大学を中退して別の大学に編入することは可能です。
ただし、大学の編入については、編入したいと考えている大学ごとに設けられている条件を満たしていることに加え、編入試験に合格する必要があります。
無事に大学を中退して編入できると、自分が本当に学びたいと考えている学問に挑戦できるだけでなく、今までの大学で取得してきた単位を引き継ぐことができるといったメリットがあります。
この記事では、大学を中退して編入を考えている人が知っておきたい知識を分かりやすく解説します。
編入までの基本的な流れや、編入条件としてチェックしておくべきポイントについてもご紹介しますので、自分の進路の参考にしてみてください。
大学中退して編入することは可能

大学を中退して別の大学に編入することは可能です。
大学の編入とは、簡単にいうと次の年次に上がるタイミングなどで別の大学に籍を移すことを言い、言わば小中学校における転校のようなものです。
編入は2年次編入、3年次編入、4年次編入がありますが、多くは3年次編入となっています。
3年次にうまく大学を編入できると、大学生期間を余計に増やすことなく大学を卒業できるため、同年代と同じタイミングで社会人になれるといったポイントがあります。
大学の編入に関して混同しやすい単語には、以下のようなものが挙げられます。それぞれ違いを理解しておきましょう。
- 転部:同じ大学内で別の学部に移籍すること
- 内部編入:同じ大学で通信課程から通学部に移籍すること
- 再受験:別の大学に1から受験勉強をして、1年生として再入学すること
なお、大学の編入においては、今通っている大学を中退しなければならないということはありません。
ほとんどのケースでは、今通っている大学に通いながら編入試験を受験し、そのまま別の大学に移籍する流れになっています。
一度大学を中退してしまうと元には戻れませんので、大学編入を考えている場合は後悔をしないようにあらかじめ今通っている大学の学務課の職員に相談しておくことがおすすめです。
大学中退して編入するメリット
大学を中退して別の大学に編入するメリットには、以下の3点が挙げられます。
- 本当に学びたいことに挑戦できる
- 取得済みの単位を引き継げる
- 大学中退して高卒になるよりも就活に有利
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
本当に学びたいことに挑戦できる
現在通っている大学の講義で楽しみを見出せていない人は、編入によって別の大学に通うことで、本当に学びたいことに挑戦できるといったメリットが挙げられます。
大学の本分は高度な学問の追求になりますので、講義に興味が持てなければ学費を無駄に支払っていると言っても過言ではありません。仮に同じ学部で編入したとしても、講義を教える教授が変われば今までとは異なる学問の見方ができるでしょう。
また、大学によって勉強をサポートする環境は大きく異なります。
図書館にある蔵書の数やゼミのテーマ、留学制度の有無などは大学ごとで異なりますので、自分が学問に集中できると感じられる環境の大学に編入できれば、よりいっそう勉強を楽しく取り組めるようになるかもしれません。
取得済みの単位を引き継げる
編入する大学の制度にもよりますが、一般的には同じ学部で編入をする際、今まで通っていた大学で取得済みの単位を編入先の大学に引き継ぐことができるといったメリットがあります。
一度大学を中退して再受験するようなケースだと、今までの取得単位が0になってしまいますので、編入ならではの大きなメリットだと言えます。
基本的に大学の単位は半年間をかけて取得するものになりますので、単位を引き継ぐことによって、卒業までの通学年数を余計に引き延ばす必要がなくなります。
卒業時には同年代と同じタイミングで社会人になれるため、大学の再受験よりも望ましい選択だと言えるかもしれません。
ただし、単位によっては編入先の大学に引き継がれないものもありますので、編入要項などの制度説明をしっかりと確認しておいてください。
大学中退して高卒になるよりも就活に有利
例えば、大学を中退して再受験をする形で別の大学への入学を目指そうとする場合、再受験に失敗してしまうと、学歴上、高卒のまま就職活動をしなければならなくなります。
