施工管理技士の資格とは?受験資格から難易度・合格率まで解説!

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「施工管理に活かせる資格はどういうものがあるのだろう?」
「おすすめの施工管理に関する資格は何かな?」

このような疑問をお持ちではありませんか?

キャリアアップを目指したい施工管理者にとって、施工管理の資格情報は押さえておきたいですよね。

この記事では、国家資格である「施工管理技士」の概要や種類、受験資格、難易度を紹介します。

それに加えて、2021年に新設された施工管理技士補の概要や1級と2級の違い、施工管理技士の需要が高まっている理由も解説しますので、施工管理技士について知りたい方は必見の内容です。

施工管理者としてさらに活躍したい人はもちろん、施工管理の仕事に興味のある人もぜひ参考にしてください。

1.施工管理とは

施工管理とは、工事全体の管理を行うことです。

建設工事は作業員など多くの人が集まって行いますが、バラバラに動くと現場がまとまらず、工事の遅延やトラブルの原因になってしまいます。

そのため、作業員をまとめて現場を指揮し、工事スケジュールや安全面、品質面など工事全体を多角的に管理する施工管理が必要となるのです。

施工管理は、主に「4大管理」といわれる工程管理・品質管理・安全管理・原価管理を行います。

4大管理とは
  • 工程管理…工期内で工事を完了するよう作業進捗によって日程調整などを行うこと
  • 品質管理…施主の求める品質を担保するため、定められた工程で品質の確認を行うこと
  • 安全管理…作業員が安心して仕事ができるよう現場環境を整えること
  • 原価管理…予算内で施工ができるよう、人件費や資材にかかるコストなどを調整すること

また、上記の4大管理に加えて、施工計画の作成や施主・各業者・近隣住民などの対応、不測の事態が起きた時の対応なども行うことがあります。

このように、施工管理者は現場を統率し、工事をスムーズに進める役割を担うため、建設業に欠かせない仕事といえるでしょう。

施工管理の業務内容については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

施工管理とは?4つの魅力と3つの課題!施工管理職に就くコツを紹介

2022.02.28

(1)施工管理には国家資格がある

施工管理には、「施工管理技士」という国家資格が設けられています。

施工管理技士を取得するためには、年に1~2回開催される施工管理技術検定の第一次試験と第二次試験の両方に合格する必要があります。

また、施工管理技士は工事対象によって7種類に分けられ、各資格に1級と2級があります。

2級より1級の方が規模の大きい工事の施工管理をすることができますが、その分難易度は2級より1級の方が上がります。

(2)施工管理技士補とは

施工管理技士補とは、建設業法改正に伴って2021年に新設された資格です。

施工管理技術検定の変更
  • 2020年度まで
    第一次試験合格+第二次試験合格→施工管理技士
  • 2021年度から
    第一次検定合格→施工管理技士補
    第二次検定合格→施工管理技士
    参考資料:技術検定制度の見直し|国土交通省

