「土木工事の現場監督ってどんな仕事なのかな?」
「土木工事とほかの工事現場との違いがわからない…」
このようなお悩みはありませんか?
現場監督は、工事を安全かつ円滑に進めるために施工管理をする仕事です。
この記事では、現場監督の中でも土木工事の現場監督について解説します。
土木工事の基本的な知識や現場監督の仕事内容はもちろんのこと、年収や資格、やりがいについても紹介するので、この記事を最後まで読めば土木工事の現場監督についての理解が深まりますよ。
現場監督に興味のある方や建設業を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
1.土木工事の現場監督とは?
現場監督とは、工事が予定通りに進むよう施工管理をする仕事です。
施工管理と一言で言っても、施工計画の作成から予算や安全など多角的な管理が必要で、その業務は多岐にわたります。
また、工事では依頼主が求める品質を担保することも大切です。
それゆえに、現場監督には各工程の作業や材質などの知識が必要となりますし、作業員への指導力も求められます。
土木工事の例として、河川や道路、鉄道、ダム建設などライフラインを整備することがあげられます。
そのため土木工事を扱う現場監督は、主に公共工事を扱うことになります。
つまり土木工事の現場監督は、人々の生活基盤を整える工事がスムーズに進むよう管理する仕事です。
近年では地震や台風などの自然災害が多発しているため、復旧工事を担う土木工事が増加傾向にあり、それに伴って現場監督の需要も増えています。
現場監督に挑戦したい方は、早い段階でどのような求人があるのかチェックすることをおすすめします。
2.そもそも土木工事とは?
土木工事とは、ビルやマンションといった建物以外の建設工事を指します。
具体的には、道路工事・橋梁工事・河川工事・トンネル工事・土地区画整理・ダム工事・下水道工事・建物の基礎部分の工事などがあげられます。
ここでは土木工事の基礎知識として、以下3点について解説します。
順に説明します。
(1)土木工事の内容
土木工事の内容は、基礎工事・造成工事・外構工事に分かれており、どの工事も生活基盤を整えるために重要な業務です。
各工事の概要は以下のとおりです。
#1:基礎工事
基礎工事とは、住宅など建物を建てるための基盤を造ることです。
基礎工事には、軟弱な地盤に杭を打って補強し建物を支える「杭基礎」と、杭を使用せずそのまま地盤に基礎を造る「直接基礎」の2種類があります。
一般的な建物の基礎工事の多くは、直接基礎の中でも基礎部分をすべてコンクリートで覆うベタ基礎の工法が用いられています。
#2:造成工事
造成工事とは、建造物を建てるために土地を整えることです。
盛り土や石を積むなどを行って土地の表面を平らにしたり、斜面に住宅地を造る場合は段差をつけて整えたりします。
また腐葉土などで地盤が弱くなっている場合は、原因となる腐葉土を取り除いて、盛り土をすることもあります。
#3:外構工事
外構工事とは、建造物本体以外のものを造ることです。
具体的には、排水工事や舗装工事、造園工事などがあげられます。
(2)土木工事の種類
先述したとおり、土木工事は建物以外の建設工事のことです。
そのため建設会社によって異なりますが、工事対象は多数あります。
ここでは、土木工事が担う各工事を紹介します。
工事 | 工事内容 |
道路工事 | ・道路を開設または改良する工事 ・土で路床を造り、その上に砕石を乗せて重機で踏み固めた後にアスファルトを重ねて表層を造る |
トンネル工事 | ・地下や海底、山岳などの土中を通れるようにするためにトンネルを造る工事 ・掘削した壁に鉄枠や木板の支柱を当てて、内側をコンクリートで固める「山岳工法」が主流 |
橋梁工事 | ・川や海などを渡るために必要な橋を造る工事 ・主に地中で枦木を造り、橋桁を設置した上に道路を造る工法が用いられる |
河川・海岸工事 | ・河川や海岸付近の水害防止を目的に行う工事 ・主に氾濫や洪水を防ぐ堤防の設置・修繕、水底にある土砂を取り除く作業があげられる |
ダム工事 | ・治水や利水、水力発電、砂防などを目的にダムを建設する工事 ・主に土砂やコンクリートを使用してダムを造る |
空港建設工事 | ・民間航空機の離着陸に使用する飛行場内施設の新設・改修・解体工事 ・建築工事の前に陸上の場合は用地造成、海上の場合は埋立造成工事や護岸築造工事を行う |
土地区画整理工事・土地造成工事 | ・建物を建てるために土地を整える工事 ・主に地面の高低差をなくすための大地掘削や岩石掘削、表土掘削などの作業が多い |
下水道工事 | ・雨水や汚水を公道下にある水路に集め、公共用水域に排出するための設備工事 ・道路を掘り下げ、基礎を造った後に下水管および排水桝を設置する |
砂防工事 | ・土砂災害の防止や荒れた森林・山地の緑化を行う工事 ・火災などで荒廃した土地への植樹に加え、氾濫源を安全な土地に整備することも砂防工事に含まれる |
農林土木工事 | ・河川などの水源から水を引く灌漑水道工事や農業ができるように土地を整備する農用造成工事 ・給排水をする仕組みづくりや、土地の区画整理などの作業がある |
森林土木工事 | ・山岳地における災害防止や緑化を図る治山工事や森林の道を整える林道工事 ・森の造成と保全を目的とした植林や森林地帯の道の整備などがあげられる |
(3)建設・建築・土木の違いとは
建設工事とは、ビルや住宅などの建物や道路、橋などの建造物を造ることです。
そのため、土木工事と建築工事は両方とも建設工事に含まれます。
建築工事と土木工事は明確に分けられているわけではありませんが、一般的に建築工事は地面の上の工事で土木工事は地面の下の工事と区別されることが多いようです。
具体的には、建築工事はビルやマンションといったいわゆる上物、土木工事は道路や橋、宅地造成など地面下を扱います。
このように使い分けをすることが多いとはいえ、工事範囲がはっきりと決まっているわけではありません。
状況や会社によって、どこまで工事を担当するかは異なります。
3.土木工事の現場監督の仕事内容
土木工事に限らず、現場監督が行う施工管理には「4大管理」といわれる業務があります。
- 工程管理…工事が工期内で完了するようスケジュール管理をすること
- 品質管理…依頼主が求める品質を担保するために、定められた工程ごとに品質を確認すること
- 安全管理…事故が起こらないよう安全な現場環境に整備すること
- 原価管理…予算内で工事を完了させるために行うコスト管理のこと
4大管理を徹底して行うことで、工事が円滑に進みます。
土木工事の場合は工事規模が大きいことも多々あるため、特に安全管理は意する必要があります。
また上記管理に加えて、工事計画の作成や工事に伴う役所への申請手続き、近隣住民への対応なども行います。
大規模な企業の場合は、複数人の現場監督が業務を分けて担当することもありますし、企業規模に限らず工事の規模が小さい場合はすべて一人の現場監督が担当することもあります。
これから土木工事の現場監督を目指す人は、求人情報を見る際に仕事内容はもちろんのこと、会社の公式ホームページで施工実績などもチェックすると良いでしょう。
4.現場監督の仕事はきつい?やりがいは?