高卒だと大卒以上のみを募集する求人に応募できなくなるだけでなく、大卒の給与テーブルよりも給与が低めに設定されていることもありますので、生涯賃金という観点においてもデメリットが大きいと言えます。
一方、大学編入であれば中退をしなくても別の大学に転籍することが可能です。
この場合、編入先の大学で無事に卒業できれば学歴は大卒になりますので、リスクを減らして別の大学に通えるというのが編入の大きなメリットと言えるでしょう。
大学中退して編入するデメリット
大学を中退して編入するデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 編入年次によっては就活がすぐに始まる
- そもそも行きたい大学で編入が実施されていないことも
- 教職課程の履修や長期留学が難しい
大学を中退して編入する場合は、メリットだけでなくデメリットも合わせて理解した上で検討することを意識してください。
編入年次によっては就活がすぐに始まる
大学の編入は、多くの場合3年次編入となります。
就職活動という観点で見ると、就活に影響してくるインターンシップが3年次の夏ごろから本格化していきますので、編入直後に就活がすぐに始まるといった慌ただしいスケジュールを過ごさなければならないケースがあります。
ただでさえ大学に編入して新しい生活に慣れなければならないタイミングで就職活動が始まることは、身体的にも精神的にも強いストレスを受けることに繋がるでしょう。
また、大学の編入試験は決して簡単なものではないため、受験勉強に近いレベルで勉強時間を費やさなければなりません。
その期間はサークル活動やバイトなどができなくなりますので、就活でよく聞かれる学生時代に力を入れたことのエピソードが減ってしまうといったデメリットにも繋がります。
総じて、大学を中退して編入することで、相対的に就活の難易度が高まる可能性があるということは理解しておきましょう。
そもそも行きたい大学で編入が実施されていないことも
大学の編入枠は毎年必ず設けられているというわけではありません。
編入は各大学が人員の不足分を補う目的で募集するといった背景があるため、仮に行きたい大学で大学の定員が充足していた場合、そもそも編入したいタイミングで編入が物理的にできないといったこともあります。
大学の再受験なら行きたい大学に必ず受験できることを考えると、編入ならではのデメリットと言えるでしょう。
このデメリットに加えて、大学の編入は自分1人で情報集めていかなければならないといった難しさも挙げられます。
そもそも行きたい大学で編入枠が設けられているかどうかだけでなく、編入試験がどのような内容で行われているのかは全て1人で情報収集しなければならないため、大学受験や再受験よりも難易度が高いと言えます。
教職課程の履修や長期留学が難しい
3年次に別の大学に編入し、残り2年間で大学を卒業することを考えると、就職活動のタイミングも相まって教職課程の履修や長期留学はスケジュール的に難しくなってしまいます。
編入では編入元の大学の単位をある程度引き継ぐことができるものの、すべての単位が引き継がれるわけではありません。したがって、3年次・4年次になっても卒業のための単位をこれまで以上に取得することが求められます。
単位取得に割かなければならない時間が増えるため、長い期間で向き合わなければならない教職課程の履修や長期留学が難しくなると考えられます。
どうしても教職課程の履修や長期留学を経験したいという人は、通常のスケジュールよりもさらに早くなる2年次での編入を目指すのが良いでしょう。
大学中退から編入までの基本的な流れ
大学の編入は多くの人が初めての経験になるはずですので、あらかじめ基本的な流れを理解しておくことが非常に重要です。
大学中退から編入までの基本的な流れとしては以下の通りです。
- 1.編入したい大学と学部を決める
- 2.編集希望先の情報収集を進める
- 3.編入に必要な知識を身につける
- 4.過去問で試験対策をする
それぞれについて詳しく解説します。
1.編入したい大学と学部を決める
まずは、編入したい大学と学部を決めるところからスタートします。
基本的に編入に関する募集要項は、各大学の学部ごとで編入試験の2〜3ヶ月前から発表される傾向にあります。
学部単位で編入の募集がされるため、行きたい大学を決めるということは、行きたい学部を決めることと同じです。
