スマホ・パソコンを始めとしたネットワーク機器、WEBを介した様々なアプリケーションやサービスなど、多くの人々が無数のインフラに囲まれた利便性の高い生活を送る現代。
目覚ましい進歩を遂げるIT分野では、世界中の期待と注目を集めるAI・IoT・クラウドといった新技術の実用化を目指し、多くの企業や研究機関が凌ぎを削っています。そんな新たなインフラを支えるための基盤づくりと運用に大きく携わる「ネットワークエンジニア」は、非常に将来性の高い専門スキルとして認知され、急速に需要が高まりつつあります。
業界的に人手不足ゆえに求人数は年々増加傾向にあり、ゼロからエンジニアの教育を行うスクールや人材紹介会社も活況で、時代のニーズにマッチしたお仕事と言えるでしょう。そんな「ネットワークエンジニア」を目指す方のために、業務内容や仕事のやりがいなど詳しく解説していきます。
ネットワークエンジニアの基礎知識
そもそもネットワークエンジニアはどのような業務に従事する人を指すのか、基本から見ていきます。
ネットワークエンジニアとは?
ネットワークエンジニアとは、「コンピューター上のデータをスムーズに送受信できる”ネットワークインフラの運用・構築・管理”を行う技術者」のこと。普段当たり前にやっているSNSの閲覧・動画視聴・通信販売・メールなどインターネット上での様々なアクションは、ルーターやスイッチといった専用の通信機器を介したデータの送受信によって行われ、その基盤となるシステムをネットワークインフラと呼びます。例えば電気・水道・ガスは必須の生活インフラとして根付いていますが、電車に線路が必要であるように、個々の家庭まで届けるための流れと基盤が整っていなければ使えません。同様に、コンピューター上での快適な通信やソフトウェアを動かすための回線・通信機器・サーバーなど基盤となるITインフラづくりが必要であり、その”ネットワークインフラ”の設計・構築・運用を担うのがネットワークエンジニアという仕事です。
主な仕事内容
ネットワークエンジニアの主な仕事は大きく分けて3つあります。
・設計
クライアントの要望をヒアリングした上で、手がける案件のネットワーク構成や機器の選別といった詳細を把握しまとめることを「要件定義」と言い、設計書づくりと合わせて最初に取りかかるべき作業です。希望条件との技術的な擦り合わせや開発に深く関わる部分であることから、この設計段階を固めることがプロジェクト成功に直結すると言われる重要な上流工程です。
・構築
実際にシステムを作っていくのが「構築」です。デスクワークの他にも通信機器調達やケーブルの接続といった現場作業もあり、設計で組み立てた完成図に近づけていくプロジェクトのメイン工程になります。また作ったシステムは運用前にテストを行い、起きうるトラブルの可能性と対応を模索することも非常に重要です。
・運用・保守
運用中のネットワークを正常に動かすための維持と監視を行う工程です。クライアントの要望や状況に応じて、システムの見直しや通信機器のアップデート・各種メンテナンスなど実装後のサポートを行います。また、トラブル発生時は迅速な原因特定やフォローが求められ、長きに渡って企業と付き合いながら日々のITインフラを守っていくことも大切な仕事の1つです。
他の職種との違い
IT業界には、ネットワークエンジニアと似た職種として「システムエンジニア」や「サーバーエンジニア」があります。企業・現場によっては重複する業務もあり、混同されることも多いこれらの仕事の違いにフォーカスしていきましょう。
<システムエンジニア(SE)>
ネットワークエンジニアがコンピューターを繋いで共有するためのネットワークシステムを構築する仕事なら、システムエンジニア(SE)はプログラミング言語や専門技術を駆使した”ソフトウェアの企画や開発”をメインとするお仕事です。例えるなら、ネットワークエンジニアが線路、システムエンジニアが車両を作る役割と表現でき、双方が揃うことで価値あるサービスを享受できます。
<サーバーエンジニア>
WEBサーバーやメールサーバーなど、ネットを通じた様々なサービス・機能・情報を提供する企業側のコンピューターを“サーバー”と呼び、OSやセキュリティの知識を活かしてそれらの構築と管理を行います。サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは厳密に役割は違いますが、2つを総称して「インフラエンジニア」と括られることもあり、関わりの深い職種です。
