新卒1年目の転職は厳しいって本当?転職実態と第二新卒におすすめの業界・職種
「新卒1年目で転職はできるのかな?」このようなお悩みはありませんか?
入社1年以内での転職は、他の転職者に比べて厳しい面がありますが、準備を徹底すれば転職は可能です。
この記事では、新卒1年目の転職実態と、転職判断基準、おすすめの転職業界・職種、転職成功ポイントを紹介します!
入社1年目での転職を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
1.新卒1年目の転職は厳しい?転職の実態
新卒1年目の転職活動の難易度は、低いとはいえないでしょう。
入社1年未満では従事した期間が短く、まだ仕事への理解ができていません。
そのような状態で辞めるのは早すぎると企業に思われる可能性があります。
そのため、企業側は早期離職するリスクを考慮して、新卒1年目の転職者の採用を避けることは十分考えられます。
とはいえ、しっかりと準備をすれば、新卒1年目でも転職することは可能です。
その理由を以下2つに分けて解説します。
(1) 新卒1年目の転職者は一定数存在する
大学卒業者の場合、10人に1人の割合で入社後1年以内に離職する人がいます。
以下は、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」をもとに作成した表です。
学歴 | 就職後1年以内の離職率 |
高等学校 | 15.0% |
短期大学 | 16.2% |
大学 | 10.6% |
「3年は同じ会社で働かなければならない」とよくいわれますが、実際には1割以上の人が離職・転職をしているのです。
(2) 第二新卒を採用する会社は多い
少子高齢化の進行により、今後若手採用が厳しくなる可能性は高いでしょう。
このことから、第二新卒を採用する企業が増えてきているのです。
株式会社マイナビの「中途採用状況調査」では、6割以上の企業が「第二新卒の採用を積極的に行いたい」と答えています。
実際に、マイナビ転職で「東京」「第二新卒歓迎」を検索したところ、4,800件もの求人がありました。
上記のことから、第二新卒を受け入れる会社は多いことがわかります。
ただし、第二新卒とは一般的に大学卒業後3年以内の就職経験のある人を指すので、新卒2・3年目も含まれます。
新卒1年目は、一定の職務経験があり社会人としてのマナーが身に付いている2・3年目に比べると、選考で不利になる可能性は否めないでしょう。
しかし、若手を採用したいと考える企業が多いことから、準備を徹底すれば転職先が全くないということはありません。
2.転職に最適な時期は?
結論、転職活動はいつ始めても良いでしょう。
以下は、dodaの「月別 転職者1,000人当たりの第二新卒者の人数」です。
上記データから、内定獲得者数は1年間を通して大きな差がないことがわかります。
そのため、転職を決意した人は時期にとらわれず転職活動を始めましょう。
3.新卒1年目で本当に転職するべき?転職の判断基準
新卒1年目で転職の判断基準は、「今抱えている問題が転職でしか解決できないかどうか」です。
ここでは、転職した方が良い場合と転職しない方が良い場合をそれぞれ解説します。
(1) 転職した方が良いケース
まずは、転職した方が良いケースを3つ紹介します。
#1:ブラック企業である
ブラック企業は明確な定義がありませんが、厚生労働省では以下のような特徴を挙げています。
- 極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行している
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
参考:Q&A「ブラック企業」ってどんな会社なの?|厚生労働省
こういった企業に就職してしまった場合、新入社員が会社に問題改善を求めるのは難しいものです。
労働基準監督署など外部機関に相談することも一つですが、「入社後3年は働く」にとらわれすぎず転職を検討するのも良いでしょう。
#2:会社の将来性に不安がある
将来性に不安がある会社の特徴としては、以下が挙げられます。
- 業績赤字が続いている
- 給与支払いの遅れがある
- 残業代を支給しない
- 退職する社員が多い
上記のような会社は先行きに不安があり、働き続けても給与や待遇の改善の見込みはありません。
こういった将来性のない会社は転職を検討しましょう。
