「正社員なのにボーナスなしは違法じゃないの?」
「そもそも、正社員はボーナスをどのくらいもらっているんだろう?」
このような疑問はありませんか?
そこで、本記事ではボーナスを支給している会社の割合や賞与平均額など、ボーナスに関する情報を紹介します。
併せて、ボーナスのない会社で働くメリット・デメリットも解説するので、ボーナスが支給されず会社を辞めるべきなのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1.ボーナス制度がない会社は1割以上存在する
「令和4年就労条件総合調査の概況」では、87.9%の企業に賞与制度があると発表されました。
賞与制度がある会社のうち、「賞与を支給した」と答えた会社は 92.8%、「賞与を支給しなかった」と答えた会社は 6.5%です。
つまり、賞与制度自体がない会社は1割以上あり、賞与制度を設けていても何らかの理由でボーナスを支給していない会社も存在することがわかります。
2.正社員のボーナスの平均額はどのくらい?
令和5年賃金構造基本統計調査によると、正社員のボーナスの平均額は、90万9千円でした。
年齢別の平均賞与額と毎月の平均給与は、以下の通りです。
年齢 | 年間賞与・その他特別給与額 | 平均月給 |
全世代 | ¥909,000 | ¥318,300 |
~19歳 | ¥148,700 | ¥190,000 |
20~24歳 | ¥378,900 | ¥224,600 |
25~29歳 | ¥663,100 | ¥258,300 |
30~34歳 | ¥802,100 | ¥286,000 |
35~39歳 | ¥938,100 | ¥314,800 |
40~44歳 | ¥1,030,900 | ¥338,800 |
45~49歳 | ¥1,119,800 | ¥355,700 |
50~54歳 | ¥1,219,100 | ¥376,400 |
60~64歳 | ¥723,600 | ¥305,900 |
65~69歳 | ¥362,000 | ¥269,800 |
70歳~ | ¥270,300 | ¥254,400 |
上記データでは、賞与・月給ともに年齢に比例して金額が上がっており、定年退職をする60代からは減少しています。
また、年齢が上がることによる月給の増加率よりも賞与の増加率が高いことがわかります。
つまり、ボーナスなしの場合は賞与が支給されない分、年収が少なくなってしまうだけでなく、年齢を重ねていくにつれて年収の差が大きくなるのです。
3.ボーナスがない会社の特徴・理由
ボーナスが支給されない会社には、以下の特徴・理由があります。
順に説明します。
(1)設立したばかりの企業
設立して間もない企業は賞与制度が整っていないケースがあり、そういった場合はボーナスが支給されません。
また、ベンチャー企業は投資機関などから資金援助を受けて経営しており、業績が上がらないうちは従業員にボーナスを支払う余裕がないことも考えられます。
ただし、どちらも業績が上がっていけば、ボーナスの支給がはじまる可能性は十分あるでしょう。
加えて、企業が人材の流出を防ぐために、以下の方法で社員に還元する場合があります。
- 本人の成果次第で給与以外の報酬を支給するインセンティブ制度を採用している
- 食事や商品、旅行など金銭以外の報酬を支給する
- 自社株を一定の行使価格で購入できるストックオプション制度を設けている
上記の場合は、ボーナス制度がないことが必ずしもネガティブであるとはいえないでしょう。
(2)賞与を支給する余裕がない(該当年度の業績が悪い)
零細企業や中小企業の中には、社員にボーナスを支払う経済的余裕がないこともあります。
また、業績が悪化したことでボーナスカットになるケースも少なくありません。
企業は利益を十分に上げられなかったとしても社員の基本給を簡単には下げられないので、ボーナスで調整しています。
実際にJob総研の『2021 夏のボーナス実態調査』では、2021年夏にボーナスが支給されなかった人の65.8%が前年の夏にはボーナス支給があったと発表されました。
新型コロナウイルスの影響によって業績が悪化した結果、ボーナスの支給を廃止した企業は多数存在することがわかります。
このように、これまで賞与支給の実績があったにもかかわらず突然ボーナスなしになった場合は、会社の経営が傾いている可能性があるのです。
(3)経営方針の変更
経営方針が変わることで、ボーナスなしになるケースも考えられます。
たとえば、経営者の変更によって人件費の見直しが行われてボーナスがなくなる、あるいは社員の評価基準が厳しくなってボーナスがなくなるといったケースがあげられるでしょう。
また、事業拡大・新規事業による設備投資などにお金を使うため、ほかの経営コストを削減することもあります。
(4)労働組合がない
労働組合がない会社は、ボーナスが支給されないことが少なくないようです。
労働組合は会社にボーナスを要求して勝ち取ってきた歴史があり、現在もボーナス交渉の窓口を担っています。
そのため、労働組合がない会社ではボーナスについての意見が出にくく、会社側も「何も言われないのだから賞与なしでもいいか…」という考えになりやすいのです。
反対に労働組合のある会社であれば、ボーナスの問題が生じた際に労働組合を通せるので、経営者側との交渉がしやすいでしょう。
4.正社員でボーナスなしでも違法にはならない
会社には賞与の支給義務がないため、ボーナスがなくても違法にはなりません。
そもそも、ボーナス(賞与)とは、毎月の給料とは別に支払われる報酬です。
労働基準法では、以下のように賞与を定義しています。
- 定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるもの
- 支給額があらかじめ決められていないもの