前項では、土木工事の現場監督の具体的な仕事内容を紹介しました。
現場監督は工事を効率的かつ高品質で進めるために、作業員に声をかけながら現場をまとめることが必要です。
それゆえに、現場監督は統率力やコミュニケーション能力など求められる能力も多くあります。
また、土木工事は公共工事が多いことから大規模な工事を担当することもあり、重大な責任を負うことにもなります。
しかし大きな現場になればなるほど、多くの作業員や業者と関わりながら仕事を進めていきます。
多数の人と協力して大きな工事を行い、あらゆる場面の対応をしていくことは貴重な経験となるでしょう。
また、建設工事は地図に残る仕事です。
自分が携わった仕事が目に見える形で長く残り続けるため、完工の際には大きな達成感を感じるでしょう。
さらに土木工事は、人々の生活を支える工事を行うため、社会貢献度が高い仕事でもあります。
このように、土木工事の現場監督は大変なこともありますが、やりがいのある仕事といえるでしょう。
5.土木工事の現場監督の給料
前項まで現場監督の仕事内容ややりがいについて解説してきました。
ここでは、現場監督の実際の年収について紹介します。
厚生労働省が行った「賃金構造基本統計調査」では、10人以上の従業員を抱える建設会社の平均年収は約540万円という調査結果が出ています。
全産業の平均年収は、約487万円なので、建設業はやや年収が高い傾向です。
企業規模ごとの平均年収は以下のとおりです。
- 従業員1000人以上の企業:約751万円
- 従業員100人~999人の企業:約576万円
- 従業員10人~99人の企業:約454万円
また、総合建設業であるゼネコンの中でも最大手でスーパーゼネコンといわれる5社の有価証券報告書による平均年収はこちらです。
- 株式会社大林組:約1,032万円
- 鹿島建設株式会社:約1,135万円
- 大成建設株式会社:約985万円
- 清水建設株式会社:約971万円
- 竹中工務店:約1,007万円
スーパーゼネコン5社の平均年収は、従業員1,000人以上を抱える企業の平均年収よりはるかに高いことがわかります。
つまり、大手企業であればあるほど収入も高くなります。
これから現場監督を目指す人は、就職活動の際に企業規模も視野に入れることをおすすめします。
高収入な現場監督を目指すためのコツはこちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
6.土木工事の現場監督に役立つ資格
現場監督は、資格がなくても目指せる仕事です。
しかしながら、資格を取得することでスキルアップとキャリアアップを図ることができます。
最後に、土木工事の現場監督に役立つ資格を紹介します。
資格 | 資格の概要 |
土木施工管理技士 | ・土木工事の施工管理技術を証明する国家資格 ・1級取得で監理技術者、2級取得で主任技術者になることができる |
建設機械施工技士 | ・ブルドーザーや油圧シャベルなどの建設機械を用いる工事の施工管理技術を証明する国家資格 ・土木施工管理技士と同様1級取得で監理技術者、2級取得で主任技術者になることができる ・建設機械を用いる工事であれば、土木工事だけでなく建設工事の施工管理もできる |
コンクリート診断士 | ・セメントの扱いから品質管理までコンクリートに関する知識と技術を証明する資格 ・主にコンクリート構造物の改修時などにコンクリートの評価や点検、補修が必要か否かの検討が行える |
施工管理技士については、こちらの記事で詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
現場監督として活躍をするためにも、積極的に資格取得に挑戦しましょう。
まとめ
現場監督は工事全体を把握し、スムーズに工事が進むよう管理をするため、建設業に欠かせない存在です。
現場監督の中でも土木工事の現場監督は、公共工事や大規模工事に携わる可能性があり、責任が大きくさまざまな能力が求められます。
また、思いがけないミスやトラブルなどで工事計画を再調整する大変さもあります。
とはいえ、土木工事は人々の生活基盤を支えるために必要不可欠な仕事です。
完工の際には、あなたが携わった仕事が目に見える形になり、大きな喜びを感じるでしょう。
土木工事の現場監督は大変なことも多々ありますが、その分やりがいを感じられる仕事です。