。
特にZ世代はSNSでの検索が情報収集の主な手段となっているため、意思決定にSNSの投稿が強い影響力をもつことも珍しくありません。
新卒が短期離職を選ぶデメリットや注意点

短期離職は決して悪いことではありませんが、この先のキャリア形成において不利となる可能性はあります。
新卒者が短期離職を選ぶデメリットや注意点についても、事前に理解しておきましょう。
- 「根気がない」「すぐに辞める」と思われるリスクがある
- 社会経験や業務スキルの不足から選べる求人が少なくなる
- 入社後手厚い研修が受けられないことがある
(1)「根気がない」「すぐに辞める」と思われるリスクがある
転職や再就職の選考の際に、採用側から「根気がないのでは」「またすぐ辞めるのでは」と思われるリスクはあります。
企業は採用コストを数百万円単位で支払って人材獲得をおこなっているため、なるべく定着しやすい社員を採用したいと考えます。
特に短期離職を繰り返したり、新卒から離職までの期間が著しく短いようなケースでは、採用側に定着性について不安を抱かせてしまうかもしれません。
(2)社会経験や業務スキルの不足から選べる求人が少なくなる
「新卒入社した19~23卒の3人に1人が「SNS上の短期離職に関する発信」が退職に影響」によると、短期離職者の半数以上が「転職に苦労した」と回答しています。
短期離職をすると社会経験や実務スキルを十分に磨けないことが多く、未経験求人から次の転職先を探す必要が生じるからです。
そうなると条件に合う転職先が見つかりにくかったり、見つかったとしても履歴書に強みをアピールできず、書類選考を通過しにくかったりします。
(3)入社後手厚い研修が受けられないことがある
短期離職して中途採用枠で再就職をした場合、新卒者のように手厚い研修が受けられない可能性は高いです。
中途採用枠は基本的にすでに社会経験がある人向けの求人なので、業務内容以外についての研修はほぼありません。
そのため、ビジネスマナーなどは「当然知っていること」と見做され、教えてもらえない会社が多いでしょう。
新卒の短期離職者のその後とは?

新卒で短期離職を選んだ人は、その後就職できたのか?その後を紹介します。
- 転職活動をしたが、なかなか次の仕事が決まらなかった
- 第二新卒枠で興味ある業界へ転職できた
- 転職できたがまた短期離職してしまった
(1)転職活動をしたが、なかなか次の仕事が決まらなかった
入社後3ヶ月で離職し、その後新しい仕事を探したものの、半年程度仕事が決まらず苦労した人もいます。
その方が就職に苦労した理由は「なぜ3ヶ月で離職に至ったか」の理由をうまく説明できなかったこと、また実務経験がほぼないため未経験求人が見つからなかったことでした。
一時は離職を後悔したそうですが、覚悟を決めてじっくりと希望の転職先を探し続けた結果、今は楽しく働ける環境にいるそうです。
(2)第二新卒枠で興味ある業界へ転職できた
新卒で入社した会社を半年で離職した方は、第二新卒枠を活用して、自分の興味があったIT業界へ転職を果たしました。
離職前から「このまま続けるより、自分が本当にやりたい仕事を探した方がいい」と考えていたため、転職活動では軸がブレなかったそうです。
ちょうどタイミングよく、未経験OKの第二新卒向け求人が出ていたこともあり、面接でも「自分の意思で道を選び直した」と前向きに伝えたことで好印象に。
結果、希望していた職種での内定を獲得し、今は研修を受けながら少しずつスキルを積み重ねているとのことです。
(3)転職できたがまた短期離職してしまった
一度目の短期離職のあと、何とか転職先を見つけた方もいます。
しかし、新しい職場でも環境が合わず、半年経たずして再び退職することに。本人も「またか…」という焦りと自己嫌悪に苦しんだそうです。
二度目の離職を経て、「自分には何が向いているのか」「何が原因で続かなかったのか」をしっかり振り返り、初めて本格的にキャリアカウンセリングを受けたとのこと。
結果、自分がチームよりも個人で淡々と進める仕事の方が合っていると気づき、今は工場のライン管理業務に従事しています。
「やっと落ち着ける場所に出会えた」と、過去の経験も前向きに捉えられるようになったそうです。
本当に短期離職すべきかのチェックリスト

新卒の短期離職はキャリアを築くうえの選択肢の1つですが、判断は慎重にすべきです。
短期離職を考えている方は、以下のチェックリストを用いて「本当に今辞めるべきなのか」を考えてみてください。
- 勢いだけで退職を考えていないか
- SNSの投稿など、誰かの意見に振り回されていないか
- 辞めたあとのビジョンやプランはあるか
- しばらく生活していける貯金はあるか
- 退職理由は改善できるか
- すぐに辞めるべき理由に当てはまるか
(1)勢いだけで退職を考えていないか
あなたは今、少し感情的になっていないでしょうか?
例えば、上司に叱られたり同僚に嫌なことを言われて、「明日行きたくない…もう辞めたい」と考えているようなケースです。
離職は悪いことではありませんが、辞める前に「今後どうするのか、どんな仕事をしたいのか」を熟考すべきです。
ちょっとした感情のもつれが原因で退職を考えているなら、一度冷静になって再考すべきでしょう。
(2)SNSの投稿など、誰かの意見に振り回されていないか
最近は退職代行利用を賞賛する投稿や、「離職者を出すのは企業だけの責任だ」というような論調が強くなっています。
もちろんこのような意見は間違いではありません。
しかし、考えるべきはあなたがこのような『他人の意見』に振り回されて、自分の行動や方針を決めていないかどうかです。
人の意見に影響を受けて離職してしまうと、いざ離職したあと「さて、辞めてどうしたいんだっけ?」と途方に暮れてしまうことがあります。
あなた自身が本当に離職したいのか、誰かの声にあなたの意見を投影しているだけなのかよく考えましょう。
(3)辞めたあとのビジョンやプランはあるか
短期離職をしたあとに、あなたは何をするかビジョンやプランを考えていますか?
「次はこんな会社が良い、こんな仕事がしたい」とビジョンがある方は、離職を選択してもすぐに行動できます。
ですが、「なんとなく行きたくない、多分会社や環境が悪いんだと思う」というような曖昧な理由で離職を選ぶのはおすすめしません。
退職後のビジョンなく辞めてしまうと、会社に求める理想像が固まっておらず、次の就職先でも何かしらの不満を見つけてまた短期離職を選んでしまう可能性があります。
(4)しばらく生活していける貯金はあるか
新卒で短期離職を選ぶ場合は特に、しばらく生活できる資金があるか考えましょう。
入社してからさほど時間が経っていなければ、貯金の額もさほど多くはないはずです。
また、雇用保険は離職日以前の2年間で、通算12ヶ月以上の加入が条件となっています。
そのため、入社から1年以内に自主退職する場合は雇用保険は受け取れません。
一人暮らしをしている方は特に、生活できる資金についてよく考えておきましょう。
(5)退職理由は改善できるか
あなたが会社を辞めたいと思った理由は、改善が不可能なものでしょうか?
例えば、部署内の人間関係が原因であれば退職ではなく、異動で解決できるかもしれません。
「不満をぶつけるのは悪い」と思うかもしれませんが、企業としてはいきなり辞められるよりも、相談のうえで解決できるのがベストと考えています。
あなたが勤めている会社が大手で、給与などの待遇に不満がないなら、一度上司や人事部へ相談してみても良いでしょう。
(6)すぐに辞めるべき理由に当てはまるか
以下のような「すぐに会社を辞めるべき理由」に当てはまるかどうかもチェックしましょう。
- パワハラがある
- いじめがある
- 労働環境や待遇が明らかに不当である
- 残業代が出ない
- 休日にサービス出勤させられている
- 社長や上司が長時間叱責する
- 給与の支払いが遅れる
このようなケースに当てはまる場合は、すぐにでも退職を考えた方が良いでしょう。
パワハラやいじめは心身にダメージを与える可能性があり、自分を守る意味でも退職すべきです。
また、残業代が出ずサービス残業させられたり、月に数十時間の残業があるなど待遇が不当なら、今のうちに退職して働きやすい環境の会社への転職を目指しましょう。
新卒が短期離職後にスムーズに転職するポイント

新卒者が短期離職後にスムーズに転職先を探すために覚えておきたいポイントを3つ紹介します。
- 第二新卒枠が狙える期間に退職する
- 退職前に転職先を探しておく
- 就職エージェントのサポートを利用する
(1)第二新卒枠が狙える期間に退職する
どうしても会社の環境が合わず短期離職を考えている場合は、第二新卒が狙える期間内に退職をしましょう。
一般的に第二新卒枠は卒業から3年以内の人材を意味し、その間なら未経験職種でもポテンシャル採用が狙える可能性があります。
この期間であれば、経験よりもポテンシャルを重視してくれる企業が多く、未経験の職種や業界にも挑戦しやすい傾向があります。
仮に在籍期間が短くても、「自分で決断してキャリアを見直した」と前向きに伝えることができれば、十分に採用されるチャンスはあるでしょう。
(2)退職前に転職先を探しておく
気持ちが切れてしまってすぐ辞めたくなる気持ちは分かりますが、退職前に転職活動は始めておくべきです。
事実、退職後のことを考えずに離職した人で、次の仕事が半年以上決まらなかった方もいます。
特に短期離職後は職歴に対して企業の見る目が厳しくなる可能性があるため、なるべくブランクを作らず転職を目指した方がキャリア形成においては有益です。
(3)就職エージェントのサポートを利用する
短期離職後の転職活動では、「書類がなかなか通らない」「面接でうまく説明できない」といった壁にぶつかりがちです。
これは退職した理由を前向きに言語化するのが難しいためです。
しかし、企業がブラックで短期離職したような場合に、それを正直に伝えるのは難しいはず。
そこで就職エージェントを利用すれば、退職理由の深掘りや言い換えのサポートを受けられます。
また、面接でよく聞かれる質問への答え方や、企業側の視点に立ったアピールの方法も具体的にアドバイスしてもらえるため、初めての転職でも不安がぐっと軽減されるはずです。
新卒で短期離職を検討している方はキャリアスタートへご相談ください
新卒の短期離職は今や当たり前の時代になっていますが、考えなしに離職するとその後のキャリアプランに支障をきたします。
あなたが本当にやりたい仕事、理想の労働環境などをよく考えたうえで、ビジョンをもって離職と次の仕事へ向けて動き出すべきです。
短期離職後のビジョンがもてない方、転職に自信がないと感じる方は、新卒の短期離職者に強い「キャリアスタート」へご相談ください。
あなたと一緒に就職の軸を改めて考え、定着率の高い求人をご紹介可能です。
「新卒の短期離職はキャリアに不利かも」と不安を抱く方は、ぜひご相談ください。