『正社員になりたくない…』と思う理由と正社員でなくても良い人の特徴
「正社員は大変そう…なりたくないな」
「給与が正社員と変わらないなら、非正規雇用の方がいいんじゃないの?」
このように思う人は少なくありません。
本記事では、正社員になりたくない理由や正規社員と非正規雇用の違いについて詳しく解説します。
記事の後半では正社員になるべき人の特徴なども紹介するので、正社員になろうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
1.正社員になりたくない理由5選
「正社員になりたくない」と思い、非正規の社員として働く人は少なくありません。
「令和5年版労働経済の分析」によると、就業者のうち非正規雇用労働者は約3割でした。
同分析によると、「正社員の仕事がなかった」という理由で非正規雇用になった人は減少していますが、自分の意志で非正規雇用を選択する人は増加傾向にあるようです。
非正規雇用を選ぶ理由は、以下5つが考えられます。
順に説明します。
(1)自由に働けないから
非正規雇用を選択する理由として、正社員は会社に拘束されることがあげられます。
正社員は勤務時間・曜日が会社に指定されており、職場の雰囲気や企業風土によっては有給休暇が取りにくいこともめずらしくありません。
そのため、自分の時間を確保したい人や家事・育児・介護などと仕事を両立させたい人は、時間の融通がききやすい非正規を選択するようです。
また、業務内容も会社から決められるので、正社員になっても入社後すぐにやりたい仕事を担当できるとは限りません。
さらに、会社によっては数年ごとに転勤があり、住みたい地域があっても引越さなければならないこともあります。
上記のことから、やりたい仕事がアルバイトやパートでできる場合や、自由度の高い仕事を希望する場合に非正規雇用を選ぶケースが考えられます。
(2)責任を負いたくないから
「アルバイトやパートよりも責任が重い仕事をしたくない」という考えから非正規雇用になる人も存在します。
正社員の場合は、クレーム対応や非正規スタッフのミスのカバーなどを行う必要があります。
また、昇進するとプロジェクトの責任者になったり、複数の部下を管理したりする可能性もあり、不測の事態が起きた際に責任を取らなければなりません。
こういったことを負担に感じて、正社員を選択しないケースも考えられます。
加えて、正社員ほど意識高く仕事をしたくないと思う人もいるでしょう。
(3)正社員といっても給与が高くないから
給与が平均以下の場合、時給にすると非正規雇用と変わらないケースがあり、「それなら非正規の方がいい」と思うケースもあります。
賃金構造基本統計調査の概況によると、令和5年の正社員平均月給は33万6千円で、正社員以外の平均月給は22万6千600円でした。
全年代の平均を比較すると10万円以上の月給差がありますが、20代前半の平均月給は正社員が22万8千700円、正社員以外が19万4千800円と3万円強の差になります。
20代前半の正社員平均月給を1日8時間、月20日勤務した場合で時給換算すると約1,400円になり、「正社員なのに思ったより収入が少ない」と感じることはあるでしょう。
会社の中には給与の算出根拠となる労働時間に、あらかじめ一定の残業時間を含める「みなし残業」を採用していることもあり、労働時間数によっては非正規雇用の方が稼げる可能性もあります。
このように、年齢によっては正規社員と非正規雇用の収入に差がないため、自由度が高い非正規雇用の方に魅力を感じる人がいるのです。
(4)人間関係にストレスを感じるから
正社員は長く働くことが前提なので、人間関係に気を遣う必要があり、そこにストレスを感じる人もいます。
正規社員でも非正規雇用でも、相性が合わない社員がいる可能性はあります。
しかし、「合わなければ他のアルバイトに変わろう」と構えられる非正規雇用と、「短期で辞めて転職できるかな」と不安がある正社員では、人間関係で悩んだ際のプレッシャーが異なるでしょう。
また、後輩や非正規雇用者の研修を担当したくない人もいるようです。
(5)挑戦していることがあるから
以下のような挑戦していることがある場合も、非正規雇用を選ぶ理由の一つです。
- 資格取得の勉強をしている
- 起業するための準備をしている
- オーディションやコンクールに挑戦している
- 大学・大学院・専門学校などの入学準備をしている
非正規雇用は基本的に残業がないため、仕事以外のやりたいことに時間を割くことができます。
また、「自分に合う仕事を見つけたい」という思いから、さまざまな仕事を経験するために非正規雇用を選択する人もいます。
自分の夢や理想のキャリアのために、あえて非正規雇用者になる人も存在するのです。
以下の記事では、正社員が無理だった人の理由について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
2.正社員と非正規雇用の6つの違い
