施工管理技士試験で必要な実務経験年数は?試験概要と取得のメリット
「施工管理技士になるにはどうしたらいいの?」
「施工管理技士を受験するにはどれくらいの実務経験が必要なの?」
施工管理技士の資格を取得しようと思っている方の中には、どれくらいの実務経験が必要なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
実は、施工管理技士の受験内容や学歴によって必要な実務経験が異なるのです!
本記事では、施工管理技士の受験資格や実務経験の虚偽のリスク、施工管理技士を取得するメリットについて紹介します。
この記事を読めば、施工管理技士の取得のためにどれくらい実務経験を積めばよいのか分かりますよ!
Contents
1.施工管理技士になるには
施工管理技士になるには、国土交通大臣指定機関が実施する施工管理技士試験に合格する必要があります。
施工管理技士試験には、1級と2級の2つの区分があり、それぞれ受験するには所定の実務経験年数を満たしていなければなりません。
実務経験年数とは、実際に工事現場で業務を行った年数のことで、必ず一定期間、工事現場に携わる業務に就く必要があるのです。
ちなみに、建築会社に勤めていれば良いというわけではなく、工事現場に関与していることが求められます。
たとえば、建設会社の経理を5年務めても、実務経験年数は0年となるということです。
受験に必要な実務経験年数は、最終学歴や現場監督経験の有無によって変わります。
あなたの最終学歴やキャリアとあわせて必要な実務経験年数を確認しましょう。
2.施工管理技士試験の概要
施工管理技士試験の実務経験に触れる前に、施工管理技士試験の仕組みについて理解しておかなければなりません。
施工管理技士試験は、一次検定と二次検定で構成されており、二次検定に合格すると施工管理技士の資格を取得できます。
この試験の特徴は、一次検定と二次検定を同日に受験するか、分けて受験するか選択できる点です。
施工管理技士試験は、1年に前期と後期の2回実施されます。
前期では一次検定のみ実施され、後期で一次検定と二次検定が行われる仕組みです。
そのため、先に一次検定だけ受けて、二次検定を次回に回すことができます。
しかし、注意しなければならないのは、二次検定は1年に1回しか実施されないことです。
一次検定を前期に受験すれば、その年度の後期で二次検定を受験できますが、後期に一次検定を受験すると、二次検定を受験できるのは来年度の後期になります。
一次検定を後期に受けてしまうと、二次検定を受験するのに1年待たなければならなくなるので、受験スケジュールは把握しておきましょう。
なお、施工管理技士試験には、以下の7つの種類があります。
- 土木施工管理
- 管工事施工管理
- 造園施工管理
- 電気通信工事施工管理
- 建築施工管理
- 電気工事施工管理
- 建設機械施工
各試験の願書受付期間と試験日は異なるので、受験する種目の詳細を確認しておきましょう。
3.施工管理技士試験を受験するための実務経験
施工管理技士試験の受験資格について紹介します。
主な施工管理技士の資格は以下の2つです。
順に紹介するので、キャリアプランを考慮しながら受験スケジュールを決めましょう。
なお、受験資格に関しては、施工管理技士試験の7つの種目全て同じなので、まとめています。
また、今回は一次検定・二次検定の両方を受けるための受験資格について紹介しているため、二次検定のみを受験される方は、各試験の公式ホームページの概要をご参照ください。
試験種目 | 指定試験機関 |
土木施工管理 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
管工事施工管理 | |
造園施工管理 | |
電気通信工事施工管理 | |
建築施工管理 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
電気工事施工管理 | |
建設機械施工 | 一般社団法人 日本建設機械施工協会 |
(1)施工管理技士2級の受験資格
まずは、施工管理技士2級の受験資格について紹介します。
最終学歴ごとの必要な実務経験年数は以下の通りです。
最終学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
|
1年以上 | 卒業後1年6か月以上 |
|
2年以上 | 卒業後3年以上 |
|
3年以上 | 卒業後4年6か月以上 |
その他 | 8年以上 |
大学や高度専門士の専門学校の指定学科を卒業していれば、最短1年の実務経験年数で受験できます。