どこの大学に行きたいかという観点しか持っていないと、編入希望先を決めることが難しくなるかもしれませんのであらかじめ理解しておいてください。
なお、特定の大学に興味がある場合は、各大学のホームページで編入に関する募集要項を公開していますので、合わせて認識しておきましょう。
2.編集希望先の情報収集を進める
編入したい大学と学部を決めることができたら、続いては編入希望先の情報収集を進めましょう。
募集要項を確認する際は、特に募集人数や編入試験の科目数、TOEICのスコア要件についてチェックしておきましょう。
語学力を重視している大学の場合は、学部に関係なくTOEICスコアが求められることがあります。TOEICは毎月1回しか受験ができないため、早いうちから行動をとっておく必要があります。
編入に関する情報は、大学受験時よりも収拾が難しい傾向にありますので、インターネットのみならず、編入経験者に直接話を聞いてみたり、編入希望先の大学に問い合わせをしてみるといったことも重要になります。
なお、情報収集と一緒に編入願書を確認しておくこともおすすめです。
編入願書については各大学のホームページからダウンロードできます。編入願書に必要な書類や提出物が記載されていますので、情報収集にも役立ちます。
3.編入に必要な知識を身につける
目指したい編入先が固まったら、改めて編入に必要な基本知識をインプットしましょう。
編入の準備をする際は、どれぐらいの単位を引き継ぐことができるのかだけでなく、編入後の大学の過ごし方についてもあらかじめイメージできておくと、いざ編入試験に合格した後に慌ただしい学生生活を送らずに済むようになります。
また、編入を希望する大学に関する調査も並行して行っておくことがポイントです。
編入申し込みの際は志望理由書を提出する必要がありますので、志望動機を作り上げる観点でも重要なインプットと言えるでしょう。
4.過去問で試験対策をする
ここまで準備ができたら過去問で試験対策を行っていきます。
大学の編入試験は筆記試験と面接試験の2つに分かれており、筆記試験の比重の方が大きい大学も少なくありませんので、しっかりと時間をとって編入試験勉強に取り組んでいきましょう。
大学在学中の試験となるため、求められる学力も大学受験の時とは異なります。
専門的な知識が問われる試験がほとんどになりますので、試験勉強に悩んでしまった場合は、在学中の大学の教授に質問をしてみることもおすすめです。
大学中退者が編入するための条件
大学中退者が編入するためには、大学ごとに設けられている編入条件を満たしている必要があります。どれだけ頭が良かったとしても、条件を満たしていなければそもそも編入試験を受験することができません。
編入条件は大学ごとで異なりますが、一般的には以下の項目で設定されている傾向にあります。
- 編入可能な学年
- 取得単位と現在の大学の在籍期間
- 編入希望先独自の条件もチェック
それぞれどういった条件が設定されているのかについて解説しますので、参考にした上で情報収集を進めていきましょう。
編入可能な学年
まず重要になってくるのが編入可能な学年です。
多くの大学では3年次の編入を認めている傾向にありますので、もし3年次編入しか募集枠がない場合は、今1年次の人は物理的に受験できないことになります。
大学によって2年次や4年次の侵入を認めているケースもありますが、数としては少ない傾向にありますので合わせて認識しておきましょう。
3年次編入の場合は、大学1年次・2年次を修了済みであるか、修了見込みである必要があります。
取得単位と現在の大学の在籍期間
大学の編入条件としては、これまでの取得単位や大学の在籍期間も重要になってきます。
文部科学省によれば、大学の編入条件として以下のように規定されています。
- 短期大学(外国の短期大学及び、我が国における、外国の短期大学相当として指定された学校(文部科学大臣指定外国大学(短期大学相当)日本校)を含む。)を卒業した者(法第108条第7項)
- 高等専門学校を卒業した者(法第122条)
- 専修学校の専門課程(修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上又は62単位以上であるものに限る)を修了した者(法第132条)