ネットワークエンジニアに求められるスキルとおすすめの資格
ここからは、求められるスキルや経験・取得すると有利な資格等を見ていきます。
ネットワークエンジニアに必要なスキル
ネットワークエンジニアに必要とされるスキルは大きく分けて以下の3つです。
コミュニケーション力
パソコン作業やデスクワークのイメージが先行しがちですが、実は高いコミュニケーション能力を求められる仕事でもあります。担当するクライアントの要望やニーズを正確に汲み取った上で、ケースバイケースで適切な現場判断を求められることはもちろん、トラブル発生時は専門知識が無い人にわかりやすく説明するための対話力など、柔軟な顧客対応が肝となる一面があります。
論理的思考力
求められるスキルとして論理的思考力も挙げられます。1つはクライアントの要望に沿った最適な設計を行い、理論立ててネットワーク環境を構築する”流れ”を作ることがネットワークエンジニアの大きな役割であること。2つ目は、システム障害が起きた時まずネットワークの不調を疑われることが多いため、真っ先に迅速な原因究明と対応が求められるという理由です。種類の違うものを繋げるネットワーク構築の仕事だからこそ、スピーディーな論理的思考力を活かす場面が多いでしょう。
ITに関する知識・興味
ITに関する知見と興味も当然ながら重要です。仕事に直結するため、TCO/IP、ルーティング、無線LANなどネットワーク構築に関わる専門知識は必須で、セキュリティ・サーバーなど関わりが深いIT系知識の有無も業務の幅を広げるポイントです。進歩が早い業界なので、常に関心を持って新しい技術を学ぶ姿勢と意欲を燃やせる柔軟な人に向いている仕事と言えます。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格
ネットワークエンジニアとして就職活動をする際のアピールや、現場に入った時に役立つ実践的な資格をいくつかご紹介します。
CCNA
CCNAは「Cisco Certified Network Associate」の略称。世界最大手ネットワーク関連機器メーカー・シスコシステムズが手掛ける民間資格で、”シスコ技術者認定”の1つです。ネットワークエンジニアに必須の基礎的技術や知識を有していることを証明できる世界共通基準の資格として、業界での知名度も非常に高く就活にも有効です。難易度が低い方から「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」「アーキテクト」の5つのレベルが存在し、実務で通用する最もポピュラーなものがアソシエイトレベルに属するCCNAになります。受験方法としては、「100-105J ICND1」と「200-105J ICND2」の2回の試験が必要なものと、それらを合わせ1回の受験で合格となる「200-125J CCNA」の2パターンがあります。ルーティングやスイッチング等のネットワーク基礎からインフラストラクチャまで試験科目は幅広く、CCNAを目指せば誰でも必ずスキルアップできる間違いのない選択と言えるでしょう。
CCNP
CCNAの上位に位置するシスコ技術者認定の1つで、前提としてCCNAに合格していることが受験資格となっています。試験コースは8種類ほどあり、より大規模なネットワーク構築・保守をマスターしたと見なされる実践的な内容で、3年以内に選択したコースの全科目に合格することで認定されます。
CCIE
シスコ技術者認定試験の最高レベルに位置し、世界的にネットワーク技術のエキスパートであることを証明できる資格です。筆記と実技2つの試験が用意され、幅広い知識だけでなく実務的な腕や知見も必要となります。業界内でも価値のある資格なだけに難易度も高いため、下のレベルから挑戦してスキルアップし、徐々に馴れていくのがおすすめです。
ネットワークスペシャリスト試験
経済産業省が実施する国家試験制度「情報技術者試験」の1つで、日本において最もレベルの高いネットワーク技術を有していると証明できる資格です。海外でも通用するため難易度が高いことで知られ、独学での取得は困難と言われています。比較的難易度が低い資格から挑戦していくか、専門スクールを受講したり実務を通して学んでいく方が合格の近道になるでしょう。
