正社員を辞める時の手続きの流れとは?退職トラブルの対処法も紹介!
「退職を決意したけれど、手続きのやり方がわからない…」
「会社にはどのくらい前に退職を伝えたらいいのかな?」
このようなお悩みはありませんか?
退職までの流れや手続きのポイントをおさえておけば、スムーズかつ円満退職ができます。
本記事では退職を決意した人に向けて、手続きの方法や退職トラブルの対処法を解説します。
記事の後半では、退職の意思の伝え方など手続きに入る前に知っておきたいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Contents
1.正社員の退職手続きは何日前?辞める時の流れ
退職を決意してから退職後にやることは以下の6つです。
順に説明します。
(1)就業規則を確認する
民法627条では、原則正社員は退職日の2週間前に申し出れば退職できると定められています。
とはいえ、円満退社をするのであれば、会社が定めている就業規則に則って手続きを行うことをおすすめします。
会社によって退職日の1か月前までに申し出が必要など退職の手続きは異なるので、まずは会社の就業規則を確認しましょう。
退職時期だけでなく退職時に提出・返却するものと受け取るものもチェックしておくと、スムーズに手続きが進められます。
(2)退職届を提出する
直属の上司に退職の意思を伝えるのは、就業規則で決められた日よりも早めに行いましょう。
トラブルなく退社したいのであれば、退職日を自分の希望と会社の都合をすり合わせて決めた方が良いためです。
また、退職する旨を伝える際は、電話やメールではなく直接話しましょう。
退職願を作成する場合であっても、郵送や上司の机に置くのではなく手渡しします。
上司に退職することを伝えたら、退職届を提出します。
会社で決められている退職届の様式がない場合は、届出年月日、所属部署と氏名、退職日、退職理由として「一身上の都合」を記載して作成しましょう。
(3)業務の引き継ぎを行う
退職日が決まったら、業務の引き継ぎを行います。
具体的には、誰が後任になっても良いように引き継ぎ書を作成することや、データおよび資料の整理をしておくことがあげられます。
後任が実際に業務をして疑問が出た際に対応ができるよう、引き継ぎは退職日の3日前までに終わらせておくと良いでしょう。
(4)仕事の関係者にあいさつをする
同じ部署の社員や取引先への退職のあいさつも必ず行います。
あいさつをする時期や方法は、上司と相談して決めましょう。
仲の良い同僚や先輩がいても、上司と決めた日まで退職することは言わない方が無難です。
あいさつの際は、これまでお世話になったお礼を丁寧に伝えましょう。
(5)会社からの貸与物などを返却する
退職日に会社からの貸与物などを返却します。
返却する物は会社によって異なりますが、一般的には以下のものがあげられます。
- 健康保険証
- 社員であることを証明するもの(社員証・社章・名刺)
- 会社から貸与されたもの(制服・備品など)
- 業務に関する資料・データ
扶養家族がいる場合、健康保険証は家族全員分を返却する必要があります。
また、会社から貸し出されているものについては、パソコンや携帯電話だけでなく文具や書籍など細かい備品も返却しましょう。
(6)退職後の手続きを行う
退職後すぐに次の会社へ入社する人は、基本的に転職先の会社が公的な手続きを代行してくれます。
転職先が未定の人や転職先は決まっているものの入社まで長期間空く人は、主に以下の手続きが必要です。
健康保険の加入 | 以下のいずれかに加入する手続きを行う。
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雇用保険の手続き | 受給資格を満たした失業者に対して、失業等給付を支給する制度。 離職票など受給手続きに必要な書類を持って、ハローワークで手続きをする。 |
年金の切り替え | 退職してすぐに転職しない場合、国民年金に切り替える。 退職日の翌日から14日以内に、年金手帳など必要書類を持って住所地の市区役所または年金事務所で手続きをする。 |
住民税の支払い | 住民税の支払い方法は、退職する月によって異なる。
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確定申告 | 退職したタイミングによっては、所得税の確定申告が必要になる場合がある。
手続きは、納税地を管轄する税務署で行う。 |
このように、退職後は複数の手続きがあるので、計画的に手続きを進める必要があります。
以下の記事でも退職の流れについて解説しているので、参考にしてください。
2.ケース別!退職トラブルが起こった時の対処法
いざ会社に退職を伝えるとトラブルになる可能性もゼロではありません。
そこで、以下4つのよくある退職トラブルの対処法を紹介します。
順に説明します。
(1)退職させてもらえない場合
民法第626条では、正社員の場合、退職日の2週間前までに退職の申し入れをすれば雇用契約の解約ができるとあります。
また、労働基準法第5条では強制労働の禁止が定められています。
上記のことから、正社員が退職を希望したら会社は認めなければなりません。
退職届を受理しない、上司が聞く耳を持たない場合は、まずは上司よりさらに上の上司に相談しましょう。
それでも退職を受け入れてもらえないのであれば、都道府県労働局・労働基準監督署、退職代行サービス、弁護士など専門家に相談して対応しましょう。
