「フリーターで国民健康保険料が払えないと、どうなる?」
「国民健康保険料が払えない場合、どこに相談すれば良いの?」
日本に住む人は原則何らかの医療保険へ加入が義務付けられており、社会保険に加入していない場合は国民健康保険に加入しなければなりません。
しかし、国民健康保険料は全額自己負担であるため、保険料が高くて払えない人もいるでしょう。
この記事では、国民健康保険料が払えないとどうなるか、万が一払えない場合の相談先、支払いを滞納した場合に起きることをまとめました。
フリーターが国民健康保険料を払えないとどうなる?

前提として、親や配偶者の社会保険の扶養に入っていない、また自分で社会保険に加入していないフリーターは必ず国民健康保険に入らなければなりません。
つまり、国民健康保料料の支払いは義務だということを理解しておきましょう。
そのうえで、万が一支払いができない場合に何が起きるかを説明します。
(1)延滞金が加算される
国民健康保険料を期日までに支払わなかった場合、保険料に延滞金が上乗せされます。
延滞金の利率は自治体ごとに異なりますが、東京都中央区の場合は保険料額に対して年間7.3%、その後は14.6%の割合で計算される仕組みです。(出典:中央区ホームページ/保険料の延滞金・還付加算金)
(2)健康保険証を返却するよう求められる
健康保険料を未払いのままにしておくと、保険証の返却を求められます。
保険証の返却後は『短期被保険者証』という書類が交付され、1〜3ヶ月の短期間だけでは健康保険の使用が可能です。
なお、この間の医療費負担は3割と未納をしていない場合と負担割合は変わりません。
(3)医療費が全額負担になる
『短期被保険者証』に切り替わった後も支払いに応じない場合は、『被保険者資格証明書』が交付されます。
『被保険者資格証明書』とは保険料を滞納している人に対して、被保険者証の代わりに発行される書類です。
延滞金を支払った後に、この書類と引き換えに国民健康保険証が再交付されます。
『被保険者資格証』が発行された時点で国民健康保険が使えなくなり、医療費の負担は10割になります。
また、出産一時金などの各種給付も停止となり、国民健康保険の保障は利用できません。
(4)財産を差し押さえされる
国民健康保険料の督促を無視し続けていると、最終的に強制徴収の手続きが進められ、財産を差し押さえられる可能性があります。
なお、口座に現金がなくても自動車や不動産などの資産価値があるものは差し押さえの対象となるため注意しましょう。
また、あなたがフリーターの場合はバイト先に対して給与差し押さえの手続きを取られることになり、アルバイトの給与がまったく入らなかったり、少額しか入らなくなる可能性があります。
フリーターが国民健康保険が払えない場合の相談先

万が一フリーターが国民健康保険料の支払いが難しい場合に無視して延滞するのではなく、以下の窓口へ相談しましょう。
- 市区町村の国保担当窓口
- 社会福祉協議会
- 法テラスや弁護士会の無料相談
(1)市区町村の国保担当窓口
まず相談すべきは、市区町村の国保担当窓口です。
滞納理由を説明すれば、自治体の判断によって減免・猶予制度などの提案を受けられます。
ただし、上記の猶予措置には以下のような要件を満たす必要があります。
- 災害などによって家屋が倒壊してしまった
- 雇用保険の特定受給資格者、特定理由離職者として失業等給付を受ける
- 倒産や解雇などが理由で年間所得が前年度より半分以下に減ってしまった
- 天災や事業の休廃止、失業などが理由で収入が著しく減少した
また、自治体への相談で「分納(分割)」が認められることもあるので、まずは相談することが大切です。
(2)社会福祉協議会
社会福祉協議会への相談で、一時的に保険料を払うためのお金を借りられる場合があります。
低金利または無利子で「緊急小口融資」や「総合支援資金」などを利用できるかもしれません。
ただし、利用の際は収入状況の確認や申請書類を提出し、審査に通過する必要があります。
まずは自治体の社会福祉協議会で融資が受けられるかどうか、確認してみましょう。
(3)法テラスや弁護士会の無料相談
借金がたくさんあって国民健康保険料が払えないような場合は、法テラスや弁護士会の無料相談で債務整理を検討してみると良いでしょう。
国民健康保険料の支払いは自己破産をしても免除されませんが、ほかの借金を整理して余力をつくり、国民健康保険料の支払いに回すことができます。
例えば、任意整理や個人再生といった債務整理の手続きによって、返済額を減らしたり、金利をカットできます。
借金に悩んでいる人は一人で抱え込まずに、まずは専門家に相談して債務を整理してみましょう。
フリーターが国民健康保険を払えない場合の対処法

