正社員だけど最低賃金ギリギリ?最低賃金の計算方法や手取り、額面金額を紹介

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「自分は最低賃金ギリギリかもしれない」
「最低賃金の手取り額や額面金額はいくらだろう」

このように悩んでいないでしょうか。

最低賃金は全国的に右肩上がりとなっており、「実は自分の給料は最低賃金を下回ってた」というニュースやつぶやきを耳にすることも増えてきました。

この記事では、最低賃金の基礎知識や月給・日給・歩合制での計算方法、最低賃金ギリギリの手取り額や額面金額、手取りが減ってしまう原因や対策についてわかりやすく解説します。

1.最低賃金の対象となる賃金とは?

最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が定めている賃金の最低金額です。

労働者と雇用者の双方合意の上で最低賃金以下を取り決めたとしても法律によって無効とされ、もし雇用者が最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合にはその差額を支払う義務や罰金の対象となります。

最低賃金の対象となる賃金は毎月支払われる基本的な賃金(=基本給や諸手当など)です。

そのため、臨時に支払われる手当やボーナス、時間外割増賃金や深夜割増賃金、休日割増賃金などは対象外として計算します。

また、最低賃金の計算における労働時間は、厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」によると原則として所定労働時間ですが、歩合給の場合のみ時間外労働も含めた労働時間となります。

出典:最低賃金の対象となる賃金│厚生労働省

2.最低賃金の種類

最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。

(1)地域別最低賃金

地域別最低賃金は職種や業種に関わらず、各都道府県が独自に設定する最低賃金です。

地域ごとの生活費や経済状況を考慮して決定され、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧(2024年9月24日時点)」によると、最高金額の東京都では1,163円、最低金額の秋田県では951円と都道府県によって異なります。

そのため、同じような業界や仕事内容であっても、地域によって最低賃金は大きく変わります。

(2)特定最低賃金

特定最低賃金は、特定の産業で設定される最低賃金です。

厚生労働省「特定最低賃金について(2024年9月24日時点)」によると、例えば秋田県の「非鉄金属製錬・精製業」や「自動車・同附属品製造業」では特定最低賃金は961円と地域別最低賃金(951円)よりも高値で設定されています。

なお、地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は高い金額の方が適用されます。

3.最低賃金以上かどうかの計算方法と計算例

時給の場合は最低賃金に比べて自分の時給が高いか低いかで計算できます。

ここでは、以下の場合についてそれぞれの計算方法と計算例を紹介します。

  1. 月給の最低賃金の計算方法と計算例
  2. 日給の最低賃金の計算方法と計算例
  3. 歩合給の最低賃金の計算方法と計算例

(1)月給の最低賃金の計算方法と計算例

月給の最低賃金は、「月給 ÷ 1ヵ月の平均所定労働時間」で計算します。

最低賃金を計算する際には、通勤手当や時間外手当は除くために以下のように計算されます。

「月給」の最低賃金の計算例

  • 地域:東京(最低賃金1,163円)
  • 基本給:150,000円
  • 通勤手当:10,000円
  • 時間外手当:50,000円
  • 1ヶ月の平均所定労働時間:160時間

150,000円 ÷ 160時間 = 937.5円 < 1,163円(最低賃金)※違反

(2)日給の最低賃金の計算方法と計算例

日給の最低賃金は、「日給 ÷ 1日の所定労働時間」で計算します。

「日給」の最低賃金の計算例

  • 地域:東京(最低賃金1,163円)
  • 日給:12,000円
  • 1日の所定労働時間:8時間

12,000円 ÷ 8時間 = 1,500円 > 1,163円(最低賃金)

(3)歩合給の最低賃金の計算方法と計算例

歩合給は仕事の成果や業績に応じて賃金が支払われる給与体系で、歩合制の場合は「完全歩合制」と「固定給+歩合制」に分かれます。

歩合給の最低賃金は、「歩合給 ÷ 時間外労働を含む総労働時間」で計算します。

「完全歩合制」の最低賃金の計算例

  • 地域:東京(最低賃金1,163円)
  • 歩合給:180,000円
  • 1ヶ月の所定労働時間:170時間
  • 時間外労働:30時間

180,000円 ÷ (170時間+30時間) =900円 < 1,163円(最低賃金)※違反

また、「固定給+歩合給」の最低賃金は、それぞれ別々で計算し合計金額を最低賃金とします。

「固定給+歩合制」の最低賃金の計算例

  • 地域:東京(最低賃金1,163円)
  • 固定給:150,000円
  • 歩合給:50,000円
  • 1ヶ月の所定労働時間:170時間
  • 時間外労働:30時間

固定給:150,000円 ÷ 170時間 = 882円

歩合給:50,000円 ÷ (170時間+30時間) = 250円

882円 + 250円 = 1,132円 < 1,163円(最低賃金)※違反

4.正社員の最低賃金ギリギリの手取り額・額面金額は?

最低賃金は原則として額面金額で計算されます。

東京都での最低賃金を基に一般的な労働時間で換算すると、最低賃金ギリギリの額面金額は約18.6万円/月となります。

最低賃金ギリギリの額面金額(東京都の場合)

1,163円(最低賃金) × 8時間 × 20日 = 186,080円/月

しかし、実際に労働者が受け取るお金は税金や社会保険料が引かれた後の「手取り額」であり、一般的に「額面金額の75~85%」といわれています。

そのため、最低賃金ギリギリの手取り額は「月給13.9~15.8万円」となります。

最低賃金ギリギリの手取り額(東京都の場合)

186,080円/月 × 75~85% = 13.9~15.8万円/月

手取り15万円でも節約することで生活することはできますが、余裕のない生活となってしまう人が多いです。

なお、以下の記事で手取り15万円で一人暮らしができるかどうかや年収アップの方法などをわかりやすく解説しています。

正社員で手取り15万円はやばい?年収アップの方法や生活費の目安とは

2023.12.28

5.手取り額が減ってしまう主な6つの税金や保険料とは?