- 修業年限が2年以上その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校専攻科修了者(学校教育法施行規則第100条の2)
法律でも定められている要件を満たしていることはもちろん、各大学ごとで以下のような条件が定められていることがありますので、合わせて認識しておいてください。
- 所定の学問に関する単位が一定以上あるか
- 過去問に関する総授業時間が一定以上あるか
- 留年の有無
当然ながら、これらの条件を満たしていないと、編入の願書すら受け付けてくれませんので気をつけましょう。
編入希望先独自の条件もチェック
編入希望先の大学によっては、独自に編入条件を設けていることがあります。
英語の勉強に力を入れている大学であれば、願書受付時点でTOEICやTOEFLスコアが一定以上あることを条件にしているケースもあります。
また、大学ごとの独自条件については毎年見直しが入ることもありますので、今まで求められていなかった条件が突然付与されることもあります。
大学編入は情報戦と言っても過言ではありませんので、編入したい大学を見つけたら、すぐに募集要項を確認する癖をつけておくことが大切です。
大学中退者が受験する編入試験の主な内容
大学中退者が別の大学に編入する場合、必ず編入試験を受験する必要があります。
編入試験は主に筆記試験と面接試験の2つで構成されており、どちらも合わせて合格することで編入が可能になります。
詳しい試験内容は編入希望先の大学によって大きく異なりますので個別確認しましょう。
ここではそれぞれどういった試験内容になるのかについて大枠を解説していきます。
筆記試験
大学編入において非常に重要になってくるのが筆記試験です。筆記試験では主に語学力と各学部の専門科目の2種類の試験が実施される傾向にあります。
語学力としては基本的に英語の試験であることが多く、長文読解型の問題が問われる傾向にあります。
大学受験のように選択式ではないことも多いため、英語が苦手という人は基礎から学び直すことも必要になるかもしれません。
専門科目については受験する学部によって大きく異なりますが、一般的には以下のようなものが出題されます。
- 法学部:憲法、民法、法学概論
- 経済・経営学部:経済学や経営学の基礎、経済や経営に関する時事問題
- 文学・外国語学部:学部に関連した国の文章を読解し小論文を書く、作家や作品に関する基礎知識
- 工学部:数学や物理の知識
- 農学部:生物や化学の知識
- 理学部:専攻ごとの専門知識
編入後にそのまま大学の後期についていけるレベルの難易度で出題されますので、過去問だけでなく、日々の大学での講義の知識も改めてインプットしておくことが大切です。
面接試験
面接では、あらかじめ提出していた志望理由書を問われるような質問をされる傾向にあります。そのため、大学に提出する志望理由書は試験前に必ず読み直しておくことが大切です。
基本的には面接を通じてコミュニケーションに問題がないかなどを確認される傾向にありますが、理系学部や文学部については面接の場で筆記試験レベルの質問をされ、口頭諮問で回答することもあります。
編入に関するよくある質問
最後に、大学の編入に関する質問を3つ取り上げて解説します。
大学を中退して編入したら学歴はどうなる?
大学を中退して編入した場合、無事に卒業できれば大卒の学歴になります。
それだけでなく、編入後の大学を卒業したという扱いになりますので、もし編入によって大学のレベルを上げられた場合、就活で有利になることもあるかもしれません。
編入は中退扱いになる?
大学編入は履歴書上中退扱いになります。
履歴書の書き方としては、大学を中退してから別の大学に編入したという書き方になりますので、編入した事実を就活で隠すことは基本的にできません。
ただ、大学の編入は面接官からポジティブに受け取られることが多いため、中退扱いになるといってもそこまで重く捉える必要はないでしょう。
大学の編入は誰でもできる?
編入希望先の応募条件を満たせば、誰でも大学編入を申し出ることができます。ただ、編入試験に合格しなければ編入ができない点は認識しておいてください。
なお、編入条件については大学によって大きく異なりますので、編入したい大学を見つけられたら、まずはその大学のホームページから編入願書をダウンロードするところから始めましょう。