フリーターが国民健康保険を払えない場合の対処法を紹介します。
- 分割払いの交渉をする
- 徴収猶予制度を利用する
- 国民健康保険の減額を申請する
- 自治体に減免を申請する
- 家族の社会保険の扶養に入る
- 債務整理したうえで国民健康保険料を支払う
(1)分割払いの交渉をする
自治体の保険窓口へいき、国民健康保険料の分割払いの交渉をしましょう。
減免は一定の条件を満たす必要がありますが、分割払いについては条件を満たさずとも、状況に応じて認められる場合があります。
収入が苦しいならその証拠となる給与明細などを見せるなどして、具体的な事情を理解してもらえるような準備をしてから相談に行きましょう。
(2)徴収猶予制度を利用する
もしも以下のような理由で国民健康保険料の支払いが難しい場合は、徴収猶予制度を利用しましょう。
- 震災や火災水害などの自然災害で損害が出た
- 失業や廃業で収入が激減した
このように、あなた自身の責任によらない事由で経済状況が悪化した場合は、国民健康保険料の支払いに猶予を与えてもらえます。
(3)国民健康保険の減額を申請する
自治体に申請して国民健康保険料の減額制度の利用も可能です。
この制度は、前年の所得が一定以下だった世帯に対して、最大で7割まで保険料を軽減する仕組みです。
軽減割合は「7割・5割・2割」の3段階で、所得に応じて自動的に決定されます。
とくにフリーターや非課税世帯の方は対象になる可能性が高いため、自分が軽減の対象になっているかを自治体に確認しましょう。
(4)自治体に減免を申請する
額とは別に、特別な事情がある場合には「減免申請」も可能です。
例えば、以下のようなケースに該当する場合、国民健康保険料の一部または全額を免除してもらえることがあります。
- 震災や火災水害などの自然災害で損害が出た
- 失業や廃業で収入が激減した
- 会社都合での退職
減免制度は自治体ごとに基準や申請方法が異なりますが、申請期限が設けられていることが多いため、できるだけ早く相談に行くことが重要です。
(5)家族の社会保険の扶養に入る
もし同居している家族が会社員で社会保険に加入している場合、あなた自身がその扶養に入ることができます。
具体的に年収が130万円未満で、かつ労働日数や労働時間が扶養条件を満たしていれば、国民健康保険を脱退し、家族の健康保険に加入することが可能です。
扶養に入れば保険料を個別に支払う必要がなくなり、負担が大きく軽減されます。
ただし、世帯主の勤め先や保険組合によって細かい要件が異なるため、まずは勤め先の担当者に相談してみましょう。
なお、それまでに発生していた国民健康保険料の未納分は、扶養に入っても免除されません。
放置すると延滞金や差し押さえのリスクもあるため、加入切り替えとあわせて未納分の対応も忘れずに行いましょう。
(6)債務整理したうえで国民健康保険料を支払う
国民健康保険料は自己破産をしても支払い義務が免除されないため、最終的には支払うしかありません。
そのため、ほかの借金を整理して保険料に充てるように調整しましょう。
このような場合は、法テラスや弁護士会の相談窓口を利用し、任意整理や個人再生などの債務整理を行うことで、返済額を減らして保険料の支払いに回すなどの対策をとってください。
国民健康保険を払えない状態が続いた場合のリスク

フリーターが国民健康保険料を払えない状態が長く続くと、以下のようなリスクが発生します。
- 就職や転職に影響するリスクがある
- 賃貸契約で不利になることがある
- 出産育児一時金なども停止されてしまう
(1)就職や転職に影響するリスクがある
国民健康保険料を払わずにいると、就職や転職へ影響するリスクがあります。
延滞情報が信用情報に載るわけではありませんが、就職後に差し押さえの対応が進むと、その会社に国民健康保険料を滞納している事実が知られることになります。
これが理由で即解雇になることは稀ですが、あなた自身が気まずく感じたり、「お金にルーズな人だ」と悪いイメージがつくかもしれません。
(2)賃貸契約で不利になることがある
国民健康保険料を滞納していると、賃貸契約などの場面で思わぬ不利益を受けることがあります。
特にフリーターは物件審査の際に、納税証明書など収入を証明する書類の提出を求められるケースが少なくありません。
この際に保険料の未納があると納税証明書が発行できず、書類不備として審査に落ちる可能性があります。
また、保険料の未納履歴が何らかの形で不動産会社や大家に知られると、支払い能力に問題があるとして家を借りられないこともあるでしょう。
(3)出産育児一時金なども停止されてしまう
国民健康保険料が払えず『被保険者資格証明書』が発行された場合、出産育児一時金の支給が停止されてしまいます。
そのため、出産のタイミングで必要な支援が受けられないかもしれません。
万が一の出費に備えた公的な支援を受け取る権利も失うことになるので、将来のためにも国民健康保険料は支払いをしておくべきです。
フリーターが抱える国民健康保険についてのよくある質問

フリーターが抱える国民健康保険についてのよくある質問をまとめました。
(1)フリーターから無職になり国民健康保険が払えない場合はどうしたら良いですか?
まずは自治体の保険窓口に相談しましょう。
所得が全くない状態であれば、保険料の分納が認められる可能性があります。
また、無職になった理由が会社事情であれば減免の対象になるかもしれません。
(2)国民健康保険を滞納していると、病院で治療を断られてしまいますか?
保険証が停止されても病院で治療を受けることはできます。
ただし、窓口で保険証を提示できないと医療費負担が10割になる点に注意してください。
(3)フリーターが支払う国民健康保険料はいくらくらいですか?
地域や前年の所得によって異なりますが、年収100万円前後のフリーターの場合、月額5,000円〜10,000円ほどが目安です。
収入が低い場合は減額制度もあるため、役所で見積もりを出してもらいましょう。
アルバイトの国民健康保険料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
社会保険に加入できる職場への転職を検討しているならキャリアスタートへご相談ください
フリーターが国民健康保険を払えない場合、延滞金がつくだけでなく最終的に医療保険自体が使えなくなる可能性があります。
そればかりか、延滞期間の長さによっては差し押さえなどのリスクがあることも忘れてはいけません。
滞納の理由が「国民健康保険料が高すぎる」ことの場合は、会社が保険料の半分を支払ってくれる社会保険への加入も検討しましょう。
社会保険に加入できる職場への転職で収入も安定し、保険料の支払いに困るようなことがなくなる可能性があります。
そんな不安や疑問がある方は、キャリアスタートにご相談ください。
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