「短期離職をしたらもう転職は無理?」
「短期離職者に対して、採用側はどんなイメージをもっているだろう」
短期離職をしたら転職できないというのは事実ではありませんが、転職に苦労する人が多いのも事実です。
これは短期離職後の転職のコツを知らないことが原因です。
この記事では、短期離職しても転職は可能という事実と短期離職を繰り返すリスク、内定が獲得できない人の特徴を紹介しています。
後半では、短期離職後の転職のコツを解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
短期離職をしても転職は可能

短期離職をしたら転職に響くと考えている人がいますが、転職は可能です。
(1)短期離職は増加傾向にある
厚生労働省が発表した「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」によると、3年目までの離職率は増加傾向にあります。
こちらは、上記の資料から大学新規卒業者の離職率を表にしたものです。
年度 | 1年目離職率(%) | 2年目離職率(%) | 3年目離職率(%) |
---|---|---|---|
令和2年 | 10.6 | 11.3 | 10.4 |
令和3年 | 12.3 | 12.3 | 10.3 |
令和4年 | 12.1 | 11.8 | – |
令和5年 | 10.9 | – | – |
この表からもおよそ10人に1人以上は1年以内に離職を選んでいることがわかります。
つまり採用側もこの事実を認識しており、短期離職をしていたからといって、書類審査で落とすような風潮は薄まってきていると推測されます。
(2)日本の雇用に関する価値観も変化している
かつての日本には「正社員になれば、退職まで安定した暮らしができる」という風潮があり、多くの人は1つの会社に長年勤めることをよしとしてきました。
しかし、景気の悪化やコロナウィルスの感染拡大の影響からこの価値観が崩れ始め、「自らにとってベストな会社へ、どんどん挑戦すべき」という価値観が生まれています。
「短期離職はキャリアのための選択肢」と考えられるようになっており、昔ほど短期離職が悪いイメージを持たれなくなっています。
(3)採用担当者は辞めた理由と「また離職するかどうか」を気にする
採用側は短期離職自体を問題視しているのではなく、「なぜやめたのか」「また離職するかどうか」を見極めたいと思っています。
そのため、採用側が懸念する上記2点をクリアできれば、短期離職したこと自体は問題ではありません。
あなたが志望先企業に定着できる理由を明確に説明できれば、短期離職したからといって転職に不利にはならないでしょう。
短期離職を繰り返すと起きるリスク

短期離職それ自体は転職のリスクとはなりませんが、あまりに短期離職の回数が多いのは問題です。
短期離職を繰り返すとどのようなリスクがあるか説明します。
- 「また辞めるのでは」と不安視される
- 転職回数が多いと「軸がない」と思われる
- 書類選考や面接で理由を深掘りされやすくなる
(1)「また辞めるのでは」と不安視される
短期離職を繰り返した場合、採用側からあなた自身に「根気がない、嫌なことから逃げる性格だ」と思われる可能性があります。
つまり、採用しても「また辞めるだろう」と思われてしまうのです。
企業としても定着性の高い人材を雇用したいため、何度も短期離職している人の採用は避けるでしょう。
結果として短期離職を繰り返してしまうこととなり、最終的に正規雇用してもらえる口がなくなる可能性があります。
(2)書類選考や面接で理由を深掘りされやすくなる
短期離職を繰り返すと、書類選考や面接で退職について詳しく聞かれるようになります。
あなたの職業観や価値観が企業とマッチするかを見極めるためです。
さらに、単なる転職理由ではなく「なぜその職場を選んだのか」「なぜ続かなかったのか」「そこから何を学んだのか」といった、掘り下げた質問が続きます。
このときに答えが曖昧だったり、責任を周囲に押し付けるような発言をすると、「この人は成長意欲がない」「また同じ理由ですぐに辞めるのでは」と判断され、選考に通りにくくなります。
(3)中途採用枠でライバルと戦えなくなる
短期離職を繰り返しているうちに第二新卒として扱ってもらえる時期を過ぎてしまうと、次は「即戦力」を前提とする中途採用枠に応募せざるを得なくなります。
しかし、どの職場でも短期間しか働いていなければ、業務を一通り覚える前に辞めている可能性が高く、スキルや実務経験が蓄積されていません。
その結果、「年齢の割にスキルが乏しい」と判断され、他の応募者と比べて明確に不利になります。
短期離職を繰り返すほど、選べる企業や職種の幅もどんどん狭まっていくのです。
短期離職で転職が不利になる人の特徴

短期離職で転職が不利になる人の特徴をまとめました。
- 辞めた理由を他責にしている
- 不足しているスキルを補う努力が欠けている
- 退職理由を改善する努力が見られない
- 転職活動を軽視して適当に応募している
(1)辞めた理由を他責にしている
退職理由を「会社のせい」「上司のせい」といった他責で語ると、採用側は警戒します。
たとえば「仕事をきちんと教えてもらえなかった」「自分がやりたい仕事を振ってもらえなかった」といった発言は、自分から改善のために動かなかった印象を与えます。
企業はこうした姿勢から「また不満を感じて辞めるのでは?」「やりたくない業務を避ける傾向にあるのかもしれない」と判断し、選考を見送る可能性が高いでしょう。
(2)不足しているスキルを補う努力が欠けている
スキル不足そのものが問題なのではなく、それを補おうとする「主体的な努力」が見えない人は、採用されにくい傾向にあります。
志望先企業やその業種で働くための熱意が見えにくいからです。
例えば「関連業種については未経験ですが、入社後に覚えます」というような回答は一見やる気があるように見えて、実は何も準備していないことの証明にもなります。
企業側は「本当に学ぶ気があるなら、すでに勉強を始めているはず」と考えるからです。
そのため、自ら学び始めた実績がないと「ただの口だけ」と見なされ、選考で不利になる可能性が高まります。
(3)退職理由を改善する努力が見られない
前職での退職理由を改善する意欲が見られない人も、採用されにくいです。
例えば、前職の短期離職が「残業の多さ」であるのにも関わらず、残業が多い企業へ応募してきたようなケースです。
企業は「残業の多さがネックであれば、うちでも続かない」と考え、選考を見送るでしょう。
このように、退職理由と応募先の条件に一貫性がないと、「環境を選ぶ基準が曖昧な人」「問題を自分ごととして捉えていない人」と見なされやすく、結果的に選考で不利になります。
(4)転職活動を軽視して適当に応募している
短期離職のあと、なんとなく求人に応募しているだけの姿勢は、すぐに見抜かれます。
企業研究が浅く、理念や事業内容を聞かれても答えられなかったり、志望動機が曖昧で、職種理解も不十分といったケースです。
そのような状態では、企業から「数打ちゃ当たる型の応募だな」「条件だけで選んでいるな」と判断されてしまいます。
採用側は、ただの労働力ではなく「自社にフィットする人材」を探しています。
だからこそ、熱意や準備が感じられない応募者は、最初の書類・面接段階で簡単に落とされてしまうのです。
転職で短期離職の理由を伝える際の注意点

