エンジニアとは?職種や必要な能力の解説、未経験で就職する方法まで
2012年12月から日本国内の景気回復基調が長く続くなかで、年齢構造の変化や少子化、企業の採用意欲の高まりから、採用環境においては売り手市場が続いています。その中で、採用難から人材不足となっている企業も多く、職種では特にエンジニアが足りないといわれています。今回は、現在非常に需要が高い職種のエンジニアとは、どのような仕事なのか、必要な能力にはどのようなものがあるのか、エンジニアのやりがい、エンジニア未経験でも就職する方法など解説します。
Contents
エンジニアの基礎知識
現在の求人市場において、特にIT系エンジニアの人手不足は続くと予想されています。ではエンジニアとは、どのような仕事を行う職種なのでしょうか。また、現在の日本の採用市場において、特にITエンジニアの需要が高い背景をみてみましょう。
エンジニアとは?
エンジニアとは、工学(Engineering)に関する専門知識やスキルを持つ人材のことです。近年ではIT分野が発達したことにより、システムエンジニア(SE)やサーバーエンジニアなどと呼ばれるITエンジニアを指すことが多くなっていますが、IT業界以外にも、建築業や製造業などさまざまな分野でも、活躍している職種です。
エンジニアが求められる背景
現在の日本経済において、AIやIoTなどIT分野の進化が著しく、この分野での人材のニーズが急速に拡大しています。にもかかわらず、少子化や高齢化など年齢構造の変化により、国内の人材供給力が低下していて、ITエンジニアの人手不足が続いています。特にリーマン・ショック以降は、IT分野における人材の量的不足は深刻な状況であると言われています。
経済産業省のまとめた「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2019年をピークにIT産業へ就職する人の数が退職者を下回ると予測されていて、その後IT人材の平均年齢は2030年まで上昇し続けて、高齢化が進むと見られています。
【出典】経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果
エンジニアの主な職種
エンジニアというとプログラマーのようにコードを書くのが主な仕事と思っている人も多いかもしれません。しかし、ひちくちにエンジニアと言っても、仕事の内容はさまざまなです。代表的なエンジニアの職種と業務内容を紹介しましょう。
システムエンジニア
システムエンジニアは、∟SE(System Engineer)とも呼ばれる職業です。主な業務内容は、クライアントの要求からシステムの仕様を決定して、大まかな設計を行うことです。所属する企業や開発チーム、クライアントによって担当する仕事の内容は異なりますが、一般的には要求分析やシステム開発、テスト、実装まで行い、システムが正常に動作することを確認してから納品するまでを行います。
IT系にはプログラマーという職種もありますが、システムエンジニアが作った設計書をもとに、プログラマーがプログラミングを行うといった流れが一般的です。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは、最適な最適なサーバーの構成を決めるなど、サーバーに関連する業務を専門的に行うエンジニアです。具体的には、特定のサーバーに負担が集中しないよう分散させる、サーバーに障害が起きてもサービスが提供できるよう予備を用意するなどの業務を行います。そのためサーバーエンジニアには、OSやコンピュータアーキテクチャの知識も必要です。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーの構築やネットワーク管理など、インフラが滞りなく稼働するよう整備するのが主な業務です。インフラは、アプリなどが毎日24時間安定して稼働することが求められます。そのため、障害が発生した際には即座に原因を特定し、復旧作業を行います。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、主にネットワークのシステム設計や構築、運用、監視・保守を行うエンジニアです。
インフラの中でも、メール、DNS、ルーター、ファイアウォールなどネットワークや関連機器に関する知識が求められます。
フロントエンドエンジニア
フロントエンジニアは、主にWebサイト制作などユーザーに見られる部分(フロントエンド)の開発を行うエンジニアです。JavaSript、HTML、CSS、PHPなどのプログラミング言語の知識が必要で、またデザイナーやディレクターとコミュニケーションを取ることも多い職業です。
データベースエンジニア
データベースエンジニアは、データベースの設計や構築、運用を専門に行うことを業務としたエンジニアです。