正社員と非正規雇用には、以下6つの違いがあります。
一つずつ解説します。
(1)雇用の安定
正社員は雇用期間の定めがないため、倒産や懲戒解雇、自己都合退職にならない限り定年まで働けます。
会社は一定の事由があれば従業員を解雇できますが、労働契約法第16条で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、解雇が無効になると定められています。
つまり、経営者の独断ではなく客観的に見て解雇せざるを得ない事情がなければ、解雇はできません。
解雇自体は雇用形態関係なく起こり得ることですが、会社経営の状況に応じて雇用量を調整しやすい非正規社員は、正社員よりも解雇の有効性が認められやすいでしょう。
また、非正規社員の中でも有期労働契約で働いている場合は、契約期間終了として契約の更新をしないケースもあります。
(2)収入の差
収入の差があることも、正規社員と非正規社員の違いの一つです。
前章では、正社員になりたくない理由として「給与が高くないから」と説明しましたが、給与額は年齢が上がるにつれて差が出てきます。
以下は、令和5年賃金構造基本統計調査の概況を参考にして作成した、雇用形態別の平均月給です。
年齢階級 | 正社員の月給平均 | 正社員以外の月給平均 |
全年齢 | 336,000円 | 226,600円 |
~19歳 | 192,800円 | 170,700円 |
20~24歳 | 228,700円 | 194,800円 |
25~29歳 | 263,600円 | 216,000円 |
30~34歳 | 294,000円 | 221,400円 |
35~39歳 | 327,000円 | 220,500円 |
40~44歳 | 354,600円 | 220,600円 |
45~49歳 | 374,500円 | 217,700円 |
50~54歳 | 394,300円 | 222,200円 |
55~59歳 | 404,800円 | 221,700円 |
60~64歳 | 349,300円 | 256,900円 |
65~69歳 | 312,700円 | 231,700円 |
正社員には昇給があるため、年齢を重ねていくと非正規雇用と月給の差は開きます。
また、同調査によるとボーナスなど月給以外の報酬の平均額は、正社員が104万6千円、正社員以外が22万6千600円でした。
非正規雇用者は賞与が支給されないケースも多いため、年収にするとさらに差が大きくなるでしょう。
(3)昇給・昇進の機会の有無
正社員は、非正規社員よりも昇給や昇進のチャンスがあります。
以下は、労働政策研究・研修機構の調査をもとに雇用形態別の昇給・人事評価の実施割合をまとめた表です。
雇用形態 | 定期的な昇給を行っている | 人事評価・考課を行っている |
正社員・正職員 | 75.5% | 62.6% |
有期雇用でフルタイム | 40.8% | 42.6% |
有期雇用でパートタイム | 40.6% | 32.9% |
無期雇用でパートタイム | 45.5% | 33.5% |
正社員の7割以上に昇給が行われているのに対して、非正規雇用で昇給されているのは半数以下です。
また、非正規雇用よりも正社員の方が人事評価の機会があり、収入アップ・キャリアアップのしやすさが雇用形態で異なることがわかります。
(4)各種制度の適用
非正規社員は、正社員よりも社会保険・福利厚生など各種制度の適用が少ないことも、雇用形態の違いといえます。
令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況では、以下のように就業形態によって各種制度等の適用割合に差があることがわかっています。
【各種制度の適用割合】
各種制度 | 正社員 | 正社員以外 |
雇用保険 | 92.7% | 71.2% |
健康保険 | 97.2% | 62.7% |
厚生年金 | 96.1% | 58.1% |
企業年金 | 27.2% | 5.3% |
退職金制度 | 77.7% | 13.4% |
財形制度 | 43.4% | 8.3% |
賞与 | 86.8% | 35.6% |
福利厚生施設等の利用 | 55.8% | 25.3% |
自己啓発援助制度 | 36.4% | 10.1% |
このように、正社員と比べて非正規社員は各種制度が適用されにくい傾向があります。
(5)社会的信用度の高さ
前述のとおり、非正規社員は正規社員よりも雇用が不安定なので、社会的信用も低い傾向にあります。
たとえば、ローンを組む、クレジットカードを作るといった時に、雇用が保証されていないことから審査が通らないケースは少なくありません。
(6)人脈の広がり
非正規社員より正社員の方が、人脈を作りやすいでしょう。
非正規社員は基本的に決められた仕事だけを行う一方で、正社員は他部署への異動や社外の人とのやりとりなどで、人と知り合う機会が多いためです。
