「公務員試験は何割くらいが落ちる?」「公務員試験に落ちた場合の進路は?」このような不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
公務員試験に落ちると自信を失い、自分には進路がないと考える人もいますが、公務員試験に全て落ちた状態からでも、複数の進路があります。
公務員に再挑戦したい人も民間企業に切り替えて就活したいという人も、リスクを抑えた対策を知ることで、時間や労力、経済的な負担を減らせるうえに将来の選択肢も増やせます。
そこで今回は、公務員試験に落ちた場合の3つの選択肢、公務員試験に落ちた人の割合、民間企業への就活の難易度と就活を成功させる方法について解説します。
公務員試験に落ちた人が面接でよく聞かれる質問の実践的な対処法も紹介しますので、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
1.公務員試験に落ちた場合の3つの選択肢
公務員試験に落ちた場合の選択肢は下記の3つです。
(1)就職留年して再挑戦する
公務員試験に落ちた場合の選択肢として、「就職留年して再挑戦する」という方法があります。
大学を卒業しても就職せずに、もう一年勉強して再び公務員試験を受けることです。
公務員試験は非常に難しく、多くの勉強が必要なため、時間をしっかり取ることが重要ですが、就職留年を選ぶことで、再度試験に集中して取り組む時間を確保できます。
さらに、この手法であれば、万が一次の試験で落ちたとしても、大学に在学していれば新卒として就活することもできます。
しかし、就職留年することで、1年分の学費が余計にかかってしまうため、前期に必要単位がとれていれば、休学制度を利用して公務員試験の勉強に集中したほうが良いです。
このように、就職留年は再挑戦するためのひとつの方法ですが、経済的な負担はかかるため、よく考えたうえで自分に合った道を選びましょう。
(2)卒業後に再挑戦する
公務員試験に落ちた場合、大学卒業後に再挑戦するという選択肢があります。
この選択肢だと、留年や休学をせずに済むため、追加の費用がかからないうえに、大学の講義への出席義務がなくなり、公務員試験の勉強に専念できる時間が確保できます。
デメリットとしては、卒業後に再挑戦して公務員試験に再び落ちた場合は、新卒採用枠での就職活動ができなくなることです。
その結果、スキルや経験がないままで、既卒者として中途採用枠にエントリーすることになるので、就職活動で不利になる可能性があります。
そのため、再挑戦を選ぶ際には、自分の状況や将来のキャリアプランをよく考え、計画的に準備をすることが重要です。
また、予備校やオンライン講座を活用して効果的な試験対策をしながら、心の健康を保つことも大切です。
(3)民間企業に就職する
大学4年生で公務員試験に落ちた場合の選択肢として、民間企業に就職するという方法があります。
公務員試験に落ちた後に就職活動を始めると、まわりの学生と比べてスタートは遅れますが、夏以降に追加採用を行う企業も多いため、まだチャンスは残されています。
また、一度民間企業に就職してから、再度公務員試験に挑戦する道もあり、社会人としての経験を積むことで、次回の試験で有利になることもあります。
この方法では、働きながら試験勉強を続けるため、自己管理能力が必要ですが、実務経験を得ることで視野が広がり、キャリアにプラスとなることが多いです。
このように、公務員試験に落ちても様々な選択肢があるので、自分に合った方法を見つけて、前向きに取り組むことが大切です。
2.公務員試験に全落ちする人はどのくらいいる?
