「転職は裏切り」と言われる4つの理由と裏切り扱いされずに退職する方法
「転職はなぜ裏切りと言われる?」「裏切り扱いされずに円満退職したい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今の職場を退職し新しい会社に転職しようとするときに、同僚や上司から「裏切り」と言われそうだと不安を抱くのは自然なことです。
転職が裏切りと言われる理由やスムーズに退職する方法を押さえることで、円満退職することは十分可能であり、実際、スムーズに円満退職して気持ちよく転職できた方も数多く存在します。
そこで今回の記事では、転職が裏切りと言われる理由から引き留められたときの対応、裏切り扱いされずに退職する方法、注意点について紹介します。
また、裏切り扱いされることなく、円満退職できる実践的な方法も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
1.転職が裏切りと言われる4つの理由
転職が裏切りと言われる理由は主に次の4つです。
(1)日本企業の雇用形態の問題
(2)採用・教育の時間と費用が無駄になる
(3)新たな人員採用・教育に負担がかかる
(4)自分を正当化するため
(1)日本企業の雇用形態の問題
転職が裏切りと言われる理由のひとつが、日本企業の雇用形態の問題です。
雇用形態の問題としては、主に終身雇用制度やメンバーシップ型雇用などが挙げられます。
終身雇用制度は、ひとつの企業に長く勤めることを前提として、社員が定年まで安定して働ける環境を提供するものです。
日本の高度経済成長期においては、終身雇用の影響で長期雇用は美徳とされ、転職は企業への裏切り行為とみなされることが一般的でしたが、現代ではこの終身雇用制度が崩壊しつつあります。
経済の変動や企業の競争激化により、多くの企業はもはや終身雇用を保証することが難しくなりました。
政府も副業を推奨しており、年功序列の廃止や成果主義への移行を進めている企業も多いです。
(参考:厚生労働省|副業・兼業の促進に関する取組について)
また、終身雇用制度を前提として職務や勤務地などを限定せずに雇用する「メンバーシップ型雇用」も問題のひとつで、一人ひとりの業務範囲が曖昧なため、退職者が出るとほかの社員の負担が増える可能性があるという問題があります。
近年は転職が一般化しつつありますが、一部の人々はいまだにこのような長期雇用を重んじているため、転職を裏切りと感じる傾向があるのです。
(2)採用・教育の時間と費用が無駄になる
採用・教育にかかる時間と費用が無駄になるのも、転職が裏切りと言われる理由です。
従業員を雇う側の企業からすれば、社員が転職することで、その社員の採用・教育にかかっ
た時間と費用が無駄になってしまいます。
株式会社リクルートが運営する「就職みらい研究所」が発表した「就職白書2020」によると、中途採用にかかる平均採用コストは1人あたり103.3万円、新卒採用は1人あたり93.6万円です。
(参照:就職白書2020 – 2019年度新卒採用および中途採用1人あたりの 平均採用コスト(p.11より)|就職みらい研究所)
さらに、入社後は育成して戦力として働けるようになるまで、時間と費用がかかります。
一部の企業は「社員を育てた」という意識が根付いており、入社して短期間で転職する社員に対して「会社への恩義を忘れて辞める裏切り者」と考えてしまうのです。
(3)新たな人員採用・教育に負担がかかる
新たな人員採用・教育に負担がかかるのも、転職が裏切りと言われる理由です。
社員が転職すると、空いたポジションを補填するために新たに人員採用や教育をしなくてはなりません。
仮に転職する社員が優秀であれば、同じように活躍してくれる人材を補填するのに高額な費用と時間がかかることが予測されます。
また、新たに人材を確保するまでに在籍している社員に業務のしわ寄せが来たり、人材採用後も教育を任せたりなど、上司や同僚に負担がかかります。
転職先がよりよい待遇であれば、なおさら「自分だけが良い思いをして、こちらに負担がかかってずるい」と思われ、裏切りと言われるのです。
(4)自分を正当化するため
転職が裏切りと言われるのは、下記のように自分を正当化するためというケースも考えられます。