人脈があるメリットは、仕事の情報・意見交換ができる、紹介などで顧客を獲得できる、仕事で厳しい状況になった際に助けてもらえるなどがあげられ、仕事がしやすくなることです。
また、万が一失業しても、同じ業種や職種の仕事を紹介してもらえるケースもあります。
3.正社員になるべき人の特徴
正社員になるべき人の特徴は、以下があげられます。
- 安定的に働きたい人
- 養う家族がいる人
- 勤務年数や自分の成果によって、経済的に豊かになっていきたい人
- キャリアアップをしたい人
- ローンを組む予定がある人
- スキルを身につけて独立したい人
安定した生活を送りたい人や、家族を養う必要がある人、働くことで収入アップ・キャリアアップを図りたい人は正社員の方が向いています。
また、将来的に独立を考えている人も、正社員の方が専門的なスキルを習得しやすいでしょう。
正社員の方が向いている人の特徴は以下の記事でも紹介しているので、こちらも参考にしてください。
4.正社員じゃなくても良い人の特徴
正社員じゃなくても良い人の特徴は、以下が考えられます。
- フルタイムで働けない人
- 養う家族がいない人
- 生活できる収入があれば満足な人
- 非正規雇用でも昇給できる会社で働いている人
- 専門的なスキルをもっている人
- やりたいことが決まっている人
家庭の事情などでフルタイム勤務ができない、または残業を一切できない人は非正規雇用で自分の生活に合った働き方をする方が良いでしょう。
また、養う家族がおらず、生活できる収入があれば満足できる人も、絶対に正社員にならなければいけないわけではありません。
加えて、専門的なスキルをもっている場合は正社員でなくても高待遇が期待できるので、自分らしく働ける雇用形態を選択しましょう。
目的があって非正規雇用を選択している人も、必ず正社員になる必要はありません。
5.正社員になりたくない場合はどうする?
「正社員の方が安定していることはわかるけど、それでもなりたくない…」と思う人は、自己分析をして自分に合った働き方を見つけましょう。
自己分析では、正社員になりたくない理由・得意なこと・理想の働き方やライフスタイルを書き出します。
正社員になりたくない理由によっては、雇用形態を非正規に限らなくても自分に合う働き方ができる会社で正社員になる方法もあります。
もちろん、理由によっては非正規雇用で働くことも選択肢の一つです。
しかし、前述のとおり、非正規雇用にはさまざまなデメリットがあります。
本章では、非正規雇用以外の働き方を紹介します。
(1)自分らしい働き方ができる会社に転職する
現代は働き方が多様化しており、厚生労働省も「多様な正社員」の制度を推進しているので、正社員でも様々な働き方ができます。
多様な正社員とは、一般的な正社員にとらわれない働き方ができる制度のことで、具体的には、以下があげられます。
勤務地限定正社員 |
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職務限定正社員 |
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勤務時間限定正社員 |
|
このほかに、リモートワークを認めている会社もあります。
このように、正社員でも会社によっては自分の希望する働き方ができます。
正社員を目指して転職する際は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
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「リモートワークができる会社に就職したい」「そもそも、どんな雇用形態が自分に合っているかわからない」といった相談も大歓迎です。
転職に関する相談は、キャリアスタートにおまかせください!
転職エージェントの選び方を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
(2)自由度の高さを求める人は起業・独立がおすすめ
以下のように自由に働きたい人は、独立することもおすすめです。
- 組織に入りたくない
- 勤務時間や勤務場所を決められたくない
- 社内の人間関係が煩わしい
- 自分で仕事内容を決めたい
起業する、フリーランスとして働くなど、自分の力で仕事を取りにいく働き方は、収入の安定性に欠けますが自由度が高くなります。
また、成功すれば収入が正社員よりも高くなる可能性はありますし、成果がそのまま報酬になる点も魅力でしょう。
自分の考えをしっかり持っていて行動力がある人は、独立・起業も視野に入れましょう。
まとめ
非正規雇用には正規社員にはないメリットがあります。
しかし、正社員は福利厚生や昇給があるので、非正規社員と収入面で大きな差ができます。
多様な働き方ができる現代では、社員に合わせた働き方を採用している企業も少なくありません。
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