【現場監督の仕事内容とは?】役立つスキルまでわかりやすく解説!
「建築や土木の現場にいる現場監督って何をする人なのかな?」
「現場監督の仕事に興味があるけど、具体的な仕事内容が知りたいな…」
このようにお悩みではありませんか?
現場監督は、工事がスムーズに進行するよう管理をするお仕事です。
この記事では、現場監督の仕事内容や資格を詳しく紹介します。
現場監督に必要な能力についても解説しますので、この記事を読めばあなたが現場監督に向いているかどうかもわかりますよ。
現場監督の仕事について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
Contents
1.建築現場に欠かせない?現場監督とは
現場監督とは、工事が円滑に進むよう管理をする人のことです。
現場全体を把握して作業者に指示を出す仕事なので、現場監督が実際に手を動かして作業をすることは基本的にありません。
建設業は多くの人が関わり協力して施工します。
現場をまとめ、工事がスムーズに行われるよう管理する現場監督は、建設業に欠かせない仕事といえるでしょう。
(1)現場監督と現場代理人の違い
現場監督と現場代理人の違いは、仕事の内容にあります。
現場監督は工事全体を把握して管理する役割があり、現場代理人は施工や契約の事務処理を行う役割を担います。
現場代理人は建設業法上で配置を義務付けられていないため、どの現場にも必ず置かれる訳ではありません。
一般的には、現場監督の代表である現場所長が現場代理人を兼務することが多いようです。
(2)現場監督と施工管理の違い
現場監督と施工管理に大きな違いはなく、どちらも工事の管理をする仕事です。
ただし、企業によっては以下のように区別している場合もあります。
- 現場監督…資格の有無は問わず、現場をメインで管理する。職人への作業振り分けや指導、工程・安全管理を行い、デスクワークは少ない。
- 施工管理…国家資格「施工管理技士」の有資格者。現場管理だけでなく、工事全体を把握する。そのため、工程を組む・予算管理をする・事務処理をするといったデスクワークも多くこなす。
このように現場監督と施工管理の役割を分けている会社もあれば、特に線引きしていない会社もあり、現場監督と施工管理を区別するかどうかは会社によって異なります。
これから現場監督を目指す人は、求人情報を見る際に仕事内容や応募条件をしっかりとチェックしましょう。
2.現場監督は何をするの?仕事内容を紹介
ここからは、現場監督の具体的な仕事を紹介します。
現場監督の主な仕事はおおむね以下4つに分類され、これを「4大管理」といいます。
各管理の業務内容について順に説明します。
(1)工程管理
工程管理とは、決められた期間内に工事を完了するようにスケジュール管理を行うことです。
具体的には、工程管理表の作成や工事の進み具合に応じた施工計画の調整などを行います。
現場では多くの職人が作業を行うので、全員が無駄なく動けるよう効率的な工程を組み、一目で段取りがわかるような工程表を作成する必要があります。
また建築現場では、天候不良や依頼主からの要望の変更、近隣トラブルなどで、工事を中断せざるを得ないことが起こります。
その際に、施工計画やスケジュールの調整、納期の変更といった臨機応変な対応をするのも、工程管理の一つです。
工程管理をスムーズに行うためには、職人や各業者とコミュニケーションを取り、工事の進捗を把握することが大切だといえるでしょう。
(2)品質管理
品質管理とは、依頼者に求められる品質を満たすために、各工程で品質を確認することです。
具体的には、材質や寸法、強度、機能など評価対象ごとに決められた試験方法でチェックをします。
また、品質を証明するために施工写真の撮影や施工記録の作成も行います。
品質管理は、安全で高品質な建築物を完成させるために欠かせません。
仕様書や設計図書の見方や材質などの知識、細かい点まで目を配る几帳面さが求められる仕事です。
(3)安全管理
安全管理とは、作業者や周辺に危険が及ばないように安全な現場環境を整備することです。
具体的には現場の巡回や作業員への安全指導、重機・道具・作業手順のチェック、高所作業がある場合は足場に危険がないか確認します。
また、安全管理のために以下のような取り組みを取り入れている企業も多くあります。
- 危険予測活動(KYK)…作業前に起こり得る危険を想定し、未然に防ぐための対策を立てる活動
- 5S運動…安全な現場環境を実現するために、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを徹底する運動
- ヒヤリハット運動…日常作業の中で危険な状態に遭遇し、「ヒヤット」したことや、「ハット」した体験を報告し合い、他の作業者が同じ危険に逢わないようにする運動
- 安全大会…工事関係者を集めて安全衛生に関する知識を共有し、安全管理の意識を高めるために開催する集会
安全に工事を進めていくためには、作業員全員が安全に対する意識を持つことが重要です。
現場監督は、安全な作業環境作のためにこまめな作業員への声掛けと、危機管理能力が求められます。
(4)原価管理
依頼者の予算内で工事を完了するために行う工事費用の管理のことです。
具体的には、施工計画などをもとに材料費や人件費などを算出して予算をつくり、実際にかかる費用を管理するといった業務があげられます。
予算と実際にかかるコストに差異が生じた場合は、施工計画の見直しや業者の変更などを行い、費用を調整します。
会社に適切な利益を確保するためには、予算と差異が出た際の柔軟な対応や、天候などで工期が伸びる可能性などを予測する力も必要です。
企業によっては、4大管理全てを現場監督が担当することもありますし、複数人の現場監督で管理対象を分ける場合もあります。
こちらの記事でも施工管理について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
3.現場監督に活かせる資格