このように法律で賞与の定義は定められていますが、会社が社員に支払いを義務付ける法律はありません。
そのため、正社員にまったくボーナスを支給しなくても違法にはならないのです。
(1)会社に賞与を請求できるケース
労働契約や就業規則などで賞与の支給を約束しており、支給基準などが明らかにされている場合は、それを根拠に請求できる可能性があります。
賞与制度を設ける場合、その制度内容は必ず就業規則に記載しなければなりません。
記載内容は、支給金額の算定基準や支給時期、査定期間など賞与支給のルールが一般的です。
とはいえ、賞与は景気や会社の業績に大きく影響されるものなので、「賞与額は業績に応じて算定する」「業績によっては賞与を支給しない」と記載されていることもあります。
そういった場合は、規則に違反しているわけではないので、これまで支給されていたボーナスがカットされても請求はできません。
支給基準は会社が決められるもので、内容は会社によって異なります。
そのため、賞与についての決まりは就業規則で確認しておきましょう。
5.ボーナスなしの会社で正社員になるメリット
「ボーナスがないなら、正社員になる意味はないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、ボーナスがない会社であっても正規雇用で働くメリットはあります。
- 月給が高い可能性がある
- 年収が業績や景気に左右されない
- 長期計画を立てやすい
- 自分のタイミングで転職しやすい
賞与の支給がない分、月給を平均給与より高く設定する会社は存在します。
また、年俸制を採用している場合は、年間の給与額の算出の際に賞与を含めていることがあります。
その場合は、一般的に夏や冬に賞与として月給に加算されますが、その賞与分は事前に支給額が算出されているため、労働基準法上では賞与にはなりません。
どちらにしても、業績などで減給される可能性のある賞与よりも安定した年収を得ることができます。
年間収入額の見通しが立ちやすいので、車や家の購入、旅行など大きな出費に備えやすく、ライフプランや貯蓄の計画も立てやすいでしょう。
また、賞与が支給されるタイミングなどを考慮せずに転職活動ができる点もメリットです。
6.ボーナスなしの会社で正社員になるデメリット
ボーナスが支給されない会社で正社員として働くメリットがある一方で、デメリットもあります。
- 仕事のモチベーションの維持が難しい
- 月給が平均的な場合は、賞与ありの人よりも年収が少ない
- 会社に問題がある可能性がある
仕事の評価が反映される賞与がない場合、モチベーションが低下しやすいでしょう。
努力して成果を上げても、特に成果を出さなくても同じ収入なら、意欲が減退してしまい、仕事のやりがいが感じられなくなるためです。
また、「2.正社員のボーナスの平均額はどのくらい?」で紹介した通り、賞与の平均額は20代後半でも60万円以上あります。
つまり、20代後半でボーナスなしの場合は月給30万円以上なければ平均年収より低いことになり、その年収の差は年齢が上がるにつれて開きます。
さらに、ボーナスがないことは、業績が悪くなっている、会社が社員に還元する気がないなど、会社側に問題があるケースも考えられるでしょう。
7.賞与なしだからといって正社員をやめるのは避けよう
「収入が非正規と変わらないなら、自由に働けるフリーターがいいな」と思うこともあるかもしれませんが、賞与がなくても正社員として働く方が安定した生活を送れます。
- 昇進の可能性がある
- 社会保険の自己負担額が少ない
- 適用される福利厚生が多い
- 社会的信用が高い
- 解雇されにくい
- 転職活動が有利になる
昇進すればボーナスがなくても月給が上がるため、年齢を重ねれば重ねるほど正社員は非正規雇用よりも収入が多くなる傾向があります。
また、正社員は年金と健康保険を会社と折半で支払うため、国民健康保険や国民年金よりも自己負担額が少なくなります。
加えて、住宅手当など手厚い福利厚生が適用されるケースもあるので、給与だけ見たらフリーターと変わらなくても自由に使えるお金は正社員の方が多いでしょう。
さらに、正社員は非正規雇用より解雇されにくいことから、社会的信用が高い傾向にあります。
クレジットカードを作る際やローンを組みたいときにスムーズに手続きできますし、正社員の方が非正規雇用者よりも転職活動が有利になります。
以下の記事では、正社員で働く方がいい人の特徴を紹介していますので、こちらも参考にしてください。
8.ボーナスがある会社に転職するのも一つの考え
ボーナスがない理由によっては、転職することを視野に入れましょう。
- 業績が明らかに悪化している
- ブラック企業
- 退職者が続出している
業績赤字が続いていて倒産する可能性がある場合は、その会社で働き続けるよりも転職をした方が良いでしょう。
また、会社に十分な利益が出ているにもかかわらず社員に還元する気がない、長時間労働をしているのに残業手当が出ないといった、社員を大切にしない企業なら転職した方が働きやすくなります。
上記のような企業では退職者が続出しているケースも少なくありません。
直近数カ月でどのくらい退職者が出ているか、「辞めたい…」と言っている社員が周りにいるかどうかもチェックしてみましょう。
賞与が出る会社で働くことで、収入が増えるだけでなく、意欲的に仕事に取り組めます。
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まとめ
会社に賞与の支払い義務はないため、正社員であっても賞与が支給されないケースはあります。
月給が高く設定されていれば賞与がなくても納得できますが、月給が少ない上に賞与もない場合は働くモチベーションが下がってしまいます。
賞与が出ない理由によっては、転職を検討しましょう。
自分の働きをきちんと評価してくれる会社と出合うためには、転職エージェントを活用することがおすすめです。