フリーターの結婚は難しい?正社員への転職がおすすめの理由
正規・非正規を問わず20代~30代の働き盛りであれば、人生で一度は「結婚」について考えたことがあるでしょう。好きという気持ちだけでも成り立つ恋愛と違って、結婚は生活力・経済力も視野に入れて相手を見定める必要があり、誰しもがシビアに捉える問題です。特にフリーター・契約社員などの非正規社員は、正社員と比較しても給与面・待遇面・安定面で大きな開きがあり、現在その差を埋めるべく「最低賃金の引き上げ」や「有期雇用契約制度の見直し」など、政府により様々な対策が行われています。しかしながら、未だ状況が改善されたと言えないのが社会の実態。
不安定な労務環境で働く”非正規社員の結婚”について、それを取り巻く現実と今後の対策について見ていきましょう。
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フリーターの結婚が難しいとされる主な要因
フリーターの結婚が難しいとされている根拠はいくつかありますが、特に大きな要因として以下が挙げられます。
収入の少なさ
昇給賞与など、勤続年数やスキルによる収入UPの機会に恵まれている正社員と比較して、そういった制度がない非正規社員は年収・月収が低くなる傾向が強く、継続的な収入増加が見込めない可能性が高いです。他にも、交通費に上限がある・住宅補助や報奨金などお得な手当が社員限定だったりと、最初から金銭面のサポートが手薄な場合も多いです。一般的に結婚の先には、妊娠・出産・育児など出費が必要となるライフイベントが控えているため、将来のことを考えれば”収入の少なさ”は、”生活の不安”に直結する大きな問題と言えるでしょう。
雇用の不安定さ
正社員は期間の定めのない「無期雇用契約」を結びますが、対してフリーターなどの非正規社員は「有期雇用契約」という働く期間に定めがある労働契約になります。そのため、同じ職場で働き続けるには契約を更新する必要があると共に、期間満了後はその時点で雇用を解除される危険もあり、常にそのリスクを負って働くことになります。突然職を失うかもしれないという可能性は、将来の見通しが立ちにくいというデメリットにも繋がり、結婚する際の不安要素となります。
老後の蓄えの少なさ
正社員は会社が半分を負担してくれる厚生年金に加入しますが、総労働時間や収入など一定の条件を満たしていないフリーターの場合は国民年金になります。一般的に国民年金は厚生年金よりも受け取れる金額が低くなる傾向があり、また平均収入の低さから定年までの十分な貯金の確保が難しいという懸念も多く、蓄えによっては老後も働き続けなければならない可能性があります。人生100年時代で年金そのものの継続すら危ぶまれる昨今、公的制度にだけ頼った人生設計をする方は少ないかもしれませんが、それでも非正規社員の方がより計画的な貯蓄・人生設計が求められることは間違いないでしょう。
社会的な信用の低さ
収入の少なさ・雇用の不安定さという2つの不安要素が、結果的に社会的信用の低さに繋がっているという事実は否めません。男女関係なく活躍の場が広がる現代ではありますが、やはり家事や育児の負担割合の多さをはじめとした様々な理由から、収入・昇進などの面で女性はまだまだ男性より不利な状況にあります。裏を返せば、未だ男性に「一家の大黒柱」的な働き方を無意識の内に社会や世間が求めてしまっている一面があるとも言えるでしょう。従って、男性側がフリーターなど非正規社員の場合は特に、結婚相手の両親から「お金がないのでは」「生活が心配」…など安定面を理由に反対されたり、そもそも良いイメージが持たれづらかったりと、ネガティブに捉えられることが多いという厳しい現実があります。また、家賃・食費・光熱費など普段の生活に必要なお金はもちろん、マイホームや車など高額な買い物をする際に必須のローン審査に通りづらい等、世間的なイメージだけでなく社会的信用の低さがもたらす不利益は無視できません。
結婚生活にかかるお金とフリーターの収入
思うままにお金が使える一人暮らしとは違い、結婚後はパートナーや子供など家族と共に暮らしていくため、想像しているよりも様々なお金がかかるものです。実際どれほどになるのか、フリーターの平均収入と比較しながら見ていきましょう。
一般的な世帯支出の金額
