大学を中退した理由は就活の面接で聞かれることになりますが、うまく答えることができないと、面接官に悪い印象を与えてしまい、面接の通過率が下がってしまうリスクに繋がります。
そのため大学中退者が面接対策をする際は、大学中退理由を作り込むことが重要になってきます。大学中退理由を作り込む上では、自分の大学中退理由を言語化し、ポジティブに言い換えることが大切です。
この記事では、面接で聞かれやすい大学中退理由の例文をご紹介しつつ、効果的に大学中退理由を伝えるために理解しておきたいコツについて解説します。
これから就職活動を考えている大学中退者の人は、以下の記事も参考にしてみてください。
大学中退者は面接対策が特に重要
大学を中退している人は、大学を中退していない人と比較すると、一般的に書類選考や面接での通過率が低い傾向にあると言われています。
なぜなら、大学に入学する大抵の人が大学を卒業をしているという状況において、卒業前に中退してしまうということは、継続力や計画力、集中力などの能力に問題があるのではないかと思われやすいからです。
そうした背景もあり、大学中退者はとにかく面接対策をすることが就職活動において非常に重要になってきます。特に大学中退経験がある場合は、面接において大学中退理由を聞かれることになります。
大学中退理由として納得のできる回答ができないと、面接官からの悪いイメージを払拭することができず、内定をもらうことも難しくなるでしょう。
なお、この記事では、面接対策における大学中退理由にフォーカスして解説しますが、面接では他にも自己PRや志望動機など準備しておくべき回答がたくさんあります。
1人で面接対策をすることに不安がある人は、若手就職支援に強いキャリアスタートの利用も検討してみてください。
大学中退理由を面接で聞かれる背景
大学中退経験者の就職面接では、以下のような理由で大学を中退した理由を聞かれます。
- 長期的に働く意欲があるか確認したい
- 中退から何を学んだのか確認したい
- 性格や考え方を確認したい
大学中退理由を準備する上では、なぜ企業が中退理由を聞くのか理解しておくことが非常に大切です。
それぞれの背景について詳しく解説しますので、面接官の意図を把握した上で対策を練っていきましょう。
長期的に働く意欲があるか確認したい
企業が大学中退者に対して中退理由を聞く大きな理由は、長期的に働く意欲があるのかを確認したいからです。
企業は人を1人採用する際に、決して安くない金額を支払っています。
会社の規模や職種にもよりますが、1人採用するのに50万円〜100万円かかることも少なくなく、これから採用する人にはできるだけ長く働いてもらいたいと考えているのです。
もし人事担当者が採用した人がすぐに辞めてしまうようなことがあれば、採用した人の責任問題を問われることもあります。
このような背景があるため、企業は長期的に働く意欲がある人を優先して採用します。
大学を中退している人は、4年間という大学生活を乗り切れなかった人という印象になってしまいますので、企業の採用の方向性と合わないと感じられやすくなります。
企業は採用してもすぐにやめてしまうような人ではないかを確認するために、大学中退理由を聞いていると考えられます。
中退から何を学んだのか確認したい
文部科学省の「令和5年度学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によれば、大学を中退する人の割合は約2%であることが分かっています。
つまり、大学を中退するということは極めて珍しい行為といえます。
ほとんどの人が経験をしていない大学中退という選択を取った結果、何を学んだのか企業は確認したいと考えています。
大学中退は自分の将来に大きな影響を与えるものですが、そんな判断をしたにも関わらず学んだことがないのであれば、嫌なことを目の前にした時に衝動的に行動してしまう人と思われ、面接官もネガティブな印象を受けることでしょう。
大学中退理由を話す際は、中退をした事実からどんなことを学び、これからの仕事においてどのように活かしていきたいのかを伝えることが大切です。
性格や考え方を確認したい
面接は企業が応募者を見極める場となっています。
これまでのスキルや経験を確認するだけではなく、性格や考え方が会社にフィットしているかどうかが見極めポイントになってきます。
性格や考え方を確認するためにも大学中退理由を質問し、大学を中退するに至ったプロセスや判断軸からパーソナリティを確認しようとしています。
大学中退理由を伝える際は一言だけで終わらせてしまうのではなく、なぜ中退をするといった決断に至ったのか、当時の感情の変化や思考プロセスを分かりやすく伝えるよう意識しましょう。
大学中退理由ランキング
文部科学省の「令和5年度学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によれば、大学中退理由のランキングは以下のようになっています。
- 一位:転学
- 二位:大学生活に飽きてしまった
- 三位:就職や起業
- 四位:経済的に厳しい
- 五位:病気や怪我
自分がどういった理由で大学を中退したのかによって、面接で伝えるべき大学中退理由は異なってきます。
それぞれ詳しく解説しますので、自分の中退理由を改めて言語化するためにも参考にしてみてください。
一位:転学
大学を中退する理由のうち、最も多いのが別の大学や専門学校への転学です。
転学をするためには、当然ながら今いる大学を辞めなければならないため、履歴書の学歴においても大学を中退した扱いになります。
ただ、転学であればポジティブな中退とみなされるケースがほとんどになりますので、面接において不利になることは少ないと考えられます。
その変わり、なぜ大学を中退してまで転学をしたのかであったり、転学先の大学をどのように選んだのかといった質問をされる傾向にあります。
二位:大学生活に飽きてしまった
2番目に多い理由が、大学生活に飽きてしまったという理由です。
大学は高校までと異なり、自分で楽しさややりがいを見出さなければならないため、自ら積極的に大学生活を満喫しようと行動しない限り、講義を受けて帰るだけの生活になります。
そうした生活を4年間続けることができないと感じることで、大学を中退する人もいるでしょう。
この理由の場合、面接においてはうまく説明しないと企業から「就職した後、仕事に飽きてすぐに辞めてしまうのではないか」と思われかねませんので、ポジティブに言い換える必要があります。
三位:就職や起業
大学を途中で辞めて企業に就職したり、自らビジネスを興して起業するようなケースもあります。
大学に通いながら起業することは可能ですが、事業が軌道に乗った場合、自らのビジネスに専念するために大学を中退する人も見られます。
自分がやりたいことを見つけた上での大学中退になりますので、面接においてはポジティブに受け取られることでしょう。
もし中退理由が就職や起業なのであれば、どういった思いから中退の決断に踏み切ったのか、イメージしやすいように具体的なエピソードと合わせて伝えることを意識してください。
四位:経済的に厳しい
大学に通い続けるためには学費の支払いが必要になってきますが、経済的に厳しいという理由で大学を中退してしまう人も見られます。
家族からの経済的支援を何らかの理由で受けられなかったり、バイト代を無計画に使ってしまうような人の場合、経済的な理由で中退するケースがあります。
大学に通うためのお金の工面はバイトだけでなく、奨学金の利用を始めいくつか手段が存在することを考えると、経済的に厳しいから大学を中退したという理由だけでは、面接官からの心証はあまり良くないものになることが考えられます。
五位:病気や怪我
大学に通い続けられないレベルの病気や怪我をしてしまった人の中には、そのまま中退する人もいます。
ただ、大抵の病気や怪我は数ヶ月から1年で完治することを考えると、病気を患ってしまった人は中退ではなく休学の選択肢を選ぶのが一般的です。
病気や怪我で大学を中退した場合は、なぜ休学という選択肢を取らず中退の決断をしてしまったのかを納得のいく説明で伝える必要があるでしょう。
病気や怪我を患った事実だけを面接で伝えてしまうと、就職後にも病気や怪我ですぐに辞めてしまう人だと思われかねませんので注意してください。
大学中退理由別の面接での伝え方例文
大学中退者は、面接において大学中退理由を効果的に伝える必要があります。ここからは以下の5つのパターンにおける例文をご紹介します。
- 例文1:転学や専門学校に編入した
- 例文2:大学生活に飽きて中退した
- 例文3:大学以外にやりたいことがあって中退した
- 例文4:経済的に厳しく中退した
- 例文5:病気や怪我で中退した
それぞれの例文を参考にしつつ、自分なりの大学中退理由の作り込みに役立ててみてください。
例文1:転学や専門学校に編入した
転学や専門学校へ編入するために大学を中退した場合は、どういった思いで中退の決断をしたのかわかりやすく伝えることがポイントです。
「高校生の頃は明確に志望大学がなかったため、自分の学力で合格できる大学のうち、最もレベルの高い大学に進学しました。
大学進学後にたまたま受けたマーケティングの講義に強い興味を持ち、より高いレベルの勉強をしたいと感じたのですが、自分の学部ではマーケティングの基礎までしか勉強できないことを知ったため、再受験する目的で大学を中退しました。
中退後は自身でスケジュール管理をして受験勉強を進めていき、無事に今の大学に合格することができました。
大学に再入学した後、夢だったマーケティングの勉強を率先して取り組んだ結果、自身の書いた論文が学会で取り上げられるまでになりました。」
例文2:大学生活に飽きて中退した
大学生活に飽きて中退した場合は、飽きてしまったことをそのまま伝えるのではなく、ポジティブに言い換えて面接官に伝えるようにしてください。
「大学で学びたかったことと、入学後に大学から提示されたカリキュラムにギャップを感じたのが中退を考えたきっかけです。
ギャップを感じながらも、実際に勉強してみれば意識が変わるかもしれないと思っていたのですが、やはりこのまま無駄に大学生活を過ごしても自分のためにならないと判断し、大学を中退しました。
大学を中退しても何も残らないと考え、中退後は前から興味を持っていた公認会計士の資格の勉強をしています。
試験はこれからですが、模試では合格圏内まで入れていますので、今年度の試験で合格したいと考えています。」
例文3:大学以外にやりたいことがあって中退した
大学生活以外にやりたいことがあって中退した場合は、なぜやりたいことに向き合いたいと考えたのかであったり、実際にやりたいことをやってみてどうだったのかまで話すようにしましょう。
「私は昔から音楽で生計を立てられるようになるという夢を持っていました。
大学に進学した後もその夢を忘れることなく、サークルでバンドメンバーを募集し、精力的にライブにも出演していました。
大学の年次を重ねていくと、徐々に講義の出席回数やレポートの提出を求められる機会も増えてきたため、なかなか音楽に向き合う時間を取れないことに焦りを感じるようになりました。
大学の勉強よりも自分の夢を優先した方が後悔しない人生になるだろうと考え、2年次で大学を中退しました。
大学を中退してからはバイトで生活費を賄いつつ、全国のライブに出演して知名度を上げていくことに注力しました。
SNSの総フォロワー数が10万人を超え、インディーズバンドとしても利益を出せるようになってきたのですが、複数のバンドメンバーが会社員として働きたいと声を上げたため、結果的にバンドは解散になりました。
私も会社員として就職し、バンドで得た協調性やコミュニケーション能力を活かして働きたいと考えています。」
例文4:経済的に厳しく中退した
経済的な問題があり、自分ではどうしようもできない状況であった場合は、その事実をストレートに伝えても面接で不利になる事は少ないと考えられます。
「私の家庭は金銭的に余裕がある状況ではなかったため、大学は奨学金を借りて通っていました。
毎日講義とアルバイトの両立は非常に大変でしたが、今まで経験したことがないような生活だったため、日々刺激を受けながら大学に通い続けていました。
私の通っていた学部では3年次に長期留学を義務付けられており、留学をしない限り進学ができないという制度が設けられていました。
入学当初から留学のための資金を貯金していましたが、2年次に母が病気を患い、治療費を私の貯金で賄うことにしました。
その結果、どうしても留学費用を賄うことができなくなり、留年することになりました。
家計的にも1年間余計に大学に通うことは難しかったため、不本意ではありましたが中退する決断をしました。
現在はフリーターとして働いていますが、安定的にまとまったお金を稼ぐためにも正社員としての働き方を志望し、就職活動をしています。」
例文5:病気や怪我で中退した
病気や怪我で中退をする判断をした場合は、どういった病気を患い、どのような思考の末、中退の判断をしたのか分かりやすく伝えましょう。
合わせて、病気や怪我が就職後の業務では支障がないことも伝えるように意識してください。
「大学在学中にXXといった病気を患いました。
入院や通院を繰り返しつつも、何とか大学を卒業したいと日々努力をしていたのですが、医者から治療に専念することを強く勧められ、家族とも相談し1年間大学を休学することにしました。
もともと1年以内で病気が完治する予定だったのですが、完治までには2年かかると言われてしまい、休学期間も大学のルールを超えてしまうことが判明したため、そのまま中退する決断をしました。
現在は無事に病気は完治していて、週五日のアルバイト生活をしています。
大学生活を楽しみたかった私にとって病気は思わぬアクシデントでしたが、この経験を活かし、どんな状況においても将来のために突き進んでいきたいと強く感じるようになりました。
あきらめない精神を活かして働きたいと思っていますので、就職後にはすぐに仕事を覚えて活躍できる人材になっていきたいと考えています。」
大学中退理由を面接で効果的に伝えるコツ
ここまで大学中退理由別に例文をご紹介してきましたが、大学を中退した理由を面接で効果的に伝えるコツとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 中退理由をポジティブに伝える
- 中退理由で嘘をつかない
- これからどうなりたいかもセットで伝える
それぞれのコツを意識して、自分なりの大学中退理由を作り上げていきましょう。
中退理由をポジティブに伝える
大学中退理由を伝える際は、どんな中退理由であったとしてもポジティブに伝えることを意識しましょう。
企業は大学を中退している人というだけでネガティブな印象を持っています。
そのため、ネガティブに中退理由を伝えてしまえば、魅力的な人材とアピールすることが難しくなり、面接に落ちる原因にもなりかねません。
特に、大学に飽きてしまったであったり、人間関係がうまくいかなかったなどの後ろ向きな中退をしてしまった人は、上手くポジティブに言い換える意識を持っておきましょう。
なお、夢のために大学を中退したなど、中退理由そのものが前向きでポジティブなものであれば、事実をそのまま伝えて問題ありません。
中退理由で嘘をつかない
大学中退理由はポジティブに伝えることが重要である一方で、思ってもないことを嘘をつくように伝えることは避けましょう。
面接において嘘をついてしまうと、嘘を押し通すためにさらに嘘を重ねなければならなくなり、結果的に自分でも何を言っているのかわからない状態になってしまいます。
また、嘘を隠して就職できたとしても、就職後に面接時の発言が嘘だとバレてしまえば、最悪の場合解雇になることも考えられます。
どの程度の言い換えであれば嘘にならないか判断がつかないような人は、大学中退者の就職支援に強いキャリアスタートのアドバイザーに相談することも検討してみてください。
これからどうなりたいかもセットで伝える
大学中退理由を聞かれた際は、自分がなぜ中退したのかを答える事はもちろん、中退をした上でこれからどうなりたいのかも合わせて伝えることがポイントです。
記事の冒頭で解説した通り、企業が大学中退理由を聞く理由の1つに、「中退からどういったことを学んだのか」というものがあります。
中退の経験を経て、これからは正社員として真剣に仕事に向き合っていきたいことも伝えることができれば、面接官にポジティブな印象を与えることができるでしょう。
よくある質問
最後に、大学中退理由を面接で伝えるにあたってよくある質問を3つ取り上げて解説します。
大学中退理由は履歴書に書く必要がありますか?
大学を中退した事実は履歴書を学歴欄に書く必要がありますが、大学を中退した理由までは履歴書に書く必要がありません。
同時に、大学中退理由を履歴書に書いてはいけないということではありませんので、経済的な理由や家庭の事情など、やむを得ない理由の場合は、大学中退理由を履歴書に記載しても良いでしょう。
また、大学中退理由を志望動機とリンクさせてアピールしたい場合は、履歴書の志望動機欄にあらかじめ大学中退理由を書いておくことがおすすめです。
大学中退理由はなぜ聞かれますか?
大学中退理由を聞かれる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 働くことに対して熱意を持っているか
- 性格や考え方に問題がないか
- コミュニケーション能力があるか
- 中退からどういったことを学んだか
- 採用してもすぐに辞めないか
大学中退理由が面接の場でわざわざ聞かれるということは、回答によって選考結果が大きく変わってくると思っておいた方が良いでしょう。
大学を中退している場合、中退理由は高い確率で聞かれますので、しっかりと準備しておいてください。
大学中退理由がうまく思いつかない場合は?
大学中退理由がうまく思いつかない場合は、まず自己分析を行い、自分の過去の経験やその時の判断軸を一度紙に書き出してみることをおすすめします。
大学中退理由が思いつかないのは、うまく自分の経験を言語化できてないことが原因だと考えられますので、まずは自分自身のことを理解するつもりで自己分析を進めていきましょう。
自分1人ではどうしても考えつかない場合は、若手の就職支援に強いキャリアスタートを利用してみることも検討してみてください。