(2)有給休暇の消化を認めてくれない場合
労働基準法第39条では、雇用者は規定に則った有給休暇について労働者の請求する時季に与えなければならないと決められています。
つまり、退職が決まっていても退職日まで社員である以上、有給休暇を会社が認めないことは禁止されているのです。
ただし、6ヶ月間継続で勤務していることと全労働日の8割以上を出勤していなければ、有給休暇は与えられないのでご注意ください。
また、会社には有休申請に対して「時季変更権」があり、会社の運営に支障をきたす場合は他の日程に有休を与えられます。
すべての有休を希望の日程にするのは厳しい可能性がありますが、時季変更権を行使して有休を退職日以降に指定することはできないので、退職日までに有休を取得することは可能です。
まずは、退職を伝えた後に上司と有休のスケジュールを相談して、もしも有休取得を拒否されたら社内の相談窓口や労働組合、労働基準監督署に相談をしましょう。
(3)退職金が支払われない場合
退職金は法律上必ず支払われるものではありません。
よって、退職金制度を設けていない会社は存在します。
また、会社によっては、退職金制度はあるものの支給要件を決めていることもあります。
まずは自分が退職金を請求できるのかどうか就業規則や退職金規定で確認しましょう。
会社に退職金制度があり、退職者が支給要件を満たしているにもかかわらず退職金が支払われない場合は、以下の3つの対処法があります。
- 直接請求…自分で会社に退職金の請求を行う。
- 裁判外紛争解決手続(ADR)…裁判ではなく公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いを通じて民事上のトラブルの解決を図る手続き。総合労働相談コーナーなどで相談できる。
- 弁護士に相談…弁護士が退職金請求手続きの代行や会社との交渉をする。法律事務所や法テラスなどで相談できる。
直接請求は費用がかかりませんが、会社に取り合ってもらえないことが多いでしょう。
そのため、退職金のトラブルが起こった場合は、費用は掛かりますが専門知識を有する第三者が介入した方がスムーズに解決できます。
(4)「損害賠償請求をする」と言われた場合
労働基準法第16条では、労働契約の不履行による違約金や損害賠償額を予定する契約をしてはいけないと定められています。
民法に則って退職手続きを行うなら、労働契約による義務を果たしていないことにはならないので、会社は退職を理由に損害賠償や違約金を労働者に請求ことはできません。
そのため、会社から「損害賠償請求をする」と脅されても毅然とした態度で断りましょう。
万が一、会社から違約金や損害賠償の請求書が届いても拒否できます。
3.退職の手続きに入る前におさえておきたい3つのポイント
正社員が退職手続きを行う前に知っておきたいポイントを以下3つ紹介します。
一つずつ解説します。
(1)退職の伝え方に気を付ける
会社に納得してもらえるよう退職の伝え方には気を付けましょう。
伝える際は、上司に「お話があるのですが…」と言って時間を取ってもらい、直接話すのが一般的です。
退職を伝える際は、簡潔かつ明確に「退職します」と言います。
「退職させていただきたいのですが…」とお願いする言い方だと、引き止められたり保留にされたりします。
退職理由は「一身上の都合」でかまいませんが、何度も理由を聞かれて話が進まないようであれば家庭の事情や挑戦したいことがあるなど、退職を認めざるを得ない理由を言いましょう。
たとえ会社側に問題があったとしても、会社の不満や愚痴は言わない方が賢明です。
会社に対して感謝の気持ちがあることや、よく考えて退職を決めたことをしっかりと伝えることが、円満退社につながります。
(2)退職日まで誠実に業務を行う
退職が決まり、関係者へのあいさつが終わっても、退職日までは社員ですし、当然給与も発生しています。
そのため、退職日の退勤時間までは誠実に業務に取り組みましょう。
こういった姿勢をもつことで、退職日に近づくと職場の人からあたたかい言葉や応援の言葉をもらえることもあります。
(3)正社員を辞めた後のことも考えておく
退職したいと思っても、勢いですぐに辞めるのはおすすめしません。
退職手続きに入る前に、転職先を決める、起業する、資格取得を目指すなど退職後のことを考えておくことが大切です。
受給要件を満たせば失業手当がもらえるといっても、これまでの給与額ほどの金額が支給されるわけではありませんし、受給までに期間があくこともあります。
退職後に収入が減って焦る気持ちから急いで転職先を決めてしまい、後悔するケースも少なくありません。
転職をする場合は転職のプロにサポートしてもらうことで、より自分に合った会社を見つけられます。
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以下の記事では、正社員を辞めたいときにやるべきことを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
この記事では、退職を決めた人に向けて手続きの流れやトラブルの対処法などを紹介しました。
今の会社を退職すると決意したものの、実際にどのようなスケジュールで何をすればよいのかイメージできていない人も少なくないでしょう。
本記事を参考に、退職手続きの流れやポイントを押さえて円滑に円満退社を目指しましょう。
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