このように、検定制度の見直しによって第一次検定のみ合格した場合でも、施工管理技士補の称号を得ることができるようになりました。

施工管理技士補も、施工管理技士と同様1級と2級があります。

1級施工管理技士補を取得すると、監理技術者(1級施工管理技士)の補佐業務ができます。

実際に大規模工事の施工管理の補佐をすることで実務経験が積めますし、企業からも重宝されるでしょう。

2級施工管理技士補は、施工管理において明確にできる業務があるわけではありません。

しかし、2級施工管理技士補の資格を取得し、CPD単位を取得すると公共工事の入札時に行われる経営事項審査で加点されます。

CPDとは、建設関係の技術者を対象にした継続教育制度のことで、CPD単位は資格認定団体が実施するセミナーや講習会を受講することで得られる単位です。

つまり、2級施工管理技士補も経営事項審査の加点対象となる可能性があるので、会社からの評価が上がる可能性があります。

なお、2級の第一次検定は、受験資格が「満17歳以上」のみです。

すでに施工管理者として働いている方はもちろん、未経験から施工管理者に転職を考えている方も、ぜひチャレンジしてみましょう。

2.施工管理技士の資格一覧

前項で、国家資格施工管理技士には工事対象ごとに7種類あると紹介しました。

ここでは、各施工管理技士の特徴とおすすめの資格を解説します。

(1)施工管理技士の資格は7種類

施工管理技士の資格は、工事対象によって7種類に分けられます。

各施工管理技士の工事対象や特徴、試験実施機関は、以下のとおりです。

資格 工事対象・特徴 試験実施機関
建築施工管理技士 ・戸建住宅やマンション、ビル、公共施設、商業施設などの建物を新築・改修する際の施工管理技術を扱う資格
・建築工事に関する知識および技術が求められる
建設業振興基金
土木施工管理技士 ・道路や橋、海岸、河川、トンネル、ダムなどインフラを整備する際の施工管理技術を扱う資格
・建設工事に加えて、造成工事、災害復旧工事、除染工事などを担うこともある
全国建設研修センター
電気工事施工管理技士 ・照明設備や変電・送電設備、信号などの電気工事を行う際の施工管理技術を扱う資格
・施工管理法と法規に加えて電気工学の知識も求められる
建設業振興基金
管工事施工管理技士 ・空調設備やガス配管設備、上下水道の配管、浄化槽、衛生設備など配管工事を行う際の施工管理技術を扱う資格
・施工管理法と法規に加えて機械工学の知識も求められる
全国建設研修センター
造園施工管理技士 ・公園や庭園などの造園工事を行う際の施工管理技術を扱う資格
・公共施設やビル、マンション、道路などの緑化工事の施工管理も担当する
全国建設研修センター
建設機械施工管理技士 ・ブルドーザーや油圧ショベル、モータ・グレーダなどの建設機械を使用する工事の施工管理技術を扱う資格
・土木工事だけでなく、とび・土工・コンクリート工事や舗装工事の施工管理も担当できる
日本建設機械施工協会
電気通信工事施工管理技士 ・電話やインターネット、放送設備、防犯カメラ、火災報知機などの通信設備を新設・改修する際の施工管理技術を扱う資格
・インターネットの普及により、2019年に新設された資格
全国建設研修センター

7種類の施工管理について、こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

7種類の施工管理の違いがわかる!それぞれの仕事内容や資格試験を解説!

2022.02.28

(2)おすすめの施工管理の資格は?

結論としては、受験者数が多いのは建築施工管理技士と土木施工管理技士です。

2021年度の各資格の受験者数はこちらです。

資格 1級 2級
建築施工管理技士 第一次検定:22,277人
第二次検定:12,813人
第一次検定:32,128人
第二次検定:15,507人
土木施工管理技士 第一次検定:37,726人
第二次検定:26,558人
第一次検定:30,160人
第二次検定:29,112人
電気工事施工管理技士 第一次検定:15,001人
第二次検定:7,922人
第一次検定:8,359人
第二次検定:5,082人
管工事施工管理技士 第一次検定:15,827人
第二次検定:4,540人
第一次検定:11,580人
第二次検定:8,938人
造園施工管理技士 第一次検定:3,008人
第二次検定:1,477人
第一次検定:3,114人
第二次検定:2,624人
建設機械施工管理技士 569人 3,881人
電気通信工事施工管理技士 第一次検定:8,076人
第二次検定:6,147人
第一次検定:3,385人
第二次検定:4,060人

参考:報道発表資料|国土交通省

検定試験の受験者は、自主的に受験する場合が多いようですが、中には勤めている会社から取得するよう言われて受験する人も少なくありません。

このことから、建築施工管理技士と土木施工管理技士が特に企業からの需要があるといえるでしょう。

しかし、施工管理技士はほとんどの検定で実務経験が必要となるため、今働いている会社が扱っている工事やこれまで携わったことのある工事現場から挑戦する資格を選ぶことをおすすめします。

3.施工管理技士1級と2級の違い

施工管理技士の資格には、1級と2級があります。

各級の違いは、業務範囲が異なることです。

ここでは、各級取得後にできる業務について解説します。

(1)2級施工管理技士

2級施工管理技士を取得すると、一般建設業の各営業所における「専任技術者」、各現場の「主任技術者」になることができます。

専任技術者とは、建設業の請負契約を適切に締結するために技術的なサポートをする人のことです。

具体的には、契約に関する交渉や工法の検討、発注者への技術的な説明、見積書作成などがあげられます。

上記の業務は営業所で行われるため、専任技術者が現場には出ることはありません。

主任技術者は、総額4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)の一般建設の工事現場で、施工管理を行う技術者のことです。