公務員試験に全落ちする人はどのくらいいるのか、という疑問を抱く大学4年生も多いでしょう。
公務員試験の合格率は職種によりますが、20%以下の場合も多く、非常に厳しい試験です。
たとえば、人事院のデータによると、国家公務員総合職では受験者のうち86.7%が不合格、国家公務員一般職では56.4%が不合格となっています。(参考:人事院|2023年度試験実施状況)
また、総務省のデータによると、地方公務員の合格率は23.9%であり、約7割が不合格です。(参考:総務省|2023年度試験実施状況)
つまり、公務員試験は半数以上が不合格となる難易度の高い試験であり、不合格となっても、自分の能力が劣っているわけではありません。
多くの受験者が同じような結果を経験していますので、自信をなくさずに、民間企業への就活や再挑戦など自分に合った道に進むことが重要です。
3.民間企業への就活を進めることのメリット
民間企業への就活を進めることのメリットは下記の通りです。
(2)採算意識が高まる
(3)自分の適性に合う仕事が見つかることもある
(1)リスクを最小限にできる
公務員に落ちて再挑戦したい場合でも、民間企業への就活を進めることをおすすめします。
公務員への志望度が高い人ほど、就職留年や浪人を考えがちですが、これには時間や経済的な負担が伴い、リスクが大きくなるからです。
一方、民間企業に就職した後でも、社会人として勉強を続けながら、公務員試験に再挑戦することが可能です。
この方法であれば、収入を得ながら安定した環境で再チャレンジの準備を進めることができます。
また、万が一再挑戦に失敗しても、就職浪人や留年による時間と金銭的な損失を避けることができます。
さらに、社会人経験があることで、次回の試験でのアピールポイントも増えるので、合格の可能性が高まります。
したがって、最もリスクが少ない方法は、まず民間企業に就職し、社会人として経験を積むことです。
公務員再挑戦を視野に入れつつ、まずは民間企業への就活を進めることで、リスクを最小限に抑えながら目標に近づけることができます。
(2)採算意識が高まる
民間企業への就活を進めるメリットのひとつに「採算意識が高まる」点が挙げられます。
公務員と大きく異なる点として、民間企業は利益を追求して、常に費用対効果を考えて戦略を立てる組織だからです。
たとえば、プロジェクトの予算管理やコスト削減の取り組みを通じて、限られたリソースを最大限に活用する方法を培うことができます。
このような経験は、公務員のみの経験では得られない貴重なスキルであり、転職の時にも高く評価されます。
また、採算意識が高まることで、ビジネス全体の流れを理解して、将来的には経営的な視点を持つこともできます。
このように、民間企業での経験は、今後のキャリアパスを広げるうえでも有益であり、再度公務員を目指す際にも、この採算意識の高さは大きな武器となるでしょう。
(3)自分の適性に合う仕事が見つかることもある
民間企業への就活を進めることで、自分の適性に合う仕事が見つかることもあります。
民間企業には幅広い業界と職種があるため、その中で自分の強みや価値観に合う仕事を探すことができるからです。
たとえば、自分の価値観として「安定」を望む場合には、どこの業界でも通用する汎用性の高いスキルや経験を積むことで「安定」を得ることはできます。
また、地域に密着して「地域創生」に貢献したい場合にも、民間企業の中に同様の活動に注力しているところがあります。
民間企業での就職は、多様な業務を経験が経験でき、自分の適性を試すことができるので、
自分に合ったキャリアパスを見つけやすくなります。
このように、公務員にとらわれずに、幅広い選択肢から自分の適性に合った仕事を見つけることで、長期的に見て人生の満足度を上げられる可能性があります。
4.公務員試験に落ちてからの就活の難易度
公務員試験に落ちてからの就活の難易度を下記の3つのトピックスにわけて解説します。
(2)民間企業の業界・企業研究ができてない
(3)企業からの質問が厳しくなる
(1)夏以降の新卒採用は母数が少ない
大学4年生で就職活動を始める際、夏以降の新卒採用は新卒採用の母数が少なく、難易度は高くなります。
参考:株式会社リクルート|就職プロセス調査(2025年卒)「2024年6月12日時点 内定状況」
上記グラフを見ると、毎年3月から7月終わりまでの期間に全体の内定率がおよそ80%まで上がるのに対して、8月以降はその上昇率がおよそ15%と非常に緩やかになります。
このデータからもわかるように、多くの企業は夏までに採用を終えて、積極的な採用を行っておらず、夏以降には限られた企業の中で競争することになるのです。
就活の難易度が高くなるため、自分の強みや経験をしっかりと企業へアピールして、他の応募者との差別化を図ることが必要となります。
(2)民間企業の業界・企業研究ができてない
公務員試験に落ちてから就職活動を進める際、難易度が高い理由のひとつは「民間企業の業界・企業研究ができていない」ことです。