とはいえ、今担当している仕事で得られるものがあるのであれば、給与が支払われている間はすぐ辞めずにスキルを磨くのも一つの考えです。
#3:過度なストレスを感じている
会社にハラスメントの相談をしたにもかかわらず一向に改善しない場合は、転職を検討するべきです。
我慢して働き続けてた結果、体調不良になって長期休養が必要となってしまう可能性があります。
心的負担があまりにも重い場合は、体調を崩す前に転職を検討しましょう。
(2) 転職しない方が良いケース
次に、転職しない方が良い場合を3つ紹介します。
#1:仕事で成果が出ない
「成果が出ないから仕事が合っていない」と思う人は、仕事のやり方次第で改善できる可能性があります。
そもそも新卒1年目は、まだ仕事の基礎部分を固める時期であり、すぐに成果を出すのは難しいものです。
それでも「早く成果を上げたい」という人は、先輩や上司に相談してみる、業界のことを調べてみるなど、成果に繋がりそうなアクションを起こしましょう。
改善する努力をせずに転職をしてしまうのはNGです。
#2:仕事にやりがいが感じられない・仕事に飽きた
仕事がつまらないと感じる人も、転職は踏みとどまりましょう。
入社1年目は仕事の基本を学ぶので退屈に感じるかもしれませんが、下積みをせずに昇進はできません。
今は業務を覚える・仕事の流れをつかむことに徹しましょう。
また、業務内容が合わない人は、部署が変わることで解消する場合があります。
異動の希望を出すなど会社に相談してみましょう。
#3:周りの不満話や転職話に影響を受けた
同僚・先輩などの愚痴や周りの人が転職したことに影響されて転職を考えている場合は、本当に自分が転職したいと思っているのか考えましょう。
周囲の声で不安になりやすい人は、先輩に「この会社でよかったこと」などポジティブな質問をするのも良いでしょう。
4.未経験の職種に転職する場合は、職種・業界がある程度限られる
ここでは、転職先の業界・職種を選ぶときのポイントを解説します。
(1)同業種・同職種は転職活動で知識をアピールしやすい
転職理由が「仕事内容」ではなく、「ブラック企業」など会社側に問題がある場合は、同業種かつ同職種の他の会社を探すのがおすすめ。
前職で得た知識やスキルを企業にアピールでき、転職先が決まりやすくなるためです。
また、前職と同職種で異なる業界への転職を検討することも良いでしょう。
例えば、営業職の場合、業界によって扱う商材や営業スタイルなどが異なるので、営業自体は楽しいと感じている人は、他の業界の営業職を探してみましょう。
前職で学んだことを転職先で活かしやすいですし、キャリアに一貫性があるので、選考での評価も高くなります。
(2)未経験の仕事に転職する場合は、職種・業界がある程度限られる
未経験の仕事を目指す場合は、職種・業界がある程度限られることを頭に入れておきましょう。
以下は、東洋経済オンラインの「平均勤続年長く新卒でないと入りにくい125社」です。
引用:平均勤続年長く新卒でないと入りにくい125社|東洋経済オンライン
上記のデータから、金融業界、インフラ業界、商社、メーカーは新卒占有率が高いことがわかります。
これらの業界は大手・業績の安定・高収入といったことから新卒者から人気があり、離職率も低いです。
つまり、新卒採用だけで人材が確保できるため、第二新卒の採用を行う必要がないのです。
また、上記業界は中途採用をしていたとしても、学歴や入社後に戦力となるスキルや資格があるかどうかをチェックしています。
これらのことから、第二新卒の転職先には難易度が高い業界もあるといえます。
以下の記事では未経験からチャレンジできる仕事について解説していますので、こちらも参考にしてください。
5.新卒1年目の転職先におすすめの職種・業界
ここでは、新卒1年目の転職先としておすすめの職種・業界を以下4つ紹介します。
順に説明します。
(1)営業職(人材サービス・不動産業)
営業職は求人数が多いことから、未経験者を採用する企業も多くあります。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和4年4月の営業職の月間有効求人倍率は1.73倍、新規有効求人倍率は2.53倍でした。
つまり、営業職の求人は求職者1人に対して約2件の求人が存在することになります。
このように、営業職は求人数が多いことから、自分に合う会社を探しやすいといえます。