・転職をする自信や勇気がない自分
・転職をする行動力がない自分
・転職ができるほど市場価値がない自分
「転職するのは裏切り」と言う人の中には、転職できない自分を正当化するために、転職を裏切り行為と考えている人もいます。
自分が正しいと考えているので、働いている今の職場を離れている人を見ると、自分を否定されているように感じてしまうのです。
また、終身雇用の体制が崩壊しつつあることを把握しているものの、長く勤めることが正義と言い聞かせている可能性もあります。
自分の人生をよりよくする選択肢として転職が当たり前になってきている現代において、転職は決して裏切り行為ではありません。
2.引き留められたときの対応
転職・退職する意思を伝えて引き留められても、自分の軸をしっかりと持ち流されないことが大切です。
一度退職すると口にしたら、引き留められて残留するのは避けるべきです。
仮に会社に留まることを選択した場合、周りから「会社を辞めようとした人」「自分たちを裏切ろうとした人」と思われ、肩身の狭い思いで働くことになる可能性があります。
そのため、裏切りと言われたり引き留められても、会社は一生自分の人生を保証してくれるわけではないので、退職の意向を曲げないことがベストな対応と言えます。
また、会社から不満を聞かれて引き留められたとしても会社や他人を悪く言ってはいけません。
裏切り者という言葉で言われると「自分は間違っている行動をしているのではないか」「誰もわかってくれない」と不安になってしまうものですが、まわりの言葉に惑わされないようにしましょう。
なお、ハラスメントを受けている場合の対処法としては、こちらの記事も参考にしてみてください。
3.裏切り扱いされずに退職する方法
裏切り扱いされずに退職する方法は、次の5つです。
(1)退職理由の伝え方に気をつける
(2)退職時期に余裕をもって伝える
(3)退職時期と繁忙期を重ねない
(4)業務の引継ぎを徹底する
(5)退職に必要なことを洗い出しておく
(1)退職理由の伝え方に気をつける
退職の意思を伝える際、退職理由の伝え方に気をつけましょう。
まずは就業規則を確認して、規則に従って直属の上司など、決められた順序で退職の意思を申し出るのが基本です。
その際に退職願や退職届などは不要で、まずは口頭で退職する旨を伝える必要があります。
上司から退職の承諾を得たら、課長や部長など役職のある人へ報告して、最後に人事部に伝えるのが一般的です。
退職理由は、今の会社に対する不満や競合他社に転職するようなことは明言せず、できる限りポジティブな内容にすることがポイントです。
また、退職の申し出は重要な話であり、メールや電話のみでは失礼になることがあるため、できる限り対面で伝えましょう。
対面でのアポイントを取ろうとしても、上司が長期出張や駐在などで直接会えない場合には、テレビ通話・Web会議を利用するのがいいでしょう。
(2)退職時期に余裕をもって伝える
退職時期に余裕をもって伝えることも大切です。
法律上、基本的に2週間前までに退職を申し込めば問題ありませんが、ギリギリで伝えると引継ぎや人材補填などの対応が間に合わず、円満退職できない可能性があります。(参考:厚生労働省|知って役立つ労働法)
人によっては「会社のことを考えない裏切り者」と思う人もいるかもしれません。
企業側からすれば、最低でも1ヶ月ほどスケジュールを確保したいと考えるのが一般的です。
また、就業規則に退職の申し出期間を記載していることもあるので、就業規則も確認しておきましょう。
転職先が決まっている場合でも、1ヶ月程度であれば入社を待ってくれるところがほとんどなので、早く辞めたいと思って退職時期は余裕をもって伝えるのが大切です。
(3)退職時期と繁忙期を重ねない
どのような業種・職種においても、いつ退職の意思を伝えても問題ありませんが、裏切り扱いされずに円満退職するためには、繁忙期を避けて伝えることをおすすめします。
業務が忙しい時期だとわかっているのに退職の話をすると、「今はそれどころじゃない」「自分のことしか考えていない」と、悪い印象をもたれてしまいます。
繁忙期に転職されれば、普段の業務に加えて引継ぎや人材補填も行わなければならず、大きな負担となるためです。
退職を申し出る際は、はじめに会社の年間の繁忙期を把握しておき、退職時期と繁忙期が重ならないよう注意しましょう。