なお、建設業法で建設業者は各営業所に専任技術者を置くことと、一般建設の現場に主任技術者を置くことが義務付けられています。

したがって、2級施工管理技士を取得することで、施工管理の知識を活かした役職に就くことができるうえに、資格手当や昇進などの収入アップにつながる可能性もあります。

(2)1級施工管理技士

1級施工管理技士を取得すると、2級施工管理技士の専任技術者・主任技術者に加えて、「監理技術者」になることができます。

監理技術者とは、特定建設業許可を必要とする総額4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の下請契約を結ぶ工事を行う場合に必ず配置される施工管理の技術者です。

総額4,000万円以上の工事とは、例えば高層マンションや大型の工場、大型商業施設、公共施設、大型設備工事などがあげられます。

ようするに1級施工管理技士は、一般的な工事から大規模な工事まで工事規模の制限なく施工管理を担える資格です。

4.施工管理技術検定の受験資格

施工管理技士には1級と2級があり、各級第一次検定と第二次検定があります。

受験資格は検定試験ごとに設けられており、検定に挑戦するためにはその受験資格を満たすことが必須です。

ここでは、受験資格の概要と2021年に行われた受験資格の緩和について解説します。

(1)基本的に実務経験が必要

施工管理技術検定を受けるためには、基本的に実務経験が必要です。

受験に必要な実務経験年数は学歴や所持資格によって異なります。

ここでは、例として2級電気工事施工管理検定の受験資格を紹介します。

【2級電気工事施工管理第一次検定】

2級第一次検定の受験資格は、受験年度において17歳以上であることです。

【2級電気工事施工管理第二次検定】
2級第二次検定を受験するためには、以下の検定区分資格と新規受検申込者の受検資格の両方を満たす必要があります。

検定区分資格はこちらです。

検定区分資格
※以下のいずれかに該当すること

  • 技術士の二次試験の合格者
    ※ただし、電気電子部門、建設部門、総合技術監理部門(電気電子部門または建設部門)の合格者に限られます
  • 2020年度までの2級電気工事技術検定学科試験合格者
    ※ただし、原則合格通知に記載された有効期間内に受験する必要があります
  • 2021年以降の2級電気工事技術検定学科試験合格者
    ※有効期限はありません

新規受検申込者の受検資格はこちらです。

※以下の(イ)~(ニ)のいずれかに該当すること

学歴・資格 電気工事施工管理に関する実務経験年数
指定学科 指定学科以外
(イ) 大学
専門学校の「高度専門士」
1年以上 1年6カ月以上
短期大学
高等専門学校(5年制)
2年以上 3年以上
高等学校
専門学校の専門課程
3年以上 4年6カ月以上
その他 8年以上
(ロ) 電気主任技術者の有資格者 通算の実務経験年数1年以上
(ハ) 第一種電気工事士の有資格者 実務経験は問わない
(ニ) 第二種電気工事士の有資格者 通算の実務経験年数1年以上

参考:一般財団法人建設業振興基金

このように、施工管理技術検定の受験は、2級第一次検定以外のすべての検定で実務経験が求められます。

つまり、施工管理技術検定は、すでに建設業で働いている人がキャリアアップのために受ける資格といえるでしょう。

各検定試験の受験資格については、受験前に必ず各試験機関の公式HPをご確認ください。

(2)1級受験資格の緩和

2021年度の建設業法改正に伴って施工管理技術検定の制度の見直しが行われ、各施工管理技士の1級受験資格が緩和されました。

1級施工管理技士の受験資格の見直し
改正前:2級施工管理技士の有資格者が1級の第一次検定を受ける場合、所定の実務経験が必要
改正後:2級施工管理技士の有資格者は、一定の実務経験がなくても1級の第一次検定受験することができる
※ただし、1級第二次検定は所定の実務経験が必要となります
参考:1級受験資格の見直し|国土交通省

1級の第一次検定に合格すれば、1級施工管理技士補の称号が与えられます。

改正前よりも早い段階で1級施工管理技士補に挑戦ができるので、キャリアアップを目指す人は2級施工管理技士の取得から目指してみましょう。

5.施工管理技術検定の難易度

各資格の難易度は種類によって異なります。

2021年度の全検定の合格率を見てみましょう。

資格 1級 2級
建築施工管理技士 第一次検定:36.0%
第二次検定:52.4%
第一次検定:49.0%
第二次検定:52.9%
土木施工管理技士 第一次検定:60.6%
第二次検定:36.6%
第一次検定:72.5%
第二次検定:40.7%
電気工事施工管理技士 第一次検定:53.3%
第二次検定:58.8%
第一次検定:57.1%
第二次検定:68.7%
管工事施工管理技士 第一次検定:24.0%
第二次検定:73.3%
第一次検定:49.8%
第二次検定:67.7%
造園施工管理技士 第一次検定:35.9%
第二次検定:40.0%
第一次検定:49.8%
第二次検定:42.6%
建設機械施工管理技士 64.9% 75.2%
電気通信工事施工管理技士 第一次検定:58.6%
第二次検定:30.1%
第一次検定:70.0%
第二次検定:35.0%