また、営業職でおすすめの業界は、人材サービス業と不動産業です。
人材サービスは扱う商材が比較的少ないため、未経験者でも仕事を覚えやすいことがポイント。
加えて、自身の就職・転職活動で学んだことなども仕事に活かせます。
特に、求人広告営業やキャリアカウンセラーは第二新卒を歓迎する企業が多い傾向で、実際に求人情報サイト dodaでは、「第二新卒歓迎」「求人広告営業・キャリアコンサルタント」は、850件以上もの求人がありました。
不動産営業では、リフォーム事業を行う企業が第二新卒を採用するケースが増えています。
不動産業は、仕事に必要な知識が多い分、多くの企業が社内研修を行ったり、資格取得支援を行ったりしているので、未経験者でもチャレンジしやすい業種です。
人材サービス業や不動産業に限らず、未経験の第二新卒を受け入れている営業職は、「新規営業」が大多数である点も押さえておきましょう。
給与報酬 | 中~高 |
未経験からの転職のしやすさ | 難易度:中~高 |
以下の記事では、第二新卒から営業職に転職する方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
(2) インフラエンジニア(SES企業)
インフラエンジニアとして、SES(システムエンジニアリングサービス)企業に挑戦するのも良いでしょう。
インフラエンジニアとは、IT基盤の設計・構築・運用・保守を行う仕事ですが、SES企業に所属する場合、設計や構築などの開発ではなく保守運用案件を担当することが多い傾向にあります。
第二新卒で目指せるインフラエンジニアは、主にサーバーエンジニアとネットワークエンジニアです。
インフラエンジニアをおすすめする理由は、年収が高い傾向にあること。
求人ボックス給料ナビによると、インフラエンジニアの平均年収は536万円でした。
国税庁が発表している平均年収の433万円と比べると、インフラエンジニアの年収は一般的な年収よりも100万円以上高いのです。
また、SES企業は研修が充実しているケースが多いので、未経験者でも比較的挑戦しやすいでしょう。
しかし、未経験を採用しているとはいえ、ITに関する最低限の知識は必要なので、インフラエンジニアを目指す方は、ITパスポートの取得をおすすめします。
SES企業のインフラエンジニアは、基本的に客先常駐なので、コミュニケーション能力が求められます。
面接などでしっかりとアピールしたい点ではありますが、コミュニケーションに自信のない人は、ITパスポートに加えて、「CCNA」や「LinuC」を取得すれば、選考通過する確率がぐっと高まります。
給与報酬 | 中~高 |
未経験からの転職のしやすさ | 難易度:中 |
(3) 施工管理(建設業)
施工管理とは、工事全体の管理を担当する仕事です。
建設業は研修や資格取得支援制度を設けている企業が多いので、未経験でも挑戦しやすいといえます。
また、人材の受け入れ間口が広く、女性を積極的に採用する企業や出身の学問分野不問の企業が多いこともポイント。
国土交通省が行った「建設業活動実態調査の結果」で、技術職の建設業従業員数のうち、女性は前年より31.4%増加したと発表されています。
男女比はまだ圧倒的に男性が多いのですが、女性の施工管理も増えてきているのです。
施工管理を目指すメリットは、年収が高いことと将来性があることが挙げられます。
厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」では、建築技術者と土木技術者の平均年収は約576万円でした。
国税庁が出している平均年収433万円よりもずっと高収入です。
さらに、施工管理の仕事は将来性があります。
建設業は建築工事に加えて、建築物の修繕や耐震工事、復旧工事など需要が常にありますが、その一方で、少子高齢化の影響によって建設業の人材は不足しています。
そのため、施工管理の仕事がなくなることはありません。
国家資格である施工管理技士を取得できれば、さらなるキャリアアップや収入アップにもつながるでしょう。
給与報酬 | 中~高 |
未経験からの転職のしやすさ | 難易度:中 |
以下の記事では、施工管理に転職する際に知っておきたい情報をまとめています。
こちらもぜひ参考にしてください。
(4)携帯販売員(小売業)
携帯販売員は、携帯販売とユーザーサポートが主な仕事です。
ユーザーサポートでは、携帯の不具合対応から操作方法や最適な料金プランの案内など、携帯に関することを幅広くサポートします。