ビッグデータを扱う現代においては、企業の情報システムにデータベースの設置が不可欠となっていてデータベースエンジニアの重要性が増しています。しかし、まだ専門のエンジニアが少ない状況です。
セールスエンジニア
セールスエンジニアとは、技術的知識を使って営業活動を行うことを業務とした職業です。専門性の高いシステムでは、通常の営業担当のみではクライアントへの説明が難しい場合があります。そのような場合に、営業担当と同行するなどして、自社の商品やサービスの説明やクライアントからの質問に技術的な専門知識で対応します。特に、自社商品に対する高い専門知識が必要になります。
機械系エンジニア(制御系エンジニア、組み込み系エンジニア)
機械系エンジニアは、家電製品や産業用機器、自動車などに社会生活に欠かせない家電製品に組み込まれるソフトウェアのエンジニアで、それらの制御設計に関わる業務を行います。先端技術であるAIやIoT製品が増加するにつれ、需要が高まっている職業です。
他にも、アプリの開発などで作ったアプリのテストを専門に行うテストエンジニアや、導入するシステムをクライアントに説明しながら要件定義を進めたり、システム導入後のメンテナンスを行うITコンサルなどの仕事もエンジニアの職種です。
エンジニアに必要な能力
さまざまな種類のエンジニアと、その業務内容を見てきましたが、それらに共通する必要な能力にはどのようなものがあるのでしょうか。
プログラミングなどの専門知識
IT系のエンジニアには、クライアントの要求を形にできる設計能力や知識が必要となります。プログラミングなどの専門知識があれば、プログラマーに指示を出すときや、システムが上手く作動しない場合などに適切に対応することが可能となります。逆に言うと専門知識がなければ、クライアントの要望などをプログラマーに正しく伝えることができなかったり、システムに不具合が起こった場合に自分で対応することも、他のエンジニアに状況を伝えることも難しくなります。IT分野では、新しい技術や流行が激しく変化し続けるため、常に勉強を続ける必要があります。
コミュニケーション能力
営業職や販売職などに比べると、あまりコミュニケーション能力が必要なイメージがないエンジニアですが、業務においてはクライアントや設計チームのメンバーと話し合って進める場面が多く、ある程度のコミュニケーション能力が必要となります。特に専門知識がないクライアントの場合には、システムをわかりやすく説明するなどが必要となることもあります。
マネジメント能力
商品やシステムの設計や開発は、個人ではなくチームを組んで行うことがほとんどです。そのためエンジニアには、納期に間に合うようスケジュールを管理したり、チームメンバーの進捗を確認しながら仕事を進めるなどマネジメント能力も求められます。また、仕事全体を把握して、もしトラブルがあった時には冷静に対処することができる問題解決能力も必要です。
ITエンジニアは技術専門職のため、プログラミングに関する専門知識や技術力が重視されがちですが、コミュニケーション能力やマネジメント能力、提案力など、他の職種同様にビジネスパーソンとしての基本的な能力や、知識、マナー、知見、教養などが必要とされないわけではありません。若いうちにはエンジニアとしてだけの仕事だけで評価されても、経験を重ねるうちには年齢やポジションに見合った人間力が必要となります。
エンジニアの仕事のやりがい
では、エンジニアという職種のやりがいとはどのようなものがあるのでしょうか。一般的に言われるているエンジニアのやりがいについて紹介します。
実力で評価されやすい
エンジニアは、実績で評価されやすい職種です。開発現場では、自分のアイデアや意見を出しやすい環境であることが多く、経験が浅くてもその内容が良ければ採用されることもあります。そのため実力次第では、チームの重要なポジションを任される場合もあります。また、最近の売り手市場の中で特にエンジニアは、需要が高く転職しやすい職種といわれていて、技術力があれば、転職により今より高年収であったり好条件の企業への就職を狙うことができるかもしれません。
ものづくりの面白さを味わえる
エンジニアは、自分の作ったシステムやアプリが、実際に使われる様子を見ることができる職種です。自分が関わって開発したものに対して、所属する企業や上司から高く評価されたり、システムを納品したクライアント企業から喜んでもらえたり、大勢の人にアプリを楽しんでもらえたりするなどを実感することができ、ものづくりの面白さややりがいを味わえます。
プロジェクトをやり遂げたときに達成感がある
エンジニアの業務は、チームで協力してソフトウェアやシステムの開発を進めるが多く、プロジェクトをやり遂げた時には大きな達成感を味わうことができます。クライアントからの要求を基にゼロからシステムを構築する案件も多く、また開発には予想外のアクシデントもつきものであり、それを乗り越えたときの達成感は他の職種では味わえないかもしれません。