先ほど手取り額は額面金額の75~85%と説明しましたが、その理由は各種税金や社会保険料が控除されるためです。

ここでは、手取り額が減ってしまう理由である、各税金や保険料について簡単に説明します。

項目 料率
所得税 5%~45%
住民税 約10%
健康保険料 約5%
厚生年金保険料 約9%
雇用保険料 0.6%
介護保険料 0.8%
合計 約25%~

(1)所得税

所得税は収入に応じて課税される税金です。

累進課税制度が採用され、給与から社会保険料を除いた金額に対して5%~45%課税されます。

(2)住民税

住民税は前年の所得に対して課税される所得割と定額で課税される均等割の合算した額となります。

一般的には所得割税率は10%、均等割は5,000円になるよう設定されてます。

(3)健康保険料

健康保険料は会社員が加入する公的医療保険料のことで、社会保険料の一つです。

保険料率は都道府県によって異なり、会社と従業員が折半して支払います。

例えば令和6年度の東京の保険料率は全国健康保険協会によると9.98%ですので、個人の負担は4.99%となります。

(4)厚生年金保険料

厚生年金保険料は会社員など70歳未満の人が原則として加入する年金保険料のことで、社会保険料の一つです。

日本年金機構によると2024年9月24日時点で厚生年金保険料率は18.3%で固定されているため、個人の負担は9.15%となります。

(5)雇用保険料

雇用保険は会社員が失業した時に給付される保険料で、社会保険の一つです。

厚生労働省によると2024年9月24日時点での一般事業での個人の負担は「6/1,000(0.6%)」とされています。

(6)介護保険料

介護保険料は40歳以上の国民が納める保険料です。

全国保険協会によると2024年9月24日時点での保険料率は1.60であり、会社と従業員が折半するために個人の負担は0.8%となります。

6.手取り額が最低賃金を下回っていた場合の対処法4選

ここまで最低賃金の確認方法や基準となる手取りや額面金額について解説してきました。

実際に賃金が最低賃金以下であった場合にすべき対応を4つ紹介します。

  1. 会社と交渉する
  2. 転職を検討する
  3. 副業をする
  4. 労働基準監督署に相談する

(1)会社と交渉する

会社に対して給与の改善を直接相談することが重要です。

もちろん会社と給与について交渉するのは、骨の折れる作業で強いストレスや職場内での関係性への悪影響からも簡単ではありません。

そのため、いきなり強硬な姿勢で交渉するのではなく、まずは自分の給与が低い理由やどうすれば給与が上がるのか、今後上がる可能性があるかどうかを確認してみましょう。

もし相談をしても相手にされない場合は何をしても給与が上がらない可能性があるため、転職などの他の手段も考えることも検討することをおすすめします。

(2)転職を検討する

手取りが最低賃金を下回る職場では従業員の待遇改善が難しい場合があるため、転職を考えるのも一つの手です。

最低賃金も地域差があるように年収は業界や企業に依存することが多く、今のスキルを活かして条件の良い仕事ができることも少なくありません。

もちろん転職活動は企業研究や自己分析、面接対策などすることがたくさんあり、空いた時間を見つけて行う必要があります。

そのため、転職活動を効率的に進めたい人やどうしたらいいか分からない人は、まずは転職エージェントに相談をすることをおすすめします。

転職エージェントは自己分析から求人検索、企業研究や履歴書の添削、給与交渉まで無料で代行します。

エージェントを使ったとしても無理に転職をしなくてもよいため、まずは最初の相談相手として始めてみるのが良いでしょう。

(3)副業をする

副業も最低賃金での生活から脱却するために有効な手段です。

現在、リモートワークやweb会議の拡大から場所を問わずに働ける場面が増えており、クラウドサービスでの副業募集が増えています。

副業自体は本業の賃金改善に直接的には繋がりませんが、副業で新しいスキルや資格を身につけることができ、転職や昇給のチャンスが広がります。

一方で、副業には休日や終業後などの自分の時間を使って働くため、身体面・精神面で悪影響が出てしまうこともあるため注意が必要です。

そのため、副業をする際には自分のワークライフバランスを考慮し、自分がやりたい仕事を副業として選択することで無理なくできるようにしましょう。

(4)労働基準監督署に相談する

もし会社に改善を求めても対応しない場合や違法が明らかな場合には、最終手段として労働基準監督署に相談することも検討しましょう。

労働基準監督署は匿名で相談でき、違反行為が発覚すれば是正指導を行うことができます。

しかし、労働基準監督署に通報したことを理由に解雇などはできないとされていますが、犯人探しが行われ会社で孤立してしまうリスクは0ではありません。

そのため、こうしたリスクを負うくらいであれば、転職や副業などでその会社から離れることの方がリスクが少ないでしょう。

まとめ

本記事では、最低賃金の基礎知識や計算方法、最低賃金ギリギリの手取り額や額面金額、手取りが減ってしまう原因や対策について紹介しました。

賃金は個人の能力だけでなく地域や業界によって大きく左右され、同じ能力を持っていても差が出てしまいます。

もし今の仕事で「給与が低い…」と悩んでいる人は、本記事を参考に見つめ直してみることをおすすめします。

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