総務省発表の情報通信白書では、2019年の個人のスマートフォン保有割合は67.6%、携帯電話の割合は24.1%と発表されました。
携帯電話をほとんどの人が所有し、生活必需品となった今、携帯販売員の需要も上がっています。
携帯販売員のおすすめポイントとしては、未経験でも挑戦しやすいことです。
携帯販売員は、スマホの幅広い機能に対応することと、契約内容やプランの説明が必要となるため、多くの携帯販売会社が研修をしっかりと行います。
研修体制が整っており、教育コストがそれほどかからないことから、携帯販売会社は未経験者を受け入れているのです。
また、顧客の相談を受けて解決方法を案内したり、料金プランの変更を提案したりするため、営業力が身に付きます。
加えて、機能などをわかりやすく説明するスキルなど、コミュニケーション能力も磨ける魅力的な仕事といえるでしょう。
給与報酬 | 中 |
未経験からの転職のしやすさ | 難易度:低~中 |
第二新卒におすすめの業界については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
6.新卒1年目の転職を成功させる4つのポイント
最後に、新卒1年目が転職を成功させるポイントを以下4つ紹介します。
順に説明します。
(1) 仕事を辞めずに転職活動をすること
転職先が決まる前に会社を退職することは避けましょう。
新卒1年目は早期離職したことから、選考が不利になってしまい、転職先が早く決まるとは限りません。
退職している場合、収入源がない焦りから「内定をもらうこと」だけに集中してしまい、前職よりも給与や待遇が悪い会社に転職してしまった…といった事態になりかねません。
納得できる転職活動をするためにも、転職先が決まるまでは今の会社は辞めないことをおすすめします。
(2)転職理由を熟考すること
新卒1年目は、気採用担当者から高い確率で転職理由を聞かれます。
企業側は採用してすぐ退職されることは避けたいので、離職理由は深堀したいことなのです。
そのため、転職理由は入念に考えておきましょう。
ポイントは、転職理由を他責にせず、ポジティブに変換することです。
例えば、半年で営業成績を上げたが、給与が極端に低いといった転職理由の場合は、「成果を評価する体制が整った会社で働きたい」といった内容にすると良いでしょう。
とはいえ、入社1年未満での退職は、企業が納得する理由を伝えることが難しいことも事実です。
そのため、次は同じ失敗をしないということも選考で伝えるようにしましょう。
(3)将来設計を徹底して行うこと
(株)マイナビが行った「面接時に評価された内容」の調査では、「職務経験」の次に「ポテンシャル」が多い結果となりました。
引用:転職動向調査 2022年版(2021年実績)|株式会社マイナビ
企業が新卒1年目の転職者に対して懸念している短期離職を払拭するためには、キャリアプランを採用担当に伝えることです。
仕事面の目標は何か、その目標を達成するために何をするべきか・必要なスキルは何かなどを具体的に書き出してみましょう。
キャリアプランが明確な転職者は、入社後の活躍がイメージしやすくなり、企業からの評価も高くなります。
(4)転職エージェントを活用すること
初めて転職をする場合、何をしたらよいのかわからないといったケースが多々あります。
長期間働くことのできる転職先を見つけるためには、転職のプロであるエージェントに登録しましょう。
エージェントを活用するメリットは以下の通りです。
- 転職の悩みを相談できる
- 自分に合う求人を紹介してもらえる
- ブラック企業を避けられる
- 年収や日程交渉を代行してくれる
- 企業の内部情報まで得られる
- 非公開の求人を提供してもらえる
- 選考対策を行ってくれるので、内定獲得率が高まる
このようにエージェントを利用することで、一人で転職活動を行うよりも、はるかに「良い転職」が叶うのです。
新卒1年目で転職を検討している方は、まずエージェントに相談しましょう!
まとめ
本記事では新卒1年目の転職について解説しました。
企業が第二新卒の採用を増やしているとはいえ、入社1年以内の転職は選考で不利になることが否めません。
それでも転職の意思がある場合は、まず転職エージェントに相談することが大切です。
転職を迷っている方、転職することを決めた方は、エージェントに問い合わせてみましょう。