公務員試験対策に集中していて、民間企業への選考対策の時間を十分に確保できておらず、試験に落ちた後に急遽、民間企業への就職活動を始めることになるからです。
そのため、業界・企業研究をイチから行う必要がありますが、選考までの時間は非常に短く、他の就活生に比べて準備不足になる可能性があります。
企業の選考は面接やエントリーシート提出など、迅速な対応が求められるため、事前の準備不足は大きなハンデとなります。
民間企業への就活を成功させるためには、業界・企業研究を早急に進めて、志望企業に合った対策をすることが必要です。
(3)企業からの質問が厳しくなる
公務員試験に落ちた後に就活を始めると、企業からの質問が厳しくなることがあります。
企業が春の選考で内定を出した学生が辞退した分を補うため、次は辞退者を出さないよう慎重な選考を行うためです。
たとえば、「公務員は諦めたの?」「すぐに辞めたりしない?」といった鋭い質問をされる可能性があります。これは、企業が求職者の本気度を確認して、入社後の定着率を見極めようとするためです。
そのため、選考を受ける前に、自分のキャリア目標や公務員を志望した理由、現在の選択についての根拠のある説明を用意しておくことが重要です。
5.公務員試験に落ちてからの就活を成功させる方法
公務員試験に落ちてからの就活を成功させる方法は下記の通りです。
(2)自分の強み・価値観を明確にする
(3)自分の適性に合う業界・職種・企業を選択する
(4)応募書類の作成と面接対策をする
(5)就活のプロに相談する
(1)気持ちの整理・振り返りを行う
民間企業の就活を成功させるためには、まず気持ちの整理と振り返りを行うことが重要です。
公務員試験に落ちた直後は非常に辛く、何もやる気が起きないこともあるので、数日の間は、ゆっくりと休めたり、気分転換に好きなことに時間を使うことをおすすめします。
自分を責めることは避けて、まずは試験勉強を頑張った自分を労い、多くの努力を重ねたことを忘れずに、自分を評価することが大切です。
気持ちが落ち着いたら、次に振り返りを行い、どのように改善できるかを冷静に考えて、振り返りの結果をもとに、今後の活動の計画を立てましょう。
(2)自分の強み・価値観を明確にする
自分の気持ちの整理と振り返りができたら、自己分析を行い、自分の強みや価値観を明確にしましょう。
まずは、過去の経験を振り返り、どのような場面で自分が成果を出せていたかを見つけましょう。
没頭して取り組んだこと、リーダーシップを発揮した経験や、困難な課題を解決したエピソードなどを思い出して紙に書き出していきます。
次に、自分の価値観を深く理解して、どのような職場環境で働きたいか、どのような仕事にやりがいを感じるかを明確にしていきましょう。
たとえば、チームで協力して成果を出すことに喜びを感じるのか、一人で集中して取り組む仕事が好きなのか、地域社会に貢献する仕事に興味があるのかなどを考えていきます。
このような情報を整理して、自分の強みや価値観に合った企業を見つけることで、面接でも自信を持って自己PRができるようになります。
自分の強みや価値観を明確にすることで、民間企業での就活を成功させるための基盤が整い、新たなキャリアへの第一歩を踏み出すことができます。
(3)自分の適性に合う業界・職種・企業を選択する
自分の強みや価値観を明確にしたら、次に、業界・職種・企業研究を行い、自分の適性に合った仕事を探しましょう。
たとえば、人に物やサービスを提案することが好きなら、販売職や営業職が向いているかもしれません。
一方で、ITに対しての興味関心が高いなら、ITエンジニアの仕事が適している可能性があります。
また、企業選びでは、企業の文化や価値観が自分と合っているのかを確認するため、企業のホームページや社員のブログ・口コミなどをチェックして、働きやすさや職場環境を調べましょう。
ただし、退職した社員による口コミは、ネガティブなものに偏りやすいので、在籍している大多数の社員の意見ではないことを考慮しましょう。
さらに、企業説明会やOB・OG訪問を活用して、実際の職場の雰囲気や仕事内容を直接確認するのも良い方法です。このように、自分の適性に合った業界・職種・企業を選ぶことで、就活を成功させる可能性が高まります。
(4)応募書類の作成と面接対策をする
自分の適性に合いそうな求人企業を見つけたら、次は応募書類の作成と面接対策をしましょう。
履歴書やエントリーシートを作成する際には、自分の強みや過去の経験をエピソードを含めて具体的に記述していきます。
応募書類の作成では、企業の求める人材像を理解したうえで、自分のスキルや経験が応募する企業にどのように貢献できるのかを根拠をもって伝えることが重要です。
また、面接対策としては、自己紹介や志望動機を伝える練習に加えて、面接官からの質問に対して、自信を持って答えられるよう準備を重ねましょう。
このような応募書類の作成、面接の準備を徹底することで、民間企業での就職成功に近づけることができます。