また、指定学科以外の高校や中学を卒業していれば、遅くても4年半で受験可能です。
その他として8年以上が設けられていますが、ほとんどの人が中学を卒業しているはずなので、長くて4年半と認識しておくとよいでしょう。
(2)施工管理技士1級の受験資格
次に、施工管理技士1級の受験資格について紹介します。
まず、2級を受けずにいきなり1級を受験する場合の必要実務経験年数は以下の通りです。
最終学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科卒業後 | 指定学科以外卒業後 | |
|
3年以上 | 4年6か月以上 |
|
5年以上 | 7年6か月以上 |
|
10年以上 | 11年6か月以上 |
その他 | 15年以上 |
2級を受験するよりも必要な実務経験年数は長くなっているので、注意が必要です。
また、2級取得者は、合格後5年間実務経験を積むことで1級を受験できます。
ちなみに、各試験ごとに2級合格後5年未満でも1級を受験できる条件が設けられているので、2級取得からなるべく早く1級を取得したい方は、各試験の公式ホームページの概要を確認しておきましょう。
4.実務経験の虚偽のリスク
施工管理技士試験を少しでも早く受験するために、極まれに実務経験の虚偽をする人がいます。
施工管理業界は、会社に所属する施工管理技士が多いほど儲かる仕組みになっているため、あってはならないことですが、会社が虚偽報告をするケースがあるのも事実です。
しかし、実務経験の虚偽報告には大きなリスクが伴います。
主なペナルティは以下のとおりです。
- 合格の取消
- 3年間の受験資格の剥奪
- 企業名の公表
- 企業に対する監督処分の厳格化
せっかく試験に合格しても実務経験を偽っていることがばれたら、当然ながら合格は取り消されてしまいます。
また、3年間受験禁止になるだけでなく、実務経験の虚偽を行った者を雇用している企業が公表されたり、国から監督処分を受けたりすることがあるのです。
試験機関が全受験者の実務経験を細かく調べているわけではありませんが、内部告発により実務経験の虚偽による不正受験が相次いで発覚しています。
その背景もあり、国土交通省が実務経験の虚偽に対して目を光らせているので、いつ不正がばれても不思議ではありません。
虚偽が発覚したときのリスクがあまりにも大きすぎるので、くれぐれも実務経験の虚偽報告は控えましょう。
5.施工管理技士を取得する3つのメリット
施工管理技士を取得することでさまざまなメリットがあります。
主なメリットは以下の3つです。
順に紹介するので、施工管理技士取得のモチベーションにしましょう。
(1)技術者として認められる
施工管理技士の資格を取得すると、国から技術者として認められます。
2級を取得することで、一般建設業の専任技術者や主任技術者になることが可能です。
また、1級を取得すれば、特定建設業の専任技術者や一般建設業の主任技術者・監理技術者になれます。
専任技術者や主任技術者になれば、通常の作業員より仕事の幅が広がるだけでなく、責任のある仕事を任されることになるでしょう。
やりがいを感じながら、スキルアップに繋げることができるので、有意義に仕事ができます。
企業から求められる人材になるため、資格取得前と後では会社内の立ち位置が大きく変わる可能性が高いです。
(2)昇給・昇進が狙える
施工管理技士の資格を取得するだけで会社に貢献できるので、昇給や昇進が狙えるでしょう。
経営事項審査では、施工管理技士の数によって加点され(1級施工管理技士一人につき5点、2級施工管理技士一人につき2点加点)、その総得点が企業の技術力としての評価になります。
審査の得点が公共工事の依頼先を決める指標になるため、施工管理技士になるだけで企業価値を高めることになるのです。
施工管理技士の資格取得は、会社の利益拡大に大きく貢献できることを押えておきましょう。
(3)転職で有利になる
施工管理技士は企業にとって大きな価値を生むので、転職市場でも高い需要があります。
先ほど紹介したように、施工管理技士がいるだけで会社の評価が上がるため、どの企業も施工管理技士を欲しているのです。
特に1級施工管理技士は貴重な人材なので、大手企業への転職も実現できます。
より良い労働環境を求めて転職したい人は、施工管理技士の資格は必須といえるでしょう。
まとめ
施工管理技士試験を受験するには、一定期間の実務経験が必要です。
最終学歴によって異なるので、あなたの学歴ではどのくらいの実務経験年数が必要なのかチェックする必要があります。
施工管理技士の資格を取得するメリットは大きいので、まずは2級を目指してみましょう。