まず、一般的な勤労世帯の1年分の支出を推計すると…
【1カ月451,682円×12カ月=5,420,184円】となります。
普通にパートナーと暮らすだけでも、年間540万円程の収入が理想ということですね。しかしながら、これはあくまでも一般家庭が標準的な生活をするために必要な金額です。出産や親の介護などで扶養家族が多くなれば、生活費・養育費・医療費等がプラスされるため、支出額はさらに上昇するでしょう。
【出典】総務省「家計調査報告-2019年(令和元年)5月分-」P8~P11
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
- 非正規雇用者の平均年収
パート・アルバイト・派遣社員・契約社員など非正規雇用で働く人の平均年収は【1,750,000円】。その内訳は男性が2,294,000円、女性が1,508,000円と男女で大きな開きがあります。結婚しないで単身のまま暮らすとしたら、女性は特に厳しい経済状況であることは明白です。仮に夫婦共に非正規雇用だと想定した場合の平均年収は、単純計算で【3,802,000円】となりますが、先程述べた一般的な世帯支出の推計値と比較しても、非常に差があると感じませんか?この100万円以上のマイナスが、現代日本で”普通の暮らし”を送ることの難しさを物語っています。
【出典】国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/minkan/index.htm
≫フリーターの将来は?不安定な状況を抜け出し、正社員になる方法
結婚を機にフリーターから正社員に就職するメリット
結婚という人生のターニングポイントを迎える時こそ、「定職につきたい」「もっと条件の良いところに転職したい」など、自分の働き方を見直したいと思うものです。では実際に、フリーターから正社員になることで得られるメリットについて説明していきましょう。
金銭面の不安が減る
一番に挙げられるメリットと言えばやはり、金銭面で大きなアドバンテージを得られることです。フリーターなど非正規の場合は時給制が多いため、夏や冬の長期休業等で休みが多い月や、病気や怪我などで欠勤するとその分お給料が減ってしまいます。しかし正社員であれば固定給が基本になるので、定期的に安定した収入が得られるようになり、有給休暇も合わせて利用すれば上手にリフレッシュしつつ無理なく働くことも可能です。昇給やまとまった金額が入ってくるボーナス、頑張りに応じて支給されるインセンティブ、売上が好調な時に出る特別手当など、正社員ならではの臨時収入も多く、モチベーションを高く保ちながら毎日の仕事に取り組めるでしょう。また、結婚式や介護などまとまったお金が必要な場面でも、金銭的制約やリスクを気にかけることなく安心して働けるのは魅力的です。
仕事内容に幅が出る
一般的には、アルバイトよりも正社員に責任や裁量のある業務を任せることが多いです。そもそも正社員は契約期限がなく、長期的に働いて会社に貢献してもらうという前提で雇用しているため、スキルアップして様々な仕事にチャレンジできる機会に恵まれています。もちろんフリーターでも同じ職場で長く働き、幅広い業務をこなしたり現場のスタッフから信頼を得ている方もいるでしょう。しかし基本的には、正社員に重要な仕事を任せてハンドリングしたいというのが企業側の本音であり、現実的にそういったケースの方が多いことも事実です。また、経験やスキルに応じた昇進昇格など、新たなポジションへのキャリアアップが期待できるのも大きなメリットですね。
福利厚生を受けられる
企業が用意している様々な福利厚生を存分に活用するには、やはり正社員であることが前提です。アルバイトも使える便利な制度や待遇を用意している場合もありますが、社員と比較すると手厚さや充実度は引けをとってしまうでしょう。また、もう1つ大きなメリットとして、支払額の約半分を会社に負担してもらえる健康保険や厚生年金に加入できることが挙げられます。他にも産休・育休の取得や、誕生日休暇・リフレッシュ休暇など各企業特有の休暇制度が使える場合もあります。余裕を持った人生を送るための福利厚生を堂々と利用できるのは強みです。
社会的信用を得やすい