(4)業務の引継ぎを徹底する
裏切り扱いされずに退職するため、業務の引継ぎは徹底しましょう。
自分が退職することで会社側が懸念すること・困ることを考え、しっかりフォローすることで、裏切り扱いされる可能性が少なくなります。
後任がすでに決まっている場合は、後任の人にしっかりと引継ぎをして、後任が決まっていなければ、業務内容をまとめた資料・マニュアルを作成するなど、自分が退職した後も問題なく業務が回るようにしておきましょう。
また、業務が属人化している場合は、同僚にノウハウを共有しておくことでトラブルを回避できます。
可能であれば過去の退職事例を調べ、引き継ぎにかかる時間を確認し、早めに退職の申し出をしておくとよりよいでしょう。
(5)退職に必要なことを洗い出しておく
会社に迷惑をかけることで裏切り扱いされないよう、退職に必要なことを事前に洗い出しておきましょう。
退職する際、取引先へのあいさつや備品の返却、有給休暇の消化などやるべきことが多くあります。
会社から貸与されている代表的なものは、身分証や社章、名刺、定期券、制服、鍵、パソコン、携帯電話などです。仕事で作成した顧客名簿や企画書なども会社へ返却が必要です。
返却物を返さないと会社とのトラブルに発展するリスクがあるため、返すべきかどうか迷うものはとりあえず返却しておくことをおすすめします。
会社によっては就業規則に退職時に必要な手続きが記載されていることがあるので、事前に就業規則を確認し、会社に迷惑がかからないように計画を立てておくのが無難です。
4.退職を考えたときの注意点
退職を考えたときは次の2点に注意が必要です。
(1)在職期間中に転職先を見つけておく
(2)先延ばしにすると転職の選択肢が少なくなる
(1)在職期間中に転職先を見つけておく
退職・転職しようと思ったら、在職期間中に転職先を見つけておくことが大切です。
転職先が見つかっていない状態で退職の意思を伝えると、具体的な退職日を決められずに、退職が先延ばしになる可能性があるためです。
すでに転職先への入社日が決まっていれば、「〇月〇日までに退職を希望します」と具体的に伝えることで、上司も受け入れるしかありません。
また、転職先が決まっていないと引き留められ結果的に退職できないリスクがあるほか、退職してすぐに転職先が決まらないと経済的な不安に陥るリスクもあります。
転職先からの内定通知書を受け取っていれば、安心して退職の意思を示すことが可能です。
次を決めずに転職する場合のメリット・デメリットについて、さらに詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
(2)先延ばしにすると転職の選択肢が少なくなる
退職を考える際、先延ばしにすると転職の選択肢が少なくなるため注意が必要です。
転職市場では、年齢が上がるにつれて求められるスキルが高くなるからです。
20代であれば、経験やスキルが未熟でも、やる気・ポテンシャル次第で採用されることも多く、未経験の業界・職種にチャレンジすることも可能です。
一方で、30代以降は即戦力としてのスキルが求められるため、スキルを磨いたり資格を取得したり、現職で実績を作っていなければ転職が困難になります。
さらに、転職を先延ばしにするとキャリアアップのチャンスを逃すことにもつながります。
そのため、退職を引き留められて無計画に転職時期を延ばすのはおすすめできません。
年齢を重ね、徐々に転職やキャリアアップの選択肢が少なくなっていくので、転職をしたいと思ったらできる限り早く行動に移しましょう。
まとめ
今回の記事では、転職が裏切りと言われる理由から引き留められたときの対応、裏切り扱いされずに退職する方法、注意点について紹介しました。
転職が裏切りと言われる理由は、日本の雇用形態の問題や会社の都合によるものが多く、個人が能動的にキャリア形成をする必要がある現代においては、転職は裏切りではありません。
裏切り扱いされず、円満退職したいという人は退職時期や退職理由の伝え方などに気をつけることが大切です。
退職したい・転職したいと思ったら、転職エージェントの利用をおすすめします。
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