短期離職の理由を採用シーンで伝えるのは難しいものです。
理由の伝え方によっては企業側に悪印象を与えるので、以下の点に注意して回答を考えましょう。
- 前向きに退職理由を伝える
- 退職後の行動を付け加える
- 「この会社で長く働きたい」理由を熱意をもって説明する
(1)前向きに退職理由を伝える
退職理由がどれほど正当でも、前職の不満や批判をそのまま伝えるのは避けましょう。
採用担当者はネガティブな理由を聞かされると、「また不満をもつのでは?」と感じてしまいます。
例えば、前職で「指示が曖昧で仕事がやりにくかった」というよりも「主体的に動ける環境で働きたいと思った」の方が、ポジティブな印象を与えます。
不満を目標に言い換えるよう意識し、退職理由の答え方を検討してください。
(2)退職後の行動を付け加える
短期離職の理由を伝える際は「退職後に何をしていたか」も伝えるようにしてください。
特に、短期離職後にブランクがある場合は、この補足情報が重要です。
例えば「ブランクはありますが、入社後すぐに活躍できるように、必須の資格を取得していました」と伝えることで、計画性があること、そして熱意をもって応募したことが伝わります。
(3)「この会社で長く働きたい」理由を熱意をもって説明する
短期離職の経験がある応募者に対して、企業側が最も懸念しているのは「また辞めるのでは?」という再発リスクです。
この懸念を晴らすためには、今後は長く働きたいという意志をしっかり伝えることが大切です。
「この会社の○○という事業内容に共感し、自分のキャリアと重なる部分があると感じた」「この環境なら腰を据えて成長できると感じた」といった形で、納得感のある理由を示しましょう。
短期離職者が転職先を探すコツ

短期離職を経験した人が転職先を探す際は、以下3つのコツを意識しましょう。
- 前の会社で離職につながった理由を整理する
- 自分が次にやりたいことを整理し目的を持つ
- 転職エージェントを利用する
(1)前の会社で離職につながった理由を整理する
まずは、あなたがなぜ前の会社を短期で辞めるに至ったかを整理しましょう。
あなたが不満感じたポイントを明らかにし、その不満を感じにくい企業に志望対象を絞り込むためです。
例えば、人手不足で残業が多いことに不満をもって退職したなら、次はライフワークバランスが整った企業を選ぶのが適切です。
給与や待遇に不満があった場合は、給与や賞与などの条件面、福利厚生などの理想の条件を考え、それに近い企業に応募しましょう。
(2)自分が次にやりたいことを整理し目的を持つ
短期離職を繰り返さないためには、「なぜ転職したいのか」「自分はどんな仕事をしたいのか」を明確にすることが不可欠です。
この自己分析を怠ると、次の職場でも同じミスマッチを繰り返してしまうリスクがあります。
例えば、次のようなポイントを自分に問いかけてみましょう。
- どんな業務内容にやりがいを感じるのか?
- 興味のある業界は何か?
- キャリアにおいて何を達成したいのか?
これらを整理することで、「給与がいいから」「なんとなく募集していたから」といった曖昧な理由ではなく、自分の意思で選んだ仕事に就くことができます。
結果として長く働ける職場に出会える可能性が高まるでしょう。
(3)転職エージェントを利用する
あなたに適した転職先を見つけるために、転職エージェントを利用するのもおすすめです。
転職の軸を決めるには徹底した自己分析が必要ですが、1人でおこなうと行き詰まったり、分析が甘くなったりしがちです。
しかし、転職エージェントを利用すればキャリア形成の経験が豊富なスタッフの助けを借り、客観的な意見を含めた自己分析ができます。
自分でも気付かなかったような前職への不満、次の就職先への希望、また本当にやりたいことが見つかるかもしれません。
これによって、次こそあなたが好きなことを、一生の仕事にできる可能性が高まります。
短期離職からの転職はキャリアスタートへご相談ください
「短期離職をしたら転職できない」という人がいますが、事実ではありません。
きちんと退職の理由を説明でき、志望理由を伝えられれば、短期離職それ自体は問題にならないからです。
大切なのはあなた自身が短期離職の理由を整理し、次にやりたいことを明確にすることです。
しかし、1人で短期離職後の転職活動をして苦労する人が多いのも事実。
そんなときは、キャリアスタートへご相談ください。
キャリアスタートは、短期離職後の転職活動のサポート実績が豊富で、退職理由の分析からあなたにぴったりの就職先をマッチングすることに強みをもっています。
転職先探しから書類選考対策、面接対策まで幅広いサポートが可能なので、ぜひ一度ご相談ください。