(5)就活のプロに相談する
就職エージェントのキャリアアドバイザーに相談すれば、就職市場に精通したプロから総合的なサポートを受けることができます。
キャリアアドバイザーは、自己分析のサポートや業界・職種・企業の情報提供はもちろん、非公開求人の紹介もしてくれます。
さらに、応募書類の作成サポートや面接対策、企業への推薦、面接の日程調整など、就活の各ステップで手厚い支援が受けられます。
このように、就職エージェントの活用は、公務員試験に落ちた学生が民間企業での就活を成功させるための強力な手段となります。当社ではキャリアアドバイザーが伴走して、効率的かつ効果的に就活サポートができますので、お気軽にご連絡ください。
6.公務員試験に落ちた人がよく聞かれる質問と対策
公務員試験に落ちた人がよく聞かれる質問と対策は、下記の通りです。
(2)公務員を目指した理由
(3)公務員を志望すること諦めたのか
(4)民間企業へ切り替えた理由
(1)この時期に就活をしている理由
面接でよく聞かれる質問のひとつに、「この時期に就活をしている理由」があります。
多くの大学生が既に内定を獲得している時期に就活を始めるため、出遅れている印象を持たれることがあるからです。
採用担当者は、計画性がないから就活が遅れているのではないか、怠惰から行動を遅らせたのではないかと疑問があるため、払拭するためにも明確な理由を伝える必要があります。
たとえば、公務員試験の対策に全力を注いでいたため、その結果が出るまで待っていたという説明が考えられます。
その際、試験対策を通じて得たスキルや知識、努力を強調することで、計画的かつ真剣に取り組んでいた姿勢を示すことができます。
また、公務員試験の準備が終わった今、新たな目標に向かって迅速に行動していることを伝えると良いでしょう。
(2)公務員を目指した理由
面接でよく聞かれる質問に「なぜ公務員を目指したのか」があります。
採用担当者は、この質問を通じて、応募者の志望動機や価値観を理解しようとしています。
まずは、回答する内容によって不誠実な印象を与えないことが重要です。
たとえば、公務員を目指した理由として、「地域社会への貢献」であれば、それを明確に伝えます。
また、受ける企業と公務員でやりたかったことの共通点を見つけて、その部分を強調することで一貫性を示せます。
企業が地域社会に貢献する事業を展開している場合には、地域社会の発展に貢献したいという思いは変わらず、志望企業の事業に魅力を感じている旨を強調すると良いでしょう。
したがって、志望動機を一貫させたうえで、企業に対して誠実な姿勢を示すことで、面接官に好印象を与えることができます。
(3)公務員を志望すること諦めたのか
面接でよく聞かれる質問に「公務員を志望することを諦めたのか」があります。
この質問の意図は、採用担当者が入社後すぐに退職されないかを確認するためです。
「公務員を目指していて、来年も受ける予定」と明言すると、採用してもすぐに辞めると判断されて、不採用になる可能性が高いです。
企業は新卒社員の採用や教育に莫大な時間とコストがかかるため、短期間で退職されると損失が大きいからです。
そのため、回答の際には、将来的に公務員を目指していることを明言せず、企業での長期的なキャリアを前向きに考えていることを伝えるのが良いでしょう。
入社してみたら、自分の適性に合った職場のこともあるので、企業でのキャリアに前向きな姿勢を示すことで、キャリアの可能性が広がります。
(4)民間企業へ切り替えた理由
面接でよく聞かれる質問に「民間企業へ切り替えた理由」があります。
採用担当者が応募者の志望動機を確認し、入社後すぐに退職しないかを見極めるためです。
この質問に対しては、「熱意が感じられない」「公務員試験に落ちたから仕方なく応募している」「志望動機が弱くてすぐに辞めそう」と思われないように回答することが重要です。
たとえば、公務員の志望理由が「地域社会のために貢献すること」だった場合、志望企業にも地域貢献の機会があれば、共通点を強調することで、一貫性のある志望動機を示せます。
このように、面接官に対して自分が長期的に企業に貢献できるという印象を与えることができ、採用の可能性が高まります。
まとめ
今回の記事では、公務員試験に落ちた場合の3つの選択肢、民間企業への就活の難易度と就活を成功させる方法について解説しました。
公務員試験に落ちた場合、時間と経済的なリスクを抑えたい人は、民間企業への就活をすることをおすすめします。
民間企業への就活をする際には、気持ちの整理と振り返りをして、自分の強みと価値観を明確にし、選考対策をしたうえで積極的に企業へ応募することがポイントです。
就活するときには「ひとりで就活をするのは不安…」「早く内定を得たい」などお悩みがあるかと思います。
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(2)卒業後に再挑戦する
(3)民間企業に就職する