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正社員とフリーターの違いを比較|収入・安定性・社会保障の差とは?

「正社員とフリーターはどう違うの?」
「フリーターはやばいとよく言われるけど、正社員になればどんなメリットがあるの?」

正社員とフリーターでは、収入面だけでなく社会保障や将来性においても大きな違いがあります。

フリーターは働き方の自由度が高い一方で、正社員は安定した収入や福利厚生が充実しているという特徴があります。

この記事では、正社員とフリーターの定義上の違いから給与・年収の差、福利厚生や社会保障の違い、さらには将来性の違いまで詳しく解説します。

正社員とフリーターの定義上の違い

正社員とフリーターの違いは「当たり前に知っている」と感じる人が多いですが、それぞれの定義を正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。

まずは正社員とフリーターの定義について解説します。

(1)正社員とは

正社員とは、企業と無期限の雇用契約を結び、フルタイムで働く授業員のことです。

一般的に正社員は雇用期間に期限がなく、1日8時間週5日以上勤務するのが一般的です。

また、社会保険に加入しており、企業によっては賞与や昇給、退職金などの制度で給与以外にも報酬を受け取れます。

なお、厚生労働省の定義では「常用労働者や正規雇用」と呼ばれることがあります。

(2)フリーターとは

フリーターとは、主にアルバイトやパートで働く15〜34歳の人を意味します。

正社員ではなく非正規雇用で働いており、勤務時間はシフト制でフルタイム・短時間時勤務のどちらも選べます。

企業によっては社会保険への加入がなく、また賞与や退職金などの制度も用意されていません。

正社員とフリーターが受け取る給与や年収の違い

正社員とフリーターの違いを、給与や年収の面から比較してみましょう。

  • 月給制と時給制
  • 平均年収の差
  • 賞与などの違い

(1)月給制と時給制

正社員は一般的に月給制で、雇用契約で定められた給与を毎月受け取ることができます。

勤務日数にかかわらず一定額の給与が支給されるのが特徴で、さらに役職手当や残業手当、通勤費などの各種手当も受け取ることが可能です。

一方でフリーターの多くは時給制で、雇用契約に定められた時給を基準に、働いた時間分の給与を受け取ります。

そのため繁忙期や長時間働ける時期は収入が増えますが、シフトが少ない時期は収入が減少するのが特徴です。

(2)平均年収の差

国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査結果」によると、正社員の平均年収は530万円です。

一方でフリーターの平均年収は202万円であり、年収にして328万円もの差が出ています。

これは、正社員は給与以外にも賞与や各種手当が受け取れるのに対し、非正規雇用であるフリーターは賞与等がなく、昇給の機会も限られるためです。

(3)賞与などの違い

正社員の場合は年に2回(夏と冬)賞与が支給される企業が多いです。

賞与の支給額は基本給の何ヶ月分かが企業によって定められており、一般的には1〜3ヶ月程度、多い場合は6ヶ月以上の場合もあります。

一方で、フリーターには基本的に賞与制度はなく、働いた分の時給のみが支給されるのが一般的です。

ただし、長期間働いているアルバイトや福利厚生が充実したアルバイト先の場合は、寸志(数万円程度)が出ることがあります。

正社員とフリーターの福利厚生や社会保障の違い

正社員とフリーターでは、福利厚生や社会保障制度にも違いがあります。

双方の違いについてより詳しく解説します。

  • 社会保険や厚生年金の有無
  • 有給休暇や産休育休
  • 病気や怪我をした際の保障

(1)社会保険や厚生年金の有無

制度内容正社員フリーター
健康保険○(会社と折半)△(未加入なら国保)
厚生年金○(会社と折半)△(未加入なら国民年金)
雇用保険△(条件を満たせば加入可能)
労災保険

正社員は基本的に上記の社会保険や厚生年金のすべてに加入します。

これらの社会保険や厚生年金は労使で折半となり、半額を企業側が負担してくれるのが特徴です。

特に厚生年金は国民年金よりも将来の年金額が増えるため、老後の備えとしてもメリットがあります。

一方でフリーターは勤務条件によっては以下の社会保険の加入条件を満たせず、国民健康保険や国民年金にのみ加入している場合があります。

フリーターの社会保険の加入条件とは
  • アルバイト先の従業員数が51名以上
  • 給与が月額88,000円以上
  • 週の労働時間が20時間以上
  • 2ヶ月を越える雇用の見込みがある

国民健康保険や国民年金は保険料や年金を半分会社で負担する仕組みがなく、年収によっては保険料が高額になり、手取りが減る可能性があるでしょう。

フリーターが損をしない年収の壁については、こちらの記事で解説しています。

(2)有給休暇や産休育休

制度正社員フリーター(アルバイト)
有給休暇の付与△ 
※週の勤務日数・勤続年数により付与
産休(産前産後休業)
育休(育児休業)△ 
※契約更新の見込みなど条件あり

正社員には、法律に基づく有給休暇が与えられ、さらに企業によっては独自の休暇制度や産休・育休制度を利用できます。

これらの制度を利用すれば休暇中も給与が支給されるので、手取り額はほぼ変わらずに休暇が取れます。

なお、フリーターにも一定条件を満たすと有給休暇が付与され、雇用側にその利用を拒否する権利はありません。

しかし、現実にはシフトの問題で「有給を取りたい」と言い出せないなど、社員に比べて有給を使いづらいと感じる場合も多いでしょう。

また産休は労働基準法により、雇用形態に関係なくすべての女性労働者が利用できる制度のため、フリーターでも産休の取得は可能です。

また、以下の一定条件を満たせば男女関係なく育児休業も利用できます。

フリーターの育休の取得条件
  • 原則子供が1歳(最長2歳)までであること
  • 子供が1歳6ヶ月になるまで契約終了する予定がないこと

ただし、フリーターが産休育休を取得できることを知らなかったり、休暇の取得でシフトを減らされる不安から取得を諦める人も多いです。

(3)病気や怪我をした際の保障

補償内容正社員フリーター(アルバイト)
傷病手当金(私生活での病気・ケガ)△ 
※社会保険加入時のみ
労災保険(業務中・通勤中の災害)○ 
医療費補助制度・民間保障
 ※企業による
×
長期休職制度(心身の不調など)×
休業中の収入補償
(約6割)

(条件を満たせば)

正社員であれば病気や怪我で働けなくなった場合も、「傷病手当金」「労災」「医療費補助」「長期休職制度」など、多方面から保証制度が利用できます。

代表的なものが「傷病手当金」で、私生活での怪我や病気で仕事を4日以上休んだ場合に、健康保険から給与の約6割が最長1年半分支給されます。

また、仕事や通勤中の怪我の場合は労災保険が適用され、医療費の全額補償や休業補償の受け取りが可能です。

一方でフリーターは病気や怪我で休んだ場合はシフトが減るため、収入が激減します。

長期的に休めばその間の収入がゼロになり、生活できなくなるリスクもあるでしょう。

ただし、以下のようなケースでは補償が受けられる場合があります。

フリーターが病気や怪我の補償を受けられるケース
  • 通勤中の怪我や病気→正社員と同様に労災保険の対象
  • 私生活での病気や怪我で4日以上休み場合→社会保険加入者の場合は傷病手当の対象になる可能性あり