正社員であれば安定した定期的な収入があると見なされ、結婚生活において必要不可欠な住宅ローンや自動車ローンなどが組みやすい、賃貸物件の契約やクレジットカードの審査が有利といった大きなメリットがあります。フリーターだと苦労してしまう手続きも、正社員の方がストレスなく進めることができるため、社会的信用の高さがもたらしてくれる影響は大きいと言えるでしょう。
フリーターから正社員へ転職するときのポイント
フリーターから正社員への転職を考えている方に、就活を成功させるための方法や要点をわかりやすくお伝えします。
できるだけ早く転職活動を始める
日本企業は常に若い人材を求める傾向が強く、学歴職歴関係なく全くの未経験でも、30歳くらいまでならその期待値の高さから採用される可能性も十分にあります。早め早めの行動が就職活動を成功させる大切なポイントですね◎「フリーターの彼氏と結婚を考えている」「共働きでしっかりお金を貯めたい」など、お付き合いしている人の状況によっては、安定した高収入や更なる社会的信用を求めた”正社員へのシフトチェンジ”をキッカケに結婚に踏み切るケースも多く、今後の人生を真剣に考える若い方は即行動に移すフットワークの軽さが大きな武器になります。
自身の経験を活かせる企業を探す
正社員経験がなくても、アルバイトを通じて得たスキルや経験を活かしたアピールで、転職活動を成功に導くことも可能です。例えば未経験歓迎の営業職に応募する場合など、営業の経験がなくても、飲食店での接客業務を通じて養ったコミュニケーション能力や柔軟な対応力を評価され、採用に至るというケースも十分にあります。些細なことでも構いません。あなたのちょっとした特技や好きなものなど、何でもよいので企業と通じるもの・興味のあることにアンテナを張って就活することが、よりマッチング度の高い仕事にめぐり合えるコツです。
転職支援サービスを活用する
アルバイトの経験しかない、具体的に就職活動をどう進めたらいいかわからない…そんなフリーターの方はまず、就職サイトや転職エージェントへ登録することをおすすめします。
就職サイトは、勤務地・業種・待遇など自分の希望に合わせた様々な求人情報を、好きな時に得て比較しながら検討することができます。また、眺めるだけでも業界の雰囲気や基準が知れたり、気になる企業があれば気軽に応募できるのが特徴です。転職エージェントは企業と応募者の間に入り、あなたの希望する就業条件を登録するだけでエージェント側がその人に合ったお仕事をどんどん紹介してくれる、という便利な就職支援サービスです。スキルやタイプによって非公開のレアな求人を紹介してもらえたり、就活そのものに不安がある方には面接のコツや応募書類の添削など幅広くサポートするので、心強い味方となるでしょう。他、公的なものだとハローワークに赴いて職員の方に相談する・専用の端末で求人を探すといったサービスもあるので、合わせて利用すると効果的です。
転職と結婚は人生のターニングポイント。後悔のない選択をしよう!
現在日本の労働人口における非正規労働者は、役員を除いた約5596万人の内2120万人…全体の4割に迫る勢いです。このような構造自体が、少子化や格差の広がりなど様々な社会問題の原因の1つになっていると考えられています。中でも正社員経験がない方は、自由な時間を優先したい・結婚願望がないので敢えてアルバイトというパターンや、就職氷河期や就活で努力が実らなかったからなど、様々な理由でフリーターという働き方を選んでいる状況があると思います。自分の生き方は自分で決めるものだからこそ、仕事に対する姿勢についても、本人が満足なら人にとやかく言われる謂れはありません。しかし「結婚」という未来が頭を過ぎった時、そして誰かと一緒に人生を送りたいと思った時に、将来を見据えて今までの働き方を見直すのはごく自然なことです。「フリーターでいる方が楽だから」「年齢的にまだ大丈夫」と、なんとなくアルバイトを続けているのであれば、一度正社員を目指して行動してみることで、日常が変化し事態が好転していくかもしれません。後悔のない幸せな人生を送るために、あなたなりのベストを尽くして下さいね!
【出典】総務省統計局「労働力調査-2018年(平成30年)平均-」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf