「高卒で事務職に就くのは難しい?」求人市場の実態・年収と転職成功のコツ
「高卒で事務職に就くことは難しい?」「事務職への転職に成功するコツはあるかな?」と考えている人もいるのではないでしょうか。
大卒以上でないと難しいと感じる人もいるかもしれませんが、高卒者が事務職に転職することは十分可能です。コツを掴んで対処することで、事務職への転職を成功させた高卒者も存在します。
こちらの記事では、事務職が人気な理由や求人市場の実態、事務職の仕事内容、事務職の年収、転職成功のコツなどを紹介しています。高卒者の方が、事務職の転職成功に一歩近づけると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
1.なぜ高卒で事務職に就くのは難しいのか?
高卒で事務職に就くのが難しい理由は、以下2つのポイントに注目することで判断できます。
(1)事務職が人気の理由
事務職が人気なのは、次の理由が考えられます。
・土日休み
・残業が少ない
・ノルマがない
・デスクワーク
事務職は土日休みで残業が少なくてノルマがなく、PCのスキルや経験があれば未経験からでも転職を目指せるほか、デスクワークで力仕事でないことが人気の理由です。
特に、現職の仕事内容に不満を感じて転職先を探している方は、ホワイトなイメージで、ワークライフバランスを取れそうな事務職に魅力を感じている方も多いのではないでしょうか。
一方で、事務職はサポート中心の業務内容で、事業における裁量権も小さい傾向にあるため、仕事に物足りなさを感じやすいというデメリットがあります。
また、近年は業務効率化のシステム導入により、事務職の仕事自体が少なくなっていると同時に、将来的にAIやITに代替されると考えられる仕事です。
事務職は人気の仕事のひとつですが、上記のような特性を持っていることを十分理解したうえで転職活動しましょう。
(2)事務職の求人市場
大手転職サイト「doda」による転職求人倍率のレポートによれば、事務職の求人市場は次のようになっています。
参照:転職求人倍率レポート(データ) – 転職求人倍率データ(職種別)|doda
縦軸は求人倍率を指しており、最小値が2020年8月の「0.13」で、最大値が2023年8月の「0.4」となっています。
求人倍率は求職者1人あたりにつき、何件の求人があるのかを示す指標です。1倍を下回れば、求職者数の方が求人数よりも多いことを意味しており、つまり数値が低ければ低いほど求人数が少ないことがわかります。
事務職の求人市場は、2021年ごろから2023年にかけて徐々に上昇しているものの、求人倍率の最大値は0.4で、2〜3人に1件しか事務職の求人はなく、求人市場は厳しい状況と言えるでしょう。
2.主な事務職の種類と仕事内容
事務職の種類と仕事内容には、主に次の5つがあります。
(1)一般事務
一般事務とは、一般的な事務職のことを指します。具体的な仕事内容は以下のとおりです。
・データ入力
・書類作成
・電話・来客対応
データ入力は規定のフォーマットに沿って顧客情報や売上などを入力する業務で、書類作成は契約書や見積書、発注書、請求書などを作成する業務です。
電話対応や来客対応も一般事務の仕事のひとつで、担当者の代わりに要件を聞いて応接室へと案内するといった業務があります。
専門的なスキルや知識よりも、コミュニケーションや気配りが求められる仕事なので、高卒者をはじめ学歴に不安がある方でも挑戦しやすいことが特徴です。
(2)営業事務
営業事務とは、電話対応や来客対応のほか、見積書・受発注書やプレゼン資料を作成したり、売上管理を行ったりして、オフィスから営業職をサポートするのが主な業務です。
具体的な業務内容は業界や職場により異なりますが、営業事務はPowerPointやWord、ExcelといったMicrosoft Officeのスキルが求められる傾向にあります。営業担当の代わりに顧客と連絡を取ることもあるので、円滑なコミュニケーション能力やビジネスマナーも求められます。
また、専門性の高さよりも、コミュニケーション能力が重視されやすいため、事務職未経験の高卒の方でも採用を得ることは十分可能です。
(3)経理事務
経理事務とは、会社のお金周りを管理する事務職であり、会社の入出金の管理や帳簿作成、社員の経費清算、伝票の起票などを行う業務です。
そのほか、月次で売上(売掛金)の回収や支払いを行い月次計算し、年次では決算業務や年末調整、納税申告などを行うのも経理事務の仕事です。
お金に関わる業務なので、一般事務などと比べて専門知識や経験を求められる傾向にあります。高卒や未経験者でも転職へ挑戦することは可能ですが、特に数字に抵抗がない方や作業を丁寧かつスピーディに行える方におすすめです。
また、専門性の高い事務職なので簿記資格を取得したり、決算業務の経験を積めば、将来的に転職するときにアピールすることが可能です。
(4)総務事務
総務事務とは、社員が働きやすいような環境を整える総務部の事務職であり、総務部の業務内容は企業により大きく異なりますが、主に下記のような仕事があります。
・消耗品(コピー用紙やペンなど)の発注
・備品(デスクやいす、プリンターなど)のメンテナンス
・清掃業者の手配
・照明設備や防災設備の管理
・社内イベントの企画・運営
消耗品の残量を確認したり、備品のメンテナンスを行ったりして、必要に応じて発注して仕事環境を整える仕事があります。そのほか、清掃業者を手配して社内を清潔に保ち、照明・防災設備を管理するのも総務事務の仕事です。
また、職場の設備環境を整えるだけでなく、社内イベントの企画・運営といった社内間の交流を図る仕事も任せられます。
このように、総務事務は会社全体のサポート業務を幅広く担当する事務職です。人の役に立つのが好きという方や、サポート業務に回りたい方に適しています。
(5)医療事務
医療事務は、医療機関の受付業務や医療費計算などを担当する事務職であり、病院や薬局で患者様の対応や処方箋のやりとりなどを行う業務です。
ほかの事務職とは違って就職先は主に開業医や医療法人で、医療機関の数だけ需要があるので求人数は比較的豊富です。
高卒や未経験者でも歓迎の求人もあります。ただし、事務職のなかでも特に専門性が高いため、医療事務に関する基礎知識や資格などがあれば転職をより有利に進められます。
3.高卒から事務職に就いたときの平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」の一般事務のページでは、一般事務の平均年収は490万円、月額賃金は20.5万円としています。
参考:一般事務 – 職業詳細|job tag
ただし、当データは学歴や性別、勤続年数などを統合したデータです。高卒者の場合は、大卒と比べて収入が低い傾向にあり、平均年収490万円を下回る可能性は十分考えられます。
事務職のデータはありませんが、厚生労働省の行った調査「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、高卒と大卒の初任給には次の違いがあります。
(参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 新規学卒者の学歴別にみた賃金|厚生労働省)
初任給に大きな男女差は見られませんが、高卒と大卒とでは、約4〜5万円の違いがあることがわかります。
また、事務職は営業職や技術職などと異なり、直接会社の利益を生み出すような仕事ではなく、会社のサポートする主な業務のため、利益が還元される優先度が低く、年収が比較的低い傾向にあります。
事務職のなかでも、医療事務や経理事務などは専門性が高く、給与が高めに設定されていることが多いです。そのほか、業界によっても事務職の年収は変わるので、事務職で高収入を目指すのであれば事務職の種類や業界に絞ることが大切です。
4.高卒から事務職に就きやすくなるポイント
高卒から事務職に就きやすくなるポイントには、次の4つがあります。
(1)対人能力
対人能力・コミュニケーション能力は、高卒から事務職に就くうえで重要なポイントです。
事務職はパソコン作業以外にも、電話対応や来客対応のほか、社内外の人とやりとりをするために、円滑なコミュニケーションを取れる能力が求められます。
高卒であれば、「部活動でチームワークの能力を身につけた」「前職では接客業をしていて、お客様の表情や雰囲気の変化で言葉に出されなくても察しながら対応できる」といったアピールをすると、転職を有利に進められるでしょう。
(2)正確に地道な作業ができる
事務職の仕事では、データ作成や書類作成などの業務があり、顧客情報やお金の管理など、重要な情報を扱う場合もあるため、ミスや漏れが少なく正確に作業できる能力も必要になります。
また、パソコン作業を行うと同時に、対人コミュニケーションを行うなど、複数の業務を同時に進行することがほとんどです。そのため、急な業務や電話対応が入っても柔軟に対応しつつ、全てのタスクを期限内に完了できるよう、優先順位をつけてコツコツ作業をこなす能力が求められます。
正確に地道な作業ができる方やマルチタスクに自信がある方は、事務職が向いている可能性があります。
(3)パソコンスキル
未経験歓迎の求人であっても、基本的なパソコンスキルを持っているほうが望ましく、事務職は基本的に一日中パソコンで作業することが多く、パソコンスキルは業務の効率化に直結するからです。
特に、PowerPointやWord、ExcelといったMicrosoft Officeのツールを使用したことのある経験があるとアピールポイントになります。そのほか、ビジネスメールを作成できるのか、タイピングは問題なくできるのかといった、基本的なパソコンスキルもアピールポイントのひとつです。
選考の際に、タイピング速度のテストがある企業もあるため、下記のようなタイピングの腕試しができるWebサイトで練習してみるのも良いでしょう。(参考:e-typing)
(4)資格取得をする
事務職に関連する資格取得をすると、プラスの評価を得やすくなります。
主な資格は下記の通りです。
・日商簿記検定試験2級
・日商PC検定試験2級
・MOS検定(Microsoft Office Specialist)
・秘書検定
・ITパスポート
日商簿記はお金の入出金を記録する資格で、経理事務をはじめお金を扱う業務で歓迎されます。転職でアピールできる基準は2級以上です。日商PC検定はパソコンの実践的なスキルや知識を証明する資格で、日商簿記と同様に2級以上を取得していると転職に有利となります。
MOS検定はMicrosoft Office製品のスキルを証明する資格です。WordやExcelなどを利用する職場は多く、MOSを取得していればパソコンスキルがあることをアピールできます。
秘書検定は、ビジネスマナーや一般常識、敬語、電話対応、秘書としての立ち振る舞いなどを証明する資格です。事務職は取引先からかかってきた電話を取り次ぐなど、社会人としてのマナーを必要とする仕事なので、秘書検定2級〜3級を持っていると転職でアピールできます。
また、ITパスポートは経済産業省が実施している国家資格で、ITの基礎知識を有していることを証明する資格であり、パソコンの表計算ソフトやネットワークの知識を得ることもできるため、事務職が未経験の人にもおすすめの資格です。
5.転職活動に失敗しないための注意点
転職活動に失敗しないための注意点は次の2つです。
(1)書類・面接対策を徹底する
履歴書や職務経歴書は伝え方次第で採用担当者に好印象を与えられるほか、面接の受け答えやマナーを身につけておくことで、採用を懸念されるリスクを減らせます。
特に、事務職志望の場合、書類作成にミスや不備があると「正確な作業ができないのでは?」と不信感を与える可能性があるため注意が必要です。志望動機も自分本位な理由ではなく、成長意欲を持った内容にするなど好印象を与える書き方にするのがポイントです。
書類作成や面接対策に不安がある方は、転職エージェントに相談しましょう。転職エージェントを利用すれば、転職のトータルサポートを受けられるので、書類や面接で失敗するリスクを減らすことが可能です。
(2)希望条件によっては他の職種でも実現可能
希望条件によっては他の職種も視野に入れておくと、転職活動の失敗を防げます。
たとえば、事務職を希望する方のなかには、「デスクワークの仕事がしたい」と考えている人もいるでしょう。
デスクワークの実現なら事務職でなくても、ITエンジニアや施工管理などの職種も選択肢のひとつになります。
事務職は選考倍率が高く、選考に通過できず転職活動の期間が長引いてしまう可能性があります。そのため、事務職だけに絞るのではなく、できる限り選択肢を広げておくことが大切です。
高卒から事務職への転職を考えている方は、今一度転職先に求める条件を見直して、事務職以外の職種でも条件を満たせないか振り返ってみましょう。
「自分の条件に合う職種がわからない」「転職の条件が定まっていない」といった不安がある方は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
まとめ
今回の記事では、高卒で事務職に就くことができるのか、事務職が人気な理由や求人情報、事務職の仕事内容、年収、転職時に求められるスキルなどを紹介しました。
事務職は土日休みや残業が少ない求人が多く、デスクワークで体力的にも負担が少ないことから人気の職種です。求人市場は2021年ごろから上昇しているものの、2023年8月の段階では求人倍率が0.4となっており、求職者に対して求人数が少ないことがわかります。
事務職の転職を成功させるためには、対人能力や正確に地道な作業ができる能力、パソコンスキルを持っていることが大切です。高卒者をはじめ、事務職の転職に不安がある方は転職エージェントを利用しましょう。
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