なお、フリーターの多くは社会保険に未加入のため、傷病手当金の対象外であることが多い点には注意が必要です。

正社員とフリーターの働き方や責任感の違い

正社員とフリーターには、働き方や会社における責任の違いもあります。

(1)働き方の自由度

正社員は基本的に雇用契約で定められた日数で勤務する必要があります。

多くの企業では週に5日以上、1日8時間勤務が原則となっており、繁忙期には残業が発生する可能性があります。

さらに、企業の都合での異動や転勤が命じられる場合もあり、働き方の自由度としてはさほど高くなありません。

一方でフリーターはシフトの希望を出せたり、働く日数や時間帯を自由に選べます。

働き方の自由度はフリーターの方が高いでしょう。

(2)仕事における裁量や責任の重さ

正社員は売上や利益、部下の育成など経営的な責任や長期的な目線での育成など、責任ある仕事を任されることが多いです。

昇進するほど経営的な目線をもった仕事が求められ、責任の重さは増します。

一方でフリーターは基本的に指示された業務をこなすのが役割で、責任範囲は限定的です。

正社員と比べるとプレッシャーは少ないですが、その分スキルアップの機会、裁量の範囲は小さくなります。

正社員とフリーターの将来性の違い

正社員とフリーターは将来性においても大きな違いがあります。

特に安定性や選択肢の広がりにおいて、違いが出やすいでしょう。

  • 昇進や昇給
  • 転職市場においての市場価値
  • ローン審査時などの信用性
  • 老後の生活

(1)昇進や昇給

正社員は職務評価や勤続年数に応じて、昇進や昇給の仕組みがあります。

役職が上がることで給与も上がることが多く、将来的には管理職や専門職へのキャリアパスが広がっているのが特徴です。

また、ひとつの企業で管理職などを経験していると、転職時にも高ポジションでの採用が練られるなど、選択肢も増えます。

一方でフリーターは昇進制度はほぼなく、あったとしても「リーダー」というアルバイトの枠組みの中での昇進に限定されます。

時給アップの機会はありますが、定期的なものではなく、上がり幅も数十円など大きな昇給は期待できません。

そのため、正社員と比べて長く働いても給与が上がりにくいです。

(2)転職市場においての市場価値

正社員とフリーターでは、転職市場においての市場価値にも差が出ます。

正社員としての経験がある人は転職市場でも、職歴や職場での業績によって一定の評価を得やすいです。

特にマネジメントの経験や数値の管理、業務改善実績などを提示できれば、即戦力になる人材として認められるでしょう。

対してフリーターとしての経験は、未経験OKまたは非正規職への転職市場では一定評価を得られるものの、正社員と比べると転職市場においての価値は低く見られることが多いです。

若いうちはポテンシャル採用も狙えますが、年齢が上がるほど転職ハードルが高くなります。

(3)ローン審査時などの信用性

住宅ローンやクレジットカードの審査においても、正社員とフリーターでは信用性の差が出ます。

正社員は安定した収入があり、また企業という後ろ盾があることから、ローンやクレジットカード審査にも通りやすいです。

一方でフリーターは収入の変動が大きく、雇用契約が短期間であることから金融機関の審査が厳しくなる傾向にあります。

(4)老後の生活

老後の生活においても、正社員とフリーターには生活の差が出ます。

正社員は厚生年金に加入していることから、将来受け取れる年金の支給額が大きくなるためです。

一方でフリーターで社会保険に加入していない場合は、国民年金のみしか受け取れません。

ここで、厚生労働省のデータを元にして、将来もらえる年金額を比較してみましょう。

令和 7年度の年金額の改定について|厚生労働省」によると、40年間厚生年金を支払った方が将来受け取れる年金額の目安は、月額13〜15万円です。

一方で国民年金の月額目安は69,308円と、厚生年金を支払っている場合と比べると月額ベースで6〜8万円は少ない計算になります。

上記の金額を考えると、国民年金のみで老後生活するのはかなり厳しく、将来への不安が大きいことがわかります。

正社員とフリーターの違いを理解して将来を考えよう

正社員とフリーターには、給与体系や社会保障、働き方の自由度、将来性など、さまざまな面で違いがあります。

正社員は安定した収入や充実した福利厚生が魅力である一方、フリーターは働き方の自由度が高いのがメリットです。

しかし、長期的な視点で見ると、正社員は昇進や昇給の機会があり、ローン審査などでも有利です。

また、厚生年金に加入できるため、老後の生活においても安心感が違います。

正社員とフリーターの違いを知ったうえで正社員への転職をお考えの方は、キャリアスタートへご相談ください。

あなたの経験やスキルを活かした職場探しをサポートし、安定した将来へのステップを一緒に歩みます。