参考:報道発表資料|国土交通省

全資格の1級合格率の平均は48%、2級合格率の平均は56.2%という結果でした。

この中では、建築施工管理1級の第一次検定、土木施工管理の第二次検定、管工事施工管理1級の第一次検定、電気通信工事施工管理第二次検定が特に合格率が低く、高難度といえます。

また、全検定で合格率50%を切っている造園施工管理も難易度が高いといえるでしょう。

上記データからわかることは、第二次検定よりも第一次検定の方が合格率が低い傾向にあることです。

第一次検定はマークシート式で知識を問われ、第二次検定は受験者がこれまで経験した施工管理内容を記述する問題が出ます。

つまり、実務経験を積むことも大切ですが、現場監督として必要な知識も身に付けることが重要ということがわかります。

なお、施工管理技術検定の合格基準は得点率60%以上です。

施工管理技術検定は、試験範囲が広く対策が大変と感じるかもしれませんが、受験者上位〇%が合格という相対的な合否判定ではないので、目標などが立てやすい検定試験ともいえます。

もっとも、受験者の状況によっては基準点が変わることもあるので、一問でも多く得点できるよう対策をする姿勢が大切です。

6.施工管理技士の需要が高い理由

施工管理技士は、建設業界で非常にニーズが高い人材です。

そのため、施工管理技士の有資格者になると資格手当や昇進といった収入アップの可能性が高まりますし、転職活動でも有利になります。

ここでは、施工管理技士の需要が高い理由を3つ紹介します。

順に説明します。

(1)施工管理技士は監理技術者・主任技術者・専任技術者になれるため

3.施工管理技士1級と2級の違い」でも解説した通り、施工管理技士は2級であれば主任技術者・専任技術者に、1級であれば2級の業務に加えて監理技術者になることができます。

専任技術者は建設業の営業所に、主任技術者は一般建設現場に、監理技術者は特定建設業許可を必要とする現場に必ず配置しなければならないと定められているため、どの建設会社にも施工管理技士は必要不可欠な存在です。

こういった状況にも関わらず、施工管理技士の有資格者数はまだまだ限られているため、施工管理技士の需要が高まっていると考えられます。

(2)経営事項審査で加点されるため

経営事項審査とは、公共工事の入札時に行われる建設会社の審査のことです。

この審査の際に、会社の規模や経営状況などに加えて、一定の国家資格を持つ技術者の人数も評価対象となります。

施工管理技士も加点対象となるので、施工管理技士がいることで公共工事が受注できる可能性が高まります。

つまり、施工管理技士の雇用は企業としても大きなメリットといえるでしょう。

(3)工事が円滑に進めば企業の利益につながるため

建築工事では、悪天候や作業ミス、事故、近隣トラブルなど不測の事態が起こり、対応が遅れると工期が伸びてしまう可能性があります。

工期の延長は人件費などのコストがかかるうえに、企業の信頼にも関わります。

そのため、トラブル発生時にも施工管理技士が冷静に的確な判断や調整を行い、工事の滞りを最小限に抑えることが重要です。

つまり、施工管理技士が円滑かつ高品質な工事を工期内で完了させることが企業の利益につながるため、企業は優秀な施工管理技士を求めています。

実際にスーパーゼネコンや大手ゼネコンの中途採用では、施工管理技士1級があれば学歴を問わない会社も少なくありません。

上記3つの理由に加えて、近年高齢化が進むことで建設業は人手不足が深刻化しています。

したがって、知識と技術が証明されている施工管理技士の有資格者の需要は、今後も高まっていくでしょう。

下記の記事では、施工管理のキャリアアップについて解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

施工管理のキャリアプランとは?キャリアアップに必要な3つのスキル

2022.03.15

まとめ

施工管理には、「施工管理技士」という国家資格があります。

施工管理技士は工事対象によって7種類ありますが、どの資格も試験範囲が広く簡単に取得できる資格ではありません。

しかし、難易度が高い分、有資格者は企業からのニーズも高くなります。

施工管理者としてのスキルアップはもちろんのこと、キャリアアップを目指す人は、施工管理技士に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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