現場監督は無資格でも挑戦可能で、実務経験を積めば小規模な公共施設や工作物などの建設の施工管理をする主任技術者になることができます。
ただし、主任技術者になるための実務経験数は、学歴によっては10年以上要する場合もあります。
また、大規模な工事の管理を担える監理技術者は、基本的に資格が必要です。
資格を取得することで主任技術者や監理技術者になることができ、資格手当や昇進など待遇面の向上につながります。
また、有資格者がいる会社は公共工事の入札が有利になるため、建設業では有資格者の需要が高く、転職活動でも役立つでしょう。
ここでは、現場監督に活かせる資格を紹介します。
(1)施工管理技士
施工管理技士とは、工事管理技術を証明する国家資格です。
工事対象によって7種類に分けられ、それぞれに1級と2級があります。
1級は監理技術者、2級は主任技術者になることができ、扱える工事の規模が異なります。
各種類の違いは以下のとおりです。
資格 | 資格の特徴 |
建築施工管理技士 | ・ビルや住宅、商業施設や学校などの建築工事の施工管理技術を証明する資格 ・建築工事に加えて、屋根工事、左官工事、内装工事などさまざまな現場の管理で活かせる |
土木施工管理技士 | ・河川や道路、橋、ダム、トンネル、下水道などの工事の施工管理技術を証明する資格 ・ライフラインの基盤を整備する工事に加えて、災害発生時の復旧工事の現場監督もできる |
建設機械施工技士 | ・油圧ショベルやブルドーザー、クレーン車、ロードローラーなどの建設機械を使用する建設現場の施工管理技術を証明する資格 ・主に建築現場や土木現場などの管理で役立つ |
管工事施工管理技士 | ・冷暖房設備やガス、上下水道、浄化槽、給排気ダクトなどの配管工事の施工管理技術を証明する資格 ・ビルやマンションなどの建築物の菅工事の管理で活かせる |
電気工事施工管理技士 | ・変電・送電設備や照明、配線などの電気設備に関する工事の施工管理技術を証明する資格 ・電気を使用する建築物や工作物の工事の施工管理を担える |
電気通信工事施工管理技士 | ・電話やインターネット、防犯カメラ、入退室管理システムの設備工事などの施工管理技術を証明する資格 ・主に通信機器を扱う工事で活かせる |
造園施工管理技士 | ・公園や庭園の造園工事などの施工管理技術を証明する資格 ・造園には道路や学校、広場、ビルの屋上などの緑化工事も含まれる |
施工管理技士については以下の記事で詳しく解説してますので、興味のある人はこちらも参考にしてください。
(2)建築士
建築士とは、建設物の設計や工事管理を行うための知識や技術を証明する資格です。
扱える建築物の構造や規模などによって、1級建築士、2級建築士、木造建築士に区分されます。
1級建築士はあらゆる規模・構造の建築物の設計および工事管理に携わることができ、2級建築士は比較的小規模な建築物、木造建築士は比較的小規模な木造建築物を扱うことができます。
法律上は1級施工管理技士があれば、さまざまな規模の建築物の施工管理をすることが可能です。
とはいえ、建築士資格があれば、設計や構造の知識を習得していることになるので、担当できる仕事の幅が広がります。
また、建築士は難易度の高い資格なので、取得できたらさらなるキャリアアップを図れるでしょう。
4.現場監督に必要な能力
前項まで、現場監督の仕事内容と役立つ資格を紹介してきました。
最後に、現場監督の仕事をするうえで求められる能力を以下4つ解説します。
順に説明します。
(1)リーダーシップ
工事現場には多くの人が携わります。
大勢の作業員をまとめて一つの建築物を完成させるためには、現場監督の統率力が欠かせません。
作業員の認識の相違が起こると、作業のミスから工期の遅延や事故が起こる可能性もあります。
そういった不測の事態を防止するためにも、作業員一人ひとりに気を配りつつ、全体の指揮をとっていく必要があります。
(2)コミュニケーション能力
現場監督は職人はもちろんのこと、工事に関係する業者、施主、近隣住民など人と話す機会が多くあります。
例えば、職人が安全に作業に取り組めるよう声掛けをしたり、業者と円滑なやりとりができるように良好な関係を築いたり、施主と信頼関係を築くために密に連絡を取るといったことがあげられます。
また、工事をする上では騒音やほこりなどで近隣住民から苦情が出てしまうこともあります。
そのため、工事前には近隣住民に工事の説明を行い、工事開始後も近隣住民にあいさつをするといったコミュニケーションを取ることが大切になります。
このように工事をスムーズに進めるためには、工事関係者とコミュニケーションを取り、良い関係を築く力が重要です。
(3)臨機応変な対応力
工事中には、不測の事態が生じることがあります。
具体的には、悪天候による工期の遅延、作業や発注のミス、事故、予算と原価の差異が生じるなどがあげられます。
そういったトラブルが起きた際に、冷静かつ迅速に状況を判断し、臨機応変に対応する力が求められます。
また、工事現場によって土地の状況や建設条件は異なります。
そのため、工事ごとに現場に合わせた工事計画を立てるといった対応力も必要となります。
(4)マルチタスク能力
現場監督は現場の作業状況確認や工事の進捗管理に加えて、予算管理やスケジュール管理など、複数の業務を同時にこなさなくてはなりません。
現場を管理するだけでなく、書類作成といったデスクワークも行うため、マルチタスク能力が必要です。
各業務の段取りを組み、効率的に仕事をこなすことが大切になります。
まとめ
現場監督は円滑に施工を進めるための役職で、建設業には欠かせない存在です。
現場監督を行ううえでは、リーダーシップやマルチタスク能力などさまざまな能力が求められますが、建設業は地図に残る仕事であることから、工事が終わった時には大きな達成感を感じられる仕事といえるでしょう。
また、国家資格を取得すれば、さらなるキャリアアップも図れます。
建設業に興味があり、作業員ではなく管理する仕事を希望する人は、現場監督に挑戦してみることをおすすめします。