情報処理安全確保支援士試験
2017年4月から新設された「サイバーセキュリティ分野」に特化する専門性の高い国家資格です。最大の特徴は、「情報処理安全確保支援士」という名前での活動ができること。エンジニアとしてより高いレベルでの活躍が可能になり、主にセキュリティ業界で有効な資格と言えるでしょう。
基本情報技術者試験
IT業界の初心者に必須の基礎知識で、国家資格「情報技術者試験」の1つとして非常に名高い資格です。キャリアのスタートとしても相応しく、また数ある資格の中で難易度も比較的易しいため、ネットワークエンジニアはもちろんプログラマーやSEなど、IT系職種の登竜門として人気です。
ネットワークエンジニアのやりがい
ネットワークエンジニアとして働く上で「やってて良かった」と思えるやりがい・メリットについて解説していきます。
ネットワークシステムが完成したときの達成感が大きい
プロジェクトが大きくなるほど様々な人や技術が関わってくるため、設計が複雑になる・スケジューリングが難しい等、全体的に仕事量が増える傾向にあります。その分、システム完成時の喜びはひとしおで、更にレベルアップした実感を得ることもでき、達成感に満ち足りる瞬間が多い仕事です。
スキルが上がれば高年収を目指すことができる
平成29年8月の経済産業省調査によると、IT技術スペシャリスト(NW)の平均年収は758万2000円と高水準に位置しています。時代の流れや実力によって年収に差が出やすいのがIT業界ですが、スキルアップした上でマネジメントを行うチームリーダーや主任等の地位に昇格すれば、メキメキと年収が上がる可能性も高まります。世界標準で価値の高いネットワーク関連資格も数多く、スキル次第でフリーランスや独立などグローバルで自由な働き方も選択できるでしょう。
【出典】経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(平成29年8月21日)P6,P7
将来性がある
ネットワークは、インターネットを始めAWSに代表される大手企業運営のクラウドサービス・IoT家電の普及・通信前提のネットゲーム開発など様々な場面で多用され、重要なインフラの1つとなっています。日々のセキュリティ対策や通信料増加によるトラフィック解消など需要と汎用性が高く、手に職をつけたい・専門性を高めたい方にピッタリの将来性が高い仕事です。
未経験からネットワークエンジニアを目指すなら「キャリアスタート」
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キャリアスタートの特徴
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先輩たちの声
実際にキャリアサポートから就職に成功した、先輩たちの声をいくつかご紹介します。
R・Oさん
飲食店で働いていましたが、労務環境を改善し新しい業界でキャリアアップをしたいと思い、エンジニアに転職しました。漠然と就活を始めたからか上手くいかず、履歴書添削や面接対策など基本からサポートしてくれるキャリアスタートにお願いしました。連絡もマメで細やかに対応してくれ、苦手だったけど何度も模擬面接で鍛えてもらい、応募から内定までスムーズに進んだのでとても満足です。
角陽介さん
中卒でアルバイトをしていましたが、もっと安定して稼げる仕事にチャレンジしたいと、転職のプロにお願いしたのがきっかけです。対応に不安がある転職エージェントが多い中、キャリアスタートは親身に話を聞いてくれ、自分に合う複数の企業を紹介してくれました。面接なども根気強く丁寧にフォローしていただき、内定まで導いてくれたことは感謝しています。
社会の流れと共に変化できる柔軟な人こそが生き残れる時代
長い間当たり前とされてきた、終身雇用・年功序列・副業推進など日本的雇用崩壊の兆しが見える近年。最新AIの導入やIoT家電など、全てがインターネットいう巨大なインフラを中心に整備され、より利便性の高い暮らしを可能にする新技術が次々と登場し、IT関連職種の需要が高まっています。
今後はそんな社会の流れと共に新しい技術の習得に挑戦したり、今までのやり方をがらりと変えられる柔軟性のある人材になることが、変化の早い現代で心地よく生きていくコツになります。ぜひこれを機に、自分のキャリアとこれからを見つめ直してみて下さいね!