エンジニアに向いている人の特徴
エンジニアという職種に向いている人とは、どのような性格の人なのでしょうか。その特徴をみてみましょう。
向上心がある人
IT分野の進化や変化は激しく、特にプログラミングには流行があるため、常に最新技術を学習する必要があります。そのような知識や情報は会社から提供されることもありますが、ほとんどの場合には自分で調べる必要があります。そのため、エンジニアには自ら積極的にネットや書籍で調べることをいとわない人が向いているといえます。
物事に柔軟に対応できる人
クライアント毎に個別に対応するシステムの開発では、クライアントから今までに自社では作ったことのないシステムや他社でも開発されていないシステムを求められることも多くあります。エンジニアには、前例にとらわれずに新たな発想で、柔軟に対応する能力が求められます。また、システムの開発においてトラブルはつきものであり、そのような場合にも機転を利かせて困難な課題を解決することが重要です。
諦めずに対処できる人
システムの開発の現場では、誤作動やサーバーダウン、ミスなどさまざまなトラブルが起こる可能性があります。エンジニアには、納期までの限られた時間の中で諦めずに対応できる忍耐力が必要です。トラブルに過剰なストレスを感ることなく、楽観的に対処できる人がエンジニアには向いているようです。
未経験からエンジニアになるには
専門的な知識や能力が必要とされるエンジニアですが、未経験からでも転職することはできるのでしょうか。また、未経験でエンジニアになるには、どのような準備が必要なのでしょうか。
未経験者の求人を探す
最近の深刻な人手不足と売り手市場の中で、多くの企業では特にエンジニアが不足しています。。そのため、未経験でもエンジニアの求人が出ている可能性があります。しかし、全くの未経験で基本的な知識も全くない状態で、エンジニアとして就職するのは難しいと思ってください。もし、未経験でも募集している企業があれば、入社後にどのような教育が受けられるのかなどを確認することが重要です。複数のエンジニアがいて、しっかりとした上司がいるような企業の環境であれば、最初は誰にでもできる簡単な仕事から初めて、徐々にエンジニアとしての知識やスキルを得ることができるかもしれません。
大学や専門学校で勉強する
入学から卒業までの時間はかかりますが、大学や専門学校に進学してエンジニアに必要な専門知識を学校で勉強するのが、エンジニアになる一番の近道です。卒業することで得られる学歴が、就職で有利になる可能性が高く、大手企業に就職できるかもしれません。また、大学や専門学校の就職課では、就職指導を受けたり就職先を紹介してもらうこともできます。
専門の資格を取得する
独学でITパスポートや基本情報技術者試験などの勉強をして、資格を取得してから転職を目指すする方法もあります。IT分野に興味のあるひとなら、エンジニアとして必要な知識を独学でも習得することは可能です。エンジニアは、常に新しい技術を勉強する事が必要な職種のため、主体的に学ぶ姿勢があることをアピールすることができます。また、プログラミングスクールのように企業で必要な即戦力レベルのプログラミングを教えてくれるところもあります。費用も大学や専門学校に進学するより、比較的安く済み、短期間で即戦力の力をつけることができます。
未経験からでもエンジニアになる方法を紹介しましたが、先述の通りエンジニアにもさまざまな種類があります。まずは、自分が目指すエンジニアの種類を決めて、そのエンジニアに関することをしっかりと調べて、最低限の業界知識を持つことが大切です。そうしないと、転職活動では企業の求める人材像がわからずに、履歴書に適切な自己アピールが書けなかったり、面接で面接官の質問に答えられない可能性もあります。
もし、エンジニアとして採用されても、実際に働いてみたらイメージしていた仕事内容と全く違っていたということになるかもしれません。
転職を目指すなら人材不足のエンジニア職がおすすめ
長く日本経済の好調が続く中で、少子化による人手不足もあり、多くの企業は人材の確保に苦労しています。その中でも、特にエンジニア職の人手不足は深刻な状況で、経済産業省のまとめた「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、今後IT産業へ就職する人の数が退職者を下回ると予測され、エンジニアの高齢化が進むと見られています。エンジニアは実力次第で高く評価され、やりがいのある仕事です。IT系に